社畜は2度目の人生を謳歌する

ヨナ

今後の展望を考えます



組織のトップの2人からいじくり回された日から数日、ネムスは少なくなってきた骨を肉屋で調達、、、アルバイトをして拝借してきた。
念のため肉屋の主人に確認したが廃棄するものなので好きにしていいとのことだった。

その日は昼でアルバイトが終わった後は大通りを歩いて回った。そろそろアルバイト生活ではなく、屋台か何かやろうという考えだ。屋台ならばいつ営業していつ店じまいにするかは自由なのでネムスからすれば1番条件がいいだろう。

それならば見習い商人が商売を始めるならば屋台か露店から始めるものだ。
屋台と露店の違いは売っているものだ。屋台は食べ物、露店はそれ以外である。屋台は日本の屋台同様に簡易的な小さな店型をとるが露店は地面に風呂敷を敷いてそこに商品を並べるだけ。
屋台は屋台自体を準備できれば商品自体は料理すれば良いだけである。しかし露店は食べ物と違って簡単に用意できる商品は少ない。露店をやるのは職人と繋がりのある人だろう。


「、、、屋台をやるにしても問題があります」
この街の屋台で売られているものの多くは肉。というかこの世界自体が結構肉食文化なのだ。野菜を育てるよりも、穀物を育てるよりも、魔物を殺して肉を食う方が早い。そのせいで肉食文化らしい。
味付けも実にワイルド。ほぼ塩。魔物の肉が上質すぎるせいで味付けなしでも肉の旨味だけでも食えることは食える。
庶民の生活で食事は必要だからするという感じだ。楽しむものではない。食事を楽しむことができるのは生活に余裕のある大商人か貴族だ。踏ん反り返って使用人に給仕をさせる。つまりこの世界では貧富の差が激しいのだ。


話を戻す。屋台で売るものについてだ。
ネムスが研究してある豚骨スープならぬ魔物骨スープならミルデガルドとアンジェリカに好評だったし、元手も殆どかかっていないから良いのではないかと思うかもしれないがそうもいかない。問題は器である。

この世界の器は木製か鉄製などだ。日本にあるようなプラスチックだか何だかの安価なものなんてない。木製のものは大量に出回っているためそこそこ安価だが所詮そこそこだ。屋台で使い捨てにするほど安くはない。

結論
器を必要とするものは売っても赤字になる。


「となると他の屋台同様、串に刺して売れるものがいいでしょうか?それとも職人に当たりをつけて安価で器を作ってもらう?器を返却制にしましょうか。

職人に当たりをつけるのは無理ですね。安価で作ってくれるほど親密になるのはそう簡単なことではありません。
器を返却制にするのもやめた方がいいでしょう。器を持ち去る人が出るのが目に見えています」

ブツブツ呟きながら街を歩くネムスは傍目から見れば異常だがそれを気にする人はいない。ネムスは周辺を観察しながら考察を続ける。

「見たところ屋台の客層は冒険者や傭兵などが殆どですね。逆に言えば街の住民は屋台で買うことは殆どないようです。
戦いを生業とする人達が相手ならばやはり肉を売るのが1番でしょうか。ですが他と同じように売っても売れるとは思えませんね。
、、、、、唐揚げが無難かもしれませんね。この世界に揚げ物は無いようですし。物珍しさから買ってくれる人がいるでしょう」

売るものを決めたネムスは進路を変えて大通りから7番区画へ向かう。食材の仕入れでネムスが1番行っているところは7番区画の商店街だ。
塩、小麦粉、一応レモン、油など必要なものの値段を確認していく。最後に肉を確認するところでネムスは困った。

日本で肉と言ったら鳥、豚、牛などが一般的だがこの世界ではもっと多種多様だ。一口に鳥と言っても複数種類いるのだ。
ネムスはこの世界に馴染んできたとはいえ、まだ常識的なもので知らないことは多い。例えば肉は何が安くて、一般家庭ではどの肉がよく使われていて、逆にどの肉はあまり受け入れられていないのか、そういうことがわからない。


「これは協力者が必要ですね。ミルデガルドさんは言えば喜んで人を派遣してくれるでしょがあまり頼るのは良くありません。
かと言って仲のいい人はいない。屋台を始める前に同じく寮で暮らす見習いの人と仲良くなるのが先決でしょうか」

ネムスは日本でサラリーマンをしていた頃を思い出す。ネムスは決して天才ではなかった。出来ないことも多かった。そういう時は上司や同僚、更には部下にも頼った。ネムスは成果を上げなければならない状況でプライドなど必要ないと考えるタイプであるし、そもそも自分の能力を過信しないネムスはプライドなど持ち合わせていなかった。

現在もそうである。自分は異世界から来て、異世界の知識を持っているため特別な存在ではあるかもしれないが優秀な人間ではないことを自覚していた。海千山千の商人達を上回れるなど毛ほども思っていなかった。
だから人を頼ることを躊躇しないし、人に教えを請い、頭を下げることをためらわない。

これは大成するかは別として、ある程度成功する人間の特徴である。


こうしてネムスは次の行動に移るために人脈作りに勤しむことにした。周囲の嫉妬を買わないためにミルデガルドやアンジェリカに出来るだけ頼らずに。


頼ってもらえなかったことがミルデガルドとアンジェリカを拗ねさせることになるのだがネムスは全く気がついていなかった。








所持金:
銀貨3枚、銅貨6枚(36000ゴル)

【ショップ】内通貨:
5010円






「社畜は2度目の人生を謳歌する」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く