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自宅遭難

ねぎたま

第2話 幻聴からの

遭難7日目。
耳鳴りと幻聴が繰り返される。
シヌの?シヌシヌ キャっキャっ。
その声にイラつき、ウルセェ!と、声をだした。つもり。
多分、声は出ていない
疲れて寝た。


夢を見た
私が死んだ後の事らしい。
私は死ぬ直前の大声を張り上げたまま、知らない所に居た。
四方に大きく広がった空間にいた。
そこに何人かのオトコが現れ、私のこれまでの行いを審議していた。
審議の結果、もう一度生まれ変わり、命を全うする事だった。





男の声がする。
「オロクかよ。」
オロク?頭がまわらん。
眠りに落ちた。

「生きてるか?」
肩を揺すられ、起こされた。
視界はボヤけ、頭が回らない。寝たい。
男がベットの隣に立っているのを横目に見た。
作業服を着ているが、救急隊でも警察でもないようだ。
「うごけない、たすけて」
なんとか出した私の声に男は首を振り「助けられない。自分でどうにかしろ。」ときっちりと言葉を返してきた。
涙で視界が無くなった。
硬直したまま、声も出ず涙だけ出た。

「言い残しておくことはあるか?」

空腹と喉の渇きから

「涙、飲みたい」

と、絞り出すように声を出すと、力尽き、眠りに落ちた。




遭難8日目。
なんだか元気が出てきた。
頭が回るようになってきた。
視界がひらけてきた。
でも眠い。



遭難9日目
甘いものを食べている夢を見た。
現実なのか夢なのかわからず寝た。




遭難10日目
目の前に広がるのは白い天井。
病院?いや、自分の部屋だった。状況は変わっていない。
頭の中がクリアになった。
目はよく見えない。
あれ?起きられるかもしれない。

体をよじり、ベットから落ちた。
落ちたら、立ち上がるしかない。
周りの本棚や壁で体を支えながら歩き、水道から水を飲んだ。
カルキ臭が酷いが、うまい。
水が食道を伝わり、落ちていくのがわかった。夢中になって水を飲んだ。
飲んでいる途中で凄まじい尿意に襲われた。

なんとかトイレに行き、用を足そうとするが出ない。出したいのに出ない。

そう思ったところで、自分から甘い匂いがする事に気が付き、シャワーを先に浴びる事にした。
生き返った気がした。
体が小さくなった気がする。
手足が細い気がするが、詳しくは視界がボヤけていてよく見えない。
また強い尿意が襲い、このままバスタブで出してしまおうかとも思ったが、人間性が損なわれる気がしてトイレで用を足した。
やっと出た。尿から酷い匂いが立ち込めた。
尿が茶色い。勿論、大はしていない。
むせ返りながらも水を流したが、異臭はまだ残っている。
異臭を振り払うためにシャワーの続きを浴びた。
髪の毛が油で固まってなかなかほぐれない。
やっと一通り洗い終え、バスタオルで顔を拭き、目ヤニが取れたところで視界が良くなった。

目の前の鏡に死神がいた!

自分は「ぁー!、あ”ー! アアー!」大声を上げてしまった。
上の階から「ウルセェー!」と声が聞こえた。

死神も叫んでいる。

よく見ると、鏡に映っていたのは自分だった。

全身が痩せこけ、肋骨が浮いている。
顔は骸骨が皮を被っているだけの様に見える。
腹筋は割れている。なんで?
ここで生き延びた事を実感すると、笑いがこみ上げてきた。大声で笑った。
上の階から叩く音が聞こえる。
叩く音をかき消すように更に大笑いした。

髪がボサボサだったので、行きつけの美容院に電話で予約をした。
携帯も充電して、しばらくは使えるようになった。
他にもやることはあるはずなのに、疲れて寝た。

チャイムが鳴っていた気がするけど、幻聴だろう。



遭難11日目。
起きたら夜だった。
美容院の予約をすっぽかしてしまった。
何故かお腹は空いていない。




遭難12日目
美容院に謝りの電話を入れた。
逆に気を使われてしまった。
今から来れないかと聞かれ、快諾した。

家を出ようと鍵を回したが、出られない。
よく見たら、ドアロックを閉めていた。
ドアロックを開け直し、外へ出た。
眩しい。
体が思ったように動かない。
日差しが重たい。
やっとの思いで美容院に着き、店主に挨拶をした。
店主はお店の前で待っていた。私を見つけ驚きを見せた後、店内のソファーに座らせ、お菓子とコーヒーを用意してくれた。
口に入れた物が全て栄養に変わるのがわかる。
「あー美味い!美味しいよ!」
何度も何度も言った。
しばらく堪能したところで、店主はそわそわしながら呟いた。
「大沼さん遅いわね。」
?、大沼は私である。
店主を呼び止め、大沼は私である事を伝えると驚いて、またお菓子を持ってきた。
なんだか慌ただしい。

自分の携帯が鳴った。
電話を取ると、店主だった。
信じられず、電話をかけて来たのか。

美容院に備え付けられているタバコを一本取り、ふかした所で視界が狭くなった。
「見えない!見えない!!」
息が出来ない!?
慌てた所で、店主がタバコを私から取り上げ、背中をさすってくれた。
息を大きく吸い、現実に戻った。
「本物の大沼さん!」
最初はその一言。
店主は私のタバコの吸い方を見て確信したらしい。
私はタバコを吸う時に中指と薬指にタバコを挟んで吸う癖がある。店主はそれを見て、確信に至った。

私が大沼であると。

最近、この辺で泥棒が多いことから、私に成り替わっているんじゃないかと店主は思っていたそうです。

帰りにお菓子を沢山もらった。

自宅に戻った直後、乱暴にチャイムが鳴った。
覗き穴を見ながら聞き耳を立てると、知らない女連れの男が文句を言ってやると意気込んでいた。
私はドアをそっと開け、顔をだしたら『ひぃ!』と男は言って後ずさり、尻餅をついた。死神の様な顔が役立った。直後、女の人が前に出てきて、夜中まで話し声がうるさいだの、天井を叩くのをやめて!だのと言われた。先日の笑い声は私だが、病気を患い、独り身でここ数日寝たきりだった事を伝えると、青ざめて帰って行った。



翌日、
お腹が空かない。
会社に電話して、翌日から出社する事を伝えた。直属の上司からは、もう来なくても良いと言われた。

同僚からフォローの電話が直ぐに掛かってきた。部長が会いたいので、一度顔を出して欲しいとのこと。




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