T.T.S.

沖 鴉者

FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 2-3



 P.T.T.S.は【現在】を主戦場にするT.T.S.の兄弟組織だ。
 彼らはT.T.S.のように時間跳躍することも、超光速素粒子タキオンを観測することもない。
 彼らが行うのは、現在時間での薔薇乃棘エスピナス・デ・ロサスに対する超攻勢捜査で、拠点の捜査、及び強襲だ。
 地道さと苛烈さを要求される任務を担う彼らの中には、元軍警察や元警察特殊部隊、元テロリストもいた。
 そんなP.T.T.S.の出す支援要請が、面倒でないはずがない。
 面倒臭がりの多いT.T.S.にとって、これは共通認識だった。
 しかしながら、あらゆる時代、あらゆる状況に対応出来、高い戦闘力を要するT.T.S.が必要とされる状況というのは、尋常ではないのも事実。
 ましてや、ギルバートと源が強襲支援で呼ばれたとあれば、敵勢の強力さは折り紙付きだ。
 それではない。

『ったくよ、冗談じゃねぇよ』

 源が心の中で毒づくほどの憂慮があった。
 P.T.T.S.CTU北米大陸セントラルタイム部隊を率いる隊長。
 彼もまた、ギルバートと同じく、かつての因縁の男。
 2171年8月25日。ロンドンのビック・ベンで起こったテロの実行犯にして、正岡絵美によって制圧されたホセ・セサール・チャベスだ。

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