勇者の孫、パーティーを追放される~杖を握れば最強なのに勇者やらされてました~
第四話 『デュラハン』
「ひぃ、ふぅ……待ってくださ~い」
デュラハンの住む古城に向かう間、俺達は特段急いで歩いていたわけではない。
しかし、体力が1しかないエリザにとってはそれでもついてくるのが非常に苦しいようだ。
「そうだな、それじゃあ浮遊魔法をかけてあげるよ」
俺は安物の木の杖をさっと振りかざしエリザに浮遊魔法をかけてあげた。
「わぁ~、凄いです! 宙に浮きながら動けるなんて! 疲れも忘れちゃうくらい素敵です!」
生真面目なエリザにしては珍しく顔に満面の笑みが咲いた。
その笑顔の可愛さに、俺までつい顔が綻んでしまう。
「あー、ずる~い! うちにもかけてよー」
ミカが俺の首に両腕を巻き付けておねだりしてくる。
「ちょっ!? ミカ!? 近いって!」
「えー、もしかしてー、アルフうちのこと意識しちゃってるの~。プププ~可愛い」
ミカは明らかに俺をからかっている。
それにもかかわらず少しドキドキしてしまっているのが悔しい。
「お前……からかうなら魔法かけてやらないぞ」
「いやだ~、お願いーかけてー!」
俺はぷいっと横に顔を向けながらも杖を振るって浮遊魔法をミカにもかけてやった。
そんなふうに遊びながら歩いていると、遠目にデュラハンの古城が見えてきた。
「ここからは敵のエリアになるから気を引き締めて行けよ!」
「「は~い」」
浮遊魔法で宙を寝そべりながら適当な返事をする二人。
真剣に指示を出したつもりなのだが、どうにも彼女らは気が抜けているようだ。
魔王討伐とは比較にならないくらい簡単なクエストだとは思うが、それでもここら一体で最高難度のクエストなのでもう少し気を引き締めてもらいたいところなのだが……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
デュラハンの古城の中にはすんなりと入ることが出来た。
警備のモンスターでもいると思っていたからなんだか拍子抜けだ。
カタッカタッと俺の足音だけが城の中に響く。
「そろそろお前たちも地面に足を付けろ、いざって時にちゃんと動けないと大変だぞ」
二人に注意をしたその瞬間、目の前から三つの小さな火の玉が飛んできた。
火の玉はそれぞれ俺、ミカ、エリザを目掛けて向かってくる。
俺は杖で攻撃を防いだが他の二人はもろに火の玉を食らってしまう。
「うぐぅ~」
情けない声を出し、目をくるくると回して倒れたのはエリザ。
彼女のHPは1しかないから、一発攻撃を食らっただけで戦闘不能になってしまったのだろう。
「ミカ、大丈夫か!? 平気だったらエリザの介抱を頼む。敵には俺が当たる」
「りょ! エリザっち大丈夫か~」
ミカはエリザの介抱を始めた。
そうこうしていると目の前の真っ暗な通路から鬼火のようなものが現れ、
「来訪者よ、貴様の望みは我が首か?」
低いくぐもった声と共に、漆黒の馬に跨り首を片手で持った首なしの騎士が姿を現した。
「お前がデュラハンだな! 恨みはないけどクエストのために討伐させてもらう!」
「愚かな人間よ、貴様如きに何ができるというのか」
こういうとき以前のパーティーだったら勇者の俺と戦士のフィーナが先陣を切って攻撃し、隙を見てサイフォスが強大魔法の火焔球を使うっていうのが鉄板だったな。
サイフォスは戦いが終わった後にいつも火焔球が最強の火の魔法なんだって自慢をしていたけど、実はそれより上の火の魔法があることは彼のプライドのために言わないでおいた。
でも今思えばそういうのもガンガン言って奴のちっぽけなプライドをへし折ってやればもっと良いパーティーになったんじゃないかなと思うこともある。
ただ、実際そんなことをしたら俺の追放が早まることになっただけだろうなとも思うけど……。
――と、昔話を思い出している場合じゃなかったな。
俺は杖を前に出し、本当の最強炎魔法――超火球を詠唱した。
デュラハンの住む古城に向かう間、俺達は特段急いで歩いていたわけではない。
しかし、体力が1しかないエリザにとってはそれでもついてくるのが非常に苦しいようだ。
「そうだな、それじゃあ浮遊魔法をかけてあげるよ」
俺は安物の木の杖をさっと振りかざしエリザに浮遊魔法をかけてあげた。
「わぁ~、凄いです! 宙に浮きながら動けるなんて! 疲れも忘れちゃうくらい素敵です!」
生真面目なエリザにしては珍しく顔に満面の笑みが咲いた。
その笑顔の可愛さに、俺までつい顔が綻んでしまう。
「あー、ずる~い! うちにもかけてよー」
ミカが俺の首に両腕を巻き付けておねだりしてくる。
「ちょっ!? ミカ!? 近いって!」
「えー、もしかしてー、アルフうちのこと意識しちゃってるの~。プププ~可愛い」
ミカは明らかに俺をからかっている。
それにもかかわらず少しドキドキしてしまっているのが悔しい。
「お前……からかうなら魔法かけてやらないぞ」
「いやだ~、お願いーかけてー!」
俺はぷいっと横に顔を向けながらも杖を振るって浮遊魔法をミカにもかけてやった。
そんなふうに遊びながら歩いていると、遠目にデュラハンの古城が見えてきた。
「ここからは敵のエリアになるから気を引き締めて行けよ!」
「「は~い」」
浮遊魔法で宙を寝そべりながら適当な返事をする二人。
真剣に指示を出したつもりなのだが、どうにも彼女らは気が抜けているようだ。
魔王討伐とは比較にならないくらい簡単なクエストだとは思うが、それでもここら一体で最高難度のクエストなのでもう少し気を引き締めてもらいたいところなのだが……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
デュラハンの古城の中にはすんなりと入ることが出来た。
警備のモンスターでもいると思っていたからなんだか拍子抜けだ。
カタッカタッと俺の足音だけが城の中に響く。
「そろそろお前たちも地面に足を付けろ、いざって時にちゃんと動けないと大変だぞ」
二人に注意をしたその瞬間、目の前から三つの小さな火の玉が飛んできた。
火の玉はそれぞれ俺、ミカ、エリザを目掛けて向かってくる。
俺は杖で攻撃を防いだが他の二人はもろに火の玉を食らってしまう。
「うぐぅ~」
情けない声を出し、目をくるくると回して倒れたのはエリザ。
彼女のHPは1しかないから、一発攻撃を食らっただけで戦闘不能になってしまったのだろう。
「ミカ、大丈夫か!? 平気だったらエリザの介抱を頼む。敵には俺が当たる」
「りょ! エリザっち大丈夫か~」
ミカはエリザの介抱を始めた。
そうこうしていると目の前の真っ暗な通路から鬼火のようなものが現れ、
「来訪者よ、貴様の望みは我が首か?」
低いくぐもった声と共に、漆黒の馬に跨り首を片手で持った首なしの騎士が姿を現した。
「お前がデュラハンだな! 恨みはないけどクエストのために討伐させてもらう!」
「愚かな人間よ、貴様如きに何ができるというのか」
こういうとき以前のパーティーだったら勇者の俺と戦士のフィーナが先陣を切って攻撃し、隙を見てサイフォスが強大魔法の火焔球を使うっていうのが鉄板だったな。
サイフォスは戦いが終わった後にいつも火焔球が最強の火の魔法なんだって自慢をしていたけど、実はそれより上の火の魔法があることは彼のプライドのために言わないでおいた。
でも今思えばそういうのもガンガン言って奴のちっぽけなプライドをへし折ってやればもっと良いパーティーになったんじゃないかなと思うこともある。
ただ、実際そんなことをしたら俺の追放が早まることになっただけだろうなとも思うけど……。
――と、昔話を思い出している場合じゃなかったな。
俺は杖を前に出し、本当の最強炎魔法――超火球を詠唱した。
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