社畜は2度目の人生を謳歌する

ヨナ

引っ越します



翌日

ネムスは荷物を全て回収ーーと言ってもほとんど無かったし、あっても異空間収納に入れていたがーーして宿を出た。
朝の鐘がなる頃には寮についた。部屋に向かう前に従業員がいる部屋に顔を出して挨拶に行ったが鐘が鳴る前にもかかわらず全員が起きており、準備を整えていた。
一言二言挨拶をした後、部屋に向かい扉を閉めてベッドの上に座り一息つく。因みに各部屋には鍵がついており一応鍵もかけておいた。


「さて、これからどうしましょうか」

一息ついたネムスはそう呟いた。これまでこちらの世界に来てから資金を確保したり、馬車に乗って街を移ったりと慌しかったがここには最低でも年単位で腰を落ち着けることになる。だから改めて今後の方針を決めなければならない。

「まずは現状の確認からでしょう」
今後のことを考えるにあたり現在の自分の能力、状況を確認することにした。
「現在の所持金は銀貨3枚と銅貨が4枚、ショップ内に【1000円】ですか。
今後は寝床にお金が掛からず、食事も毎日一食無料。日本にいた頃は1日1食でも問題なく過ごせていたのでこちらでもそれでいいでしょう」
頭の中でソロバンを弾きながら今後のことを考える。


「では仕事に必要なものは何か。見たところこちらにはスーツの類はありませんでした。筆記用具の類も持っている人は見かけませんでしたね。他には何が必要でしたか、、、、いえ、違いました。

私はこの生まれ直した人生を謳歌することが目的です。日本では仕事のために生きているような人生でしたがこちらでは仕事は人生を謳歌するための資金調達の方法でしかありません。
となると人生を謳歌する方法を考える方が先でしょう」
ネムスは異世界に来てから今日まで毎晩、どのように生きていくかを考えていた。日本では1日1時間睡眠時間もザラだったので日が落ちたら眠るというこの世界での生活ではなかなか寝付けなかったのだ。灯りを灯すのにもお金が掛かる状態で何もすることがなく、ベッドに横になり考え事に時間を費やしていた。
結果、ネムスは2度目の人生を楽しむことにしたのだ。仕事に明け暮れることなく、自分のやりたいことを探してみるのもいいだろうと思ったのである。


「では何をするか。
やりたいことをやると言っても生活費は必要になります。そのために稼がなくてはいけません、、、、が、それはそう難しくはないでしょう」
ネムスはそう考えていた。この街は商業都市と呼ばれているくらいこの国では経済の中心だ。日本でいう東京とか大阪である。そしてこの街の文化を東京や大阪と比べてみると圧倒的にこの街の方が劣っている。
料理然り、建物然り、衣服然り、比べてみればはっきりとわかる。つまり新しい物を生み出さなくとも日本にあったものを再現すればかなりの高確率で売れるのだ。

「それに生活費のことは当面心配する必要はありません。この‘’寮‘’にいる間はこちらでお世話になればいいです。最大で3年、最低でも1年以上はここでお世話になりつつこの世界の商売の方法を身につけます」
ネムスは新人の時にいくつも研修を受けている。それと同じだと考えれば遠慮する理由はない。最大限学べば将来役に立つことを身を以て知っていた。


「とりあえず現状の自分の力を正しく認識するところから始めましょう。スキル【異空間収納】の検証から始めますか」

それから5日間街の市場調査を行いながら【異空間収納】の実験を行った。常に街に出て物の値段を調べていたり、部屋に篭って【異空間収納】の実験をしたりしていたネムスは殆ど寮の人と会話をしなかった。
一応、両隣の部屋の人には引越しの挨拶をした方がいいかと思い訪ねたが、片方は空室で片方は常に留守だった。どこかに遠征に行っているのかもしれないと思い気にしないことにした。
他の人達もそれぞれ自分のことをやっているので特にネムスに関わってくる人はいなかった。唯一マルダはミルデガルドのお気に入りを気にかけていたがネムス自身が自己管理ができているのを確認すると後は放っておくことにした。この5日間で2度ほどミルデガルドが訪ねて来たが特に用というものはなく、しばらく世間話をすると帰って行ったが。



5日後

ネムスは実験の結果【異空間収納】に色々な機能があることを見つけていた。
異空間収納には入れることができないものがある。まず生き物は入れることができない。それから建物などの建築物は入れることができない。同じく屋台も入れることができなかったが解体すれば入れることができた。つまり入れることができるできないの基準は重さではない。その後、基準を調べたが結局わからず、ネムスは基準を調べることを早々に諦めた。
もともとネムスはわからないものはわからなくてもいいと考える人間だった。日本にいた頃、ネムスが入社した時はパソコンなどそう多くはなかったが今では1人1台パソコンがある。仕組みを説明されても結局わからなかったのでネムスは使用法だけ覚えることにしたのだ。

話を戻す。
異空間収納内の時間についてだ。異空間収納内では①普通に時間が流れる②時間を止める③2倍速の3つが選べるようになっていた。
更に紙に火をつけて【異空間収納】に入れると異空間収納の中でも火は燃え続けていた。

最後に水をそのまま入れることもできる。出す時も出す量も調節できるのであらかじめ水を溜め込んでおけば万が一の時にネムスが渇きで死ぬことはないだろう。


こうして調べた結果をもとにネムスは次の行動に移る。







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