Will you marry me?
Red string of fate
ーいいかい、遥貴。運命の赤い糸は左の小指にあるんだ。それは見えないけど、必ず誰かに繋がっているんだよ
独り身のαの叔父が小さい頃よく話していたことだ。
残業を終えて家に帰って着替えてからベッドに寝転ぶ。
運命の赤い糸、か...
俺は両親がいない。
母は元から体が弱くて俺を産んですぐに亡くなったし、父親は正直どこにいるかも分からない。俺が出来たと知って逃げたという。よっぽどクソなαだったんだろうと思う。だから俺は顔を知らない。
生まれてすぐ叔父に引き取られて、俺はたくさんのΩの中で過ごしてきた。発情期(ヒート)に何度もかち合ってきたこともあるし、精通してからは好きではなかったけど抑える手伝いもした。
俺は不思議に思って聞いた事がある。
「ねぇおじさん、どうしておじさんはΩを守ってるの?」
「俺がΩを守る理由かい?」
「うん、おじさんもαでしょ、発情期の時大変じゃないの?」
うーん、とおじさんは頬をかいた。
「確かに大変ではあるよ。だけどね遥貴、俺は思うんだ」
Ωだろうがαだろうがβだろうが元を辿れば同じ人間だろ?俺はそれを差別してΩを性欲処理の道具として見てる奴らの考え方がわからない。そんなの、アパルトヘイトと何ら変わらない。
そういう叔父がかっこよく見えた。
叔父は元々差別をしない人だ。普通に接しているし、叔父自体も薬を飲んでいた。それは叔父なりの自己自衛であり、きちんとしていた。
俺は叔父の生き方が好きで、たまに聞く叔父の生き方論が好きだった。
だからといって叔父は俺にその生き方を強要しなかった。
「αはね、確かに優秀ではあるよ。だけどそれは肉体的や仕事をする面での話であって、人間的にクソなαは山ほどいる。むしろαの99%はそうだと考えていい。だけどね、差別した所で何も変わりはしないんだよ。それはただのいじめにすぎない。俺のように生きなさいとは言わない、遥貴は遥貴の生き方があるだろうからね。
でも、いいかい、遥貴。運命の赤い糸は左の小指にあるんだ。それは見えないけど、必ず誰かに繋がっているんだよ。...その人を見つけた時、お前はその人を、自分の家族をきちんと守れる人間に、αになりなさい」
ーそこで俺は目を覚ました。
夢、だったのか…。
いつの間にか寝落ちていたらしい。電気がつけっぱなしになっていた。
どうして今更こんな夢を...。
この時俺はまだ気が付かなかった。
これから出会う、運命の番の存在に。
独り身のαの叔父が小さい頃よく話していたことだ。
残業を終えて家に帰って着替えてからベッドに寝転ぶ。
運命の赤い糸、か...
俺は両親がいない。
母は元から体が弱くて俺を産んですぐに亡くなったし、父親は正直どこにいるかも分からない。俺が出来たと知って逃げたという。よっぽどクソなαだったんだろうと思う。だから俺は顔を知らない。
生まれてすぐ叔父に引き取られて、俺はたくさんのΩの中で過ごしてきた。発情期(ヒート)に何度もかち合ってきたこともあるし、精通してからは好きではなかったけど抑える手伝いもした。
俺は不思議に思って聞いた事がある。
「ねぇおじさん、どうしておじさんはΩを守ってるの?」
「俺がΩを守る理由かい?」
「うん、おじさんもαでしょ、発情期の時大変じゃないの?」
うーん、とおじさんは頬をかいた。
「確かに大変ではあるよ。だけどね遥貴、俺は思うんだ」
Ωだろうがαだろうがβだろうが元を辿れば同じ人間だろ?俺はそれを差別してΩを性欲処理の道具として見てる奴らの考え方がわからない。そんなの、アパルトヘイトと何ら変わらない。
そういう叔父がかっこよく見えた。
叔父は元々差別をしない人だ。普通に接しているし、叔父自体も薬を飲んでいた。それは叔父なりの自己自衛であり、きちんとしていた。
俺は叔父の生き方が好きで、たまに聞く叔父の生き方論が好きだった。
だからといって叔父は俺にその生き方を強要しなかった。
「αはね、確かに優秀ではあるよ。だけどそれは肉体的や仕事をする面での話であって、人間的にクソなαは山ほどいる。むしろαの99%はそうだと考えていい。だけどね、差別した所で何も変わりはしないんだよ。それはただのいじめにすぎない。俺のように生きなさいとは言わない、遥貴は遥貴の生き方があるだろうからね。
でも、いいかい、遥貴。運命の赤い糸は左の小指にあるんだ。それは見えないけど、必ず誰かに繋がっているんだよ。...その人を見つけた時、お前はその人を、自分の家族をきちんと守れる人間に、αになりなさい」
ーそこで俺は目を覚ました。
夢、だったのか…。
いつの間にか寝落ちていたらしい。電気がつけっぱなしになっていた。
どうして今更こんな夢を...。
この時俺はまだ気が付かなかった。
これから出会う、運命の番の存在に。
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