社畜は2度目の人生を謳歌する

ヨナ

調査しました



これからネムスはアルバイト生活を始めるわけだが先に【異空間収納】の実験と並行して進めていた市場調査の結果についてだ。


まずは食料について
この世界の食料は日本の物と同じものが多い。林檎や蜜柑などの果物、キャベツやレタスや人参などの野菜、それから小麦などもある。

ああ、因みにこの世界にも季節というものがある。あるにはあるが元の世界とは異なる所も多い。ネムスが今いる商業都市マネーには四季があり、ここが最も日本の気候と似ているだろう。
他にも全く雨の降らない砂漠地帯や年中雪に覆われた場所もある。そういったところはアフリカや北極などに存在したが元の世界には存在しなかった気候もある。例えば年中毒の霧に覆われている場所、地面からマグマの柱が飛び出す場所、天気に関係なく毎日雷が鳴っている場所もある。


そういった異常な気候のところもあるがマネーはこの世界では最も日本の気候に近く、作物も似通っている。
しかし、全く同じというわけではない。日本になかった果物や野菜が存在する。桃のような見た目でレモンのような味がするリプの実、コーヒーのような苦味があるデデデ茸、無味無臭でガムのような食感のバラシの実など不思議な作物も多くある。


それからマネーでの主食だがパンである。ご飯や麺は全く無く、パンの種類も多くない。パン屋の主人の話では柔らかいパンもあるらしいが貴族くらいしか食べないそうだ。

次に肉。
この世界での家畜は牛乳を取るためか卵を取るために行うくらいで食肉ように育てることはない。育てられているのは乳牛と馬車用の馬だけである。この世界で食べられている肉は専ら魔物の肉だ。野生で育っているからか魔物の肉は上質な肉だからわざわざ家畜を育てたりはしない。
そのため荒くれ者の多い冒険者はどの街にも必要な存在らしい。魔物の相手をして肉を取ってくるのは冒険者だからだ。
因みに野生の動物は殆ど存在しない。いるとしても直ぐに魔物に食われてしまう。自然の中の厳しい弱肉強食の世界で野生の動物は魔物に勝つことはできないのだ。

それから魚介類。
マネーには魚介類はほとんどない。貝類は全く存在せず、魚類も殆ど干物のみ。このマネーに1番近い海は馬車で3日ほどいったところにある港町だ。冷蔵庫がないこの世界では魚を生のままこの街に運んでくることが不可能なので実物しかないらしい。
魔法で凍らせてはどうかと思うかもしれないが氷属性の魔法を使える魔法使いは多くないし、生き物を凍らせることができるほどの使い手はごく稀らしい。
生の魚の運搬方法を確立した人は一生遊んで暮らせると商人の間では言われている。


ここまで紹介してきた通り、元の世界と同じ作物は同じ時期に育つし、この世界特有の作物も収穫時期というものがある。冷蔵庫などのないこの世界では作物の保管が難しいため、時期ではない食べ物は出回らない。
しかしそれにも例外が存在する。それは迷宮ダンジョンというところで採れる物だ。

迷宮ダンジョンというのは、、、一言で言えばよくわからない不思議空間だ。洞窟型や塔型、遺跡型なんかがあるがその中は季節感を無視した異空間である。地下なのに空があったり、燃える海があったりする。そうしたよくわからないところで採れる物には収穫時期なんて関係ない。
迷宮ダンジョンに潜り、そうした作物や宝物を取ってくるのも冒険者の仕事だ。要するに冒険者というのは調達屋のことである。



続けてマネーの商業体系について説明しておこう。
商業都市マネーは直径30キロ以上はある円形の街で、そこを石畳で舗装された大通りが何本か端から端まで横断している。大通り同士が平行や水平となっているわけでは無く、交わっているところもあれば大通りの全くない区画も存在する。ここの領主がどんな意図があってこんなデタラメな大通りの建設をしたのかは不明である。


こんな感じの街であるがやはり人が多い大通りは一等地でここに店を出せれば一流の商人として認められることになる。
また、そんな不規則な大通りの配置であるから大通りが全くない場所が存在する。そういう場所はいくつかあるがスラムになりやすい。

マネーの商売についてだが何も店は大通りだけにあるわけではない。大通りから外れたところにも個人経営の八百屋や肉屋もある。
それから大通り同士が交わるところがいくつかあるがそこは広場となっている。そしてその広場には結構な数の屋台が出ている。日本で屋台といえばお祭りの時にしか見かけないが、こちらの世界ではそうではない。大抵の商人は屋台から始めるのだ。
屋台を出して資金を貯めて馬車を買う。馬車で行商をして資金を貯めて店を買う。大抵がこういう流れだ。
マネーでは店を出すときは土地代が掛かるが屋台を出す分には金は掛からない。駆け出しの商人は屋台で資金を稼ぐというわけだが、生涯屋台から抜け出せない奴もいるんだそうだ。馬車というのは意外と高い。何より馬というのはよく食べるので維持費も結構掛かる。だからその資金を稼げない奴も少なくないというわけだ。


屋台で売っているのは串焼きかスープが殆どである。屋台の数は多いのに売っているものは殆ど同じだ。調味料も殆ど塩だけなので味もそれほど変わらない。

ちょうどいいのでこの世界の料理について話そう。
この世界の料理方法はとても少ない。『焼く』『煮る』『炒める』この3つが殆どだ。『揚げる』『蒸す』などの調理方法はない。そういう調理ができる料理人もいないではないがそういう人達は大抵が貴族のお抱えになっていて料理法が広まることはない。

料理方法が少ない中で極め付けに酷いのが野菜だ。野菜の調理方法は2種類。
新鮮な野菜ならばざっくり切って生で食べる。それ以外ならスープとして煮込む。これだけである。マヨネーズやドレッシングなどもないから野菜の味そのままというわけだ。日本よりも野菜嫌いの人が格段に多いのもこれが原因である。


この世界で新しい商品や調理方法を開発しギルドに登録すれば、他の人がその調理法を使う時に開発者に一定のマージンを払う必要がある。日本でいう『特許』だ。
つまりマヨネーズやドレッシング、『揚げる』『蒸す』などの調理方法をネムスが登録すれば結構なマージンが入ってくる。
不労所得だけで暮らして行くのも夢ではない。


そのことに気がつきながらもあまり目立ち過ぎれば貴族たちに目をつけられるかもしれないと思い実行できないネムスはアルバイトで資金稼ぎを始めるのであった。




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