社畜は2度目の人生を謳歌する

ヨナ

狼少女と出会いました



夜、寝る前にネムスはいつものように魔物骨スープの研究を行っていた。お玉でスープをゆっくり混ぜながら灰汁を取ったりするのだ。

その時


バタンッ!!


いきなり部屋の扉が勢いよく開いた。ネムスはポカンとしながら自分が鍵をかけてなかったことに気がついた。

扉を勢いよく開けたのは10歳くらいの女の子。身長もネムスと同じくらい。黒髪黒眼で日本人の特徴があったが決定的に違うものがあった。それは頭部にあるケモ耳である。
耳と尻尾があることから獣人であろうことの予測がついたネムスは自分が獣人と話をするのはこれが初めてであることに気がついた。
突然のことに混乱していてなんと声をかけたらいいかわからないネムスに他所に少女が先に口を開いた。

「お肉」

、、、、、、、、「はい?」
少女の表情はピクリとも動かない。その口から発された言葉はお肉という単語だけいくらネムスでも状況がわからない。

グ〜〜
「お肉」

今度はお腹の虫が鳴いた。
「えっと、申し訳ありませんが肉は今手持ちがありません」
「嘘。クゥ、狼人族。毎日、夜、お肉、匂い、する。狼人族、鼻、良い」
話し方が独特で単語の羅列だがネムスは要点を聞き取ろうする。取引先の相手が方言丸出しの喋り方をする人が結構いたのでネムスは独特の喋り方をする人の相手は割と得意だった。
(クゥはおそらく一人称だろう。狼人族ということは狼の獣人、最後のは鼻がいいから臭いがわかるということか)

「鍋、お肉、匂い」
「ああ、これですか。これはお肉は入っていませんよ?」
「嘘。お肉、匂い」
「んんん、本当に入っていないのですが。よかったら食べますか?」
「ん」
獣人の少女は頷いて鍋の前に正座する。異世界にも正座があったことに驚きながらネムスは【異空間収納】から木の器を出してスープを盛って渡す。

少女は猛然と食べ始める。
「不思議。お肉、無い。でも、お肉、味。不思議」
表情は乏しいがその分耳と尻尾が感情表現豊かだ。耳はピクピクと動いており、尻尾はブンブンと振られている。ネムスは近所に住んでいたレトリーバーを思い出した。ネムスは幼少期から何故か動物に好かれていた。獣人も同じなのだろうか。


その後、3回ほどおかわりすると、やっと落ち着いた。
「ありがと」
「いえ、お気になさらず」

「、、、クゥ」
「はい?」
「名前、クゥ」
「ああ、クゥさんと言うんですか。私はネムスと言います」
「ん、クゥでいい」
「呼び捨て、ということですか?」
「ん」
「わかりました。ではこれからはクゥと」
お互いに自己紹介をする。

「それで毎日匂いがしていたということですが、、、」
「ん。クゥ、部屋、隣」
「ああ、お隣さんでしたか」
「ん。毎日、お肉、匂い」
「それは申し訳ありません。私はこのスープを作ることを趣味としていまして」
「ん、スープ、不思議。お肉、無い。でも、味、お肉。今日、レッドブル」
「レッドブル、、、もしかして匂いでなんの魔物か判別できるのですか?」
「ん。クゥ、狼人族。黒狼、特別」
ネムスは黒狼というのがわからなかったが毛が黒いのが特別なのかもしれないと予想する。それよりも匂いで魔物が区別できることに注目していた。

「すみません。お願いしたいことがあるのですが」
「なに」
「さっきのスープは魔物の骨から作っているのです。それで私は複数の魔物の骨を持っているのですがどれが何の魔物の骨かわからなくて、判別をお願いできませんか?
報酬として明日、美味しい肉料理をご馳走します」
「ん、いいよ」
「ありがとうございます」
ネムスは【異空間収納】から魔物の骨を取り出し、次々と判別してもらう。

結果は

レッドブル×12
ホロホロ鳥×37
ウルフ×21
ウィンドウルフ×9
激突ボア×4

一口に魔物の骨といっても部位ごとに大きさや形が違うのだがそれでも魔物ごとに分けられたのは大きな進歩だ。これでどの魔物が適しているのかを調べられる。

「因みにこのあたりで1番食べられるのはどれですか?」
「ホロホロ鳥。弱い、多い、安い」
「成る程」
「ウルフ、一度、捕まえる、多い」
「ふむふむ」
1番一般的なのはホロホロ鳥という鳥。鶏くらいの大きさで獰猛だが冒険者などの新人の定番の仕事となるくらい弱い。
ウルフは弱いわけでは無いが強くも無い。群れで行動するので見つからない時は見つからないが一度見つければたくさん獲れる。


満腹になったクゥがウトウトし始めたので部屋に戻らせる。これからもスープを食べさせる約束をして。

クゥが帰った後、ネムスは【ショップ】で揚げ物ができるほど火力が出るコンロを探す。油が180度くらいまで温度が上がるコンロというのはかなり高価で12500円もした。さらに揚げ物用の鍋も買って後は明日にでも食材を7番区画の商店街で買えば唐揚げが作れる。
屋台を始める前に、クゥに唐揚げを食べてもらって感想を聞いてから始めることにする。


「これで準備は万端、、、、ああ、いや、屋台本体の準備をしてません。寮で格安で貸し出しを行っていたはずですから明日にでもマルダさんに聞いてみることにしましょう」

その後、仕入れ値と売り値、利潤の計算をしてから寝床に入る。最初からバカ売れになることはないと予想して少量を売るところから始めれば資金が少なくてもなんとか回せるとネムスは予想した。







所持金:
銀貨2枚、銅貨6枚(26000ゴル)

【ショップ】内通貨:
3010円






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