《冷姫》に告白をした結果泣かれてしまったが、なぜかその後積極的に話しかけてくる件

ささかま

第十二話

 
「おまえ……婚約者いたのか」

 明かされる衝撃の事実!親友には嫁がいた!

 ……もうわけわかんねぇな。なんだよ、高校生で嫁がいるって……。

「まぁ、許嫁だから……嫁ってわけではないんだけどな」

「それって、結局嫁みたいなもんじゃん」

 将来、結婚することが決まってるんだろ?それって嫁になること確定じゃないか。

「ま、まぁ……俺の事は良いとしてさ」

 唐突にまじめな顔を作り、何か言いたげな様子。

「……言いたい事は分かるさ」

 この様子だと、俺が戦うところも見ていたんだろうな。さて、ここは誤摩化すべきか……。

「………」

「……はぁ。分かったよ。話せることは話すよ」

 勇が、意外と深刻な表情だったため誤摩化のは諦めた。
 多分、結奈を守護するものとして俺の素性がわからないのは問題があるんだろう。

 ただ、それでも全てを話す事が出来ないのが現状だ。勇には申し訳ないが、全てを話す事は出来ない。

「僕は、昔とある訓練に参加していた事があってね」

 語るのは、ほんの少しだけ。必要最低限に絞る。

「そこで、ある程度の武術やら知識やらは仕込まれてるんだ」

「へぇ……そうだったのか」

 探るような視線をぶつけられる。まぁ、そりゃ信用出来ないだろうな。
 まぁ、別に嘘は言っていない。ただ、一部しか話していないだけだ。

「まぁね。他には何か聞きたいことある?」

「んー……これだけは聞いておきたい」

 雰囲気を変え、一段と真面目な表情を作る勇。
 恐らく、これが一番聞きたかったことなのだろう。

「お前は、結奈様のよな?」

「……もちろんだ」

「そうか……」

 俺の言葉を聞き、勇はどこか安心したような表情を浮かべた。

「ま、辛気臭い話はここまでにしようぜ。せっかく来てくれたんだ。飯でも食べようぜ」

 勇が言葉と共に指パッチンをすると、襖の向こうから様々な料理を持った着物姿の女の人がズラズラ出てくる。
 ……なぜ、女の人だけなのだろうか。勇の趣味か?浮気なのかんん??

「あ、先に言っとくけど……女ばっかなのは俺の趣味じゃないからな」

 なぜわかったし。僕って、そんなにわかりやすいのかな?

「まぁ、そういうこった。ほら、どれから食う?」

「……そうだね、これだけ色々な種類の料理があると迷うね」

 再び心を読まれたことに複雑な気持ちを抱きながら、目の前に並べられた料理を見る。
 日本風のお屋敷とあって、やはり和食が大半のようだが所々にパスタなどの洋食もある。
 ……あ、この煮魚おいしい。

「そういえば、勇っていつから結奈と知り合いなの??」

「あー……幼稚園年中くらいの頃か?まぁ、俺は幼稚園行ってないんだけどな」

 思ったよりも昔なんだね。僕はその頃は……いや、思い出すのはやめておこう。思い出すだけで心が辛くなるし。

「ちょうどその頃は当主になるための勉強やらなんやらが沢山あってさ。いやぁ……あの頃は大変だったなぁ……」

 そう言いながら、遠くを見ている。やっぱり、”教育”が厳しいのはどこの世界も一緒なんだね……。






「あっ、ご飯食べてる!!私もお腹空いたな〜!!」

 他にも色々な事を話しながらご飯を食べていると、どうやら結奈達が戻ってきたらしい。

「ごめんね。そろそろ時間稼ぎもギリギリだったから……」

「いや、話は終わってたし大丈夫だ」

 ……なんか、いいなぁ。この夫婦感。通じ合ってるっていう感じがするのって、なんか良いよね。

「二人は、いつから一緒なの?」

「えーっと、それもさっきと同じ位か?」

「そうだね、もう十年以上も前のことだね」

 十年かぁ。凄いなぁ〜!そんなに長く一緒にいるなら、この熟年夫婦感があるのも納得だ。
 ……あれ、そういえば。

「里奈さん、さっきと口調が違うんだね」

 確か、さっきまではもっと丁寧な口調だった気がするんだけど……。

「一応、お客様の前では当主の顔を立てなきゃだからね!でも、啓介君の事は結奈ちゃんから色々聞いたし大丈夫かなぁって」

「まぁ、確かにそれでとやかくいうわけじゃないけどさ」

 別にいいんだけどさ。それよりも、結奈がどんなこと話したのかの方が気になる。

「ねぇねぇ、里奈さんにどんなこと話したの?」

「ん〜?えーっとねぇ……」

 結奈に顔を向けると、指を顎に当てながら顔をコテンと倒した。えっ、なにそれかわいいんだけど。

「啓介君の良いところとか、かっこいいところ……とかかな??」

「そうだね、ほとんど惚気だったかな〜」

 里奈さんも苦笑しながら同意する。なんか恥ずかしいな、自分の知らない事を他人に伝えられるのって。

「あっ、それからね〜……………」

 その後も、結奈の惚気は続き……いつのまにか里奈ちゃんの惚気も始まって僕たちが空気になってきたあたりで、辺りが暗くなってきた。

「そろそろ暗くなってきたし、今日は泊まってけよ」

「あ〜じゃあそうさせてもらおうかな」

 ここなら安全だろうし、結奈もまだ話足りないだろう。

「二人はまだ話すだろうし、先に風呂行こうぜ」

「そうだね、そうしようか」

 勇が立ち上がりながら誘いかけてきたので、僕も立ち上がり勇についていく。


 まだまだ、夜は始まったばかりだ。

「《冷姫》に告白をした結果泣かれてしまったが、なぜかその後積極的に話しかけてくる件」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー331475

    久しぶりの更新、嬉しいです! 次も楽しみにしてます!

    2
コメントを書く