社畜は2度目の人生を謳歌する

ヨナ

アルバイトします 2



初アルバイトの翌日、ネムスは先日と同様に朝の鐘がなる前に起きて依頼を眺めていた。

「おはようございます」
「おはようございます、マルダさん」
昨日と同様にマルダが声をかけた。

「マルダさん。質問があるのですが」
「なんでしょう?」
「ここにある依頼は本来低ランクの冒険者の仕事ではないですか?仕事が被れば冒険者ギルドと縄張り争いのようなことになるのではと思いまして」
「ああ、それは大丈夫です」
ネムスの疑問にマルダはきっぱりと答える。

「ネムスさんは冒険者になるのはどのような人だと思いますか?」
「そうですね、、、スラムの人や商会の次男や三男などの実家の跡を継げない人でしょうか」
「それもなくはないですが違いますね。そういう人達は傭兵ギルドに入ります。
そうですね、先に傭兵ギルドと冒険者ギルドの違いを教えましょう」
「お願いします」

「冒険者ギルドと傭兵ギルドはどちらも特に身元が分からなくても加入できる・戦うことが出来なければならない、という点では同じです。
ですが傭兵ギルドでの主な仕事は護衛ですから信用がなくては出来ません。信用がなくなった人はギルドを脱退させられます。
対して冒険者の仕事は素材の調達。それさえできれば信用がなくてもできます。
このことから同じ戦闘系のギルドでも傭兵ギルドより冒険者ギルドの方が荒くれ者が多くなります」
「成る程」
「もう1つ特徴を挙げれば年齢層が異なります。傭兵はベテランが多くて、冒険者は若者が多いです。
これは危険度に関係しています。
傭兵の仕事は護衛ですから戦闘は最小限、冒険者は魔物の討伐などの依頼が多いため日常的に命をかけることになります。
そうすると歳を取るほど安定を求めますからそういう年齢層になります」
「確かにそうですね」
ネムスは日本でのことを思い出す。若い人は新しいことをやりたがるが年配はこれまで通りの安定した生活を求めるものだ。

「話を戻しましょう。どういう人が冒険者になるかですがそれは『英雄志願者』です。例えば英雄に憧れて街に出て来た村人、冒険に憧れる若者、そういった人達が冒険者になる人が多いです」
「はい」
「もう最初のネムスさんの質問の答えもわかったのではありませんか?
冒険に憧れて街に出てきた若者は魔物の討伐依頼ばかり受けたがって雑用の仕事は受けたがりません」
「そうでしたか。冒険者ギルド側からしても滞っていた依頼が消化されるので問題はないということですね?」
「はい」
マルダの説明にネムスは納得がいった。複数種類の仕事があれば人気の仕事とそうでない仕事があるものである。


「もう1つ聞いても?」
「ええ」
「この赤い印はなんですか?」
依頼の中に赤い印の付いたものが複数あった。
「ああ、それは常備依頼です。毎日ある依頼ですからその印がある依頼を受けるときは依頼書を取ったら私達に渡してください」
「そうでしたか。では今日はこれを受けさせてもらいます」
「、、、はい。受理しました。場所は大丈夫ですか?」
「はい。行ったことがありますから大丈夫です」
ネムスが受けた依頼は肉屋の解体の手伝いだった。

この世界の肉屋や八百屋というのは情報に疎くてはできない。日本と違って冷蔵庫などの保存方法がないため、生肉や野菜は悪くなりやすい。だから今売れるものを仕入れなければ損をする。だから流行りに敏感でなくてはいけない。


「では私はそろそろ仕事に行きます。色々ありがとうございました、マルダさん」
「ええ。質問ならばいつでもきてください。最近は忙しくてミルデガルド様お嬢様はこちらに来れませんから代わりに見ておくようにと追われていますから」
「ははは、ありがとうございます。
忙しいというのは何かあるんですか?」
「行商に行っていた商隊が帰ってきます。この寮にも人が少なかったでしょう?行商について行っていた子達が多かったのです」
「そうでしたか」
確かに建物の大きさや部屋の数に比べて人が少ないと思っていたのだ。


「ネムスさんは1人で色々やっているようですが友人を作るのもいいと思いますよ」
「はい。頑張ります」


話しているとちょうど朝の鐘がなったのでネムスは肉屋に向かった。肉屋は7番区画、大きな商会ではなく個人営業の店が多い場所である。

こうして2度目のアルバイトにネムスは向かった。



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