10話:隣人が同級生です。

俺がある日眞希と一緒に買い物で帰宅していると隣の家に引越し屋のトラックが止まっていた。

「うん？引越し屋？引っ越してきたのか。」

「誰だろう？まー君知ってる？」

「え？知ってるわけないだろ？第一知っている人が隣に引越しに来るわけ」

と、話していたらどこかで見覚えのある人が見えた。

「あ！あの人じゃない？」

「恐らく…そうだろうな。うん。」

思い出した！あの人、俺の中学の時の同級生じゃないか！まさか、そんなことがあるのかよ。

すると、向こうが俺らに気づいた。

「あ、こんにちは。」

「こんにちは！」

「こ、こんにちは。」

「もしかして、眞宙君？」

「うん、そうだよ。ひ、久しぶりだね。」

「久しぶり。ウフッ」

この人は、森崎もりさき野乃のの。同姓だが、漢字が違う。

野乃ちゃんは、中学校一の美人でみんなから天使とかお姫様とか呼ばれていた。
唯一男子の中で俺と仲が良かった。

美しいバラには棘があると言うが、彼女は美しい棘のなきバラ。

可愛いし、痛いところなんて無い。

中学校時代男子からみんなに、お前すげぇよな、天使によく軽く話せるよな。って言われたことがあるが、女子と普通に話しているだけだよ？と、言い返したら彼女は普通の女子じゃないんだぞ！って言われた。

「眞宙君、そちらは？」

「あぁ、俺の妻」

「あ、そうなんだ。よろしくお願いします。」

「いえ、こちらこそ！」

「じゃ、じゃあ、引越し頑張って！」

「うん、ありがとう。」

やはり、野乃ちゃんの笑顔は誰も超えられない。

家に入ったら、眞希が俺にこんなこと言ってきた。

「まー君、あの子裏あるよ。」

う、裏？裏の顔のこと？

「うん？どういうこと？」

「だから、裏だよ、裏！裏の顔！」

ま、まさかぁ。そんなことあるわけないじゃん。

「あはは、眞希は冗談が上手いな。」

「いや、冗談じゃないよ。」

眞希が、こんなにもガチトーンでガチな眼差しをしたのは初めてかもしれない。

「まさか…彼女は棘の無いバラなのに…？」

俺はがく然とした。

「そんな言葉嘘だよ。誰だって棘はある。棘のない人なんて居ないよ。」

「でも、俺は野乃ちゃんはそういう人じゃない気がする。」

「勝手にすればいいじゃない」

まさかとは思うが嫉妬か？

「聞こえてるわよ。まー君」

エスパーかよ…。

「ま、まぁとにかくお隣さん同士仲良くしようよ。俺の中学校の同級生なんだし。」

「そ、それはそうなんだけど、ま、まー君がそう言うなら。私もまー君に合わせるけど…///」

「あっそう？」

眞希は、コクリとうなずいた。

やっぱり嫉妬…なのか…？