スキルイータ

北きつね

第七十九話

/*** カズト・ツクモ Side ***/

 執事服をきっちりと着こなしたエントが俺たちに向かって歩いてきて一礼した。
 隣に居るヴェネッサは居ない者として扱うようだ。

「大主様」
「おぉどうだ?」
「はい。議会場は掌握いたしました。領主の屋敷も抑えました」

 うん。上手く行ったようだな。

「わかった。犯罪者共は?」

 混乱に乗じたバカどもにはきつい仕事を頼むことになるからな。

「大主様の指示どおりに、議会場の一室に閉じ込めてあります」

 問題はなさそうだな。

「犯罪奴隷共は?」
「比較的綺麗な奴隷商に押し込めてあります」
「わかった」

 こちらも問題はないな。

「おい!どういう事だ!」

 うるさいな。
 気にしてもしょうがないか

「スーンからはなにか言ってきたか?」
「いえ、何も連絡が来ておりません」

「大主様。ゴミどもはどういたしましょうか?」
「ゴミ?」
「えぇ大主様やカイ様、ウミ様、エリン様に剣を向けた罪を犯した者達です」

 ちらりと、そちらを見る。

「俺の名前で保護すると約束したからな、それに、この20名にはやってもらいたい事がある」
「かしこまりました」

 ヴェネッサの方を向く

「なっなんだ」
「ふぅ・・・一応確認しておく、お前は俺に降伏を申し出た」
「そうだ」
「俺はそれを承諾した。20名の安全も保証した」
「あぁ感謝する」
「お前は、俺の捕虜になったと思って間違いはないな」
「そうだ」

 え?まだわからない?
 こいつ馬鹿なのか?
 違うな、狭い世界だけで育てられたのだろう。

「わからないのなら言ってやる。お前たちは、俺の一言で命だけじゃなく尊厳のすべてを失う事になる。そのことを理解しろ。なんなら、男は男娼、女は娼館かゴブリンやオークの苗床にすることだってできる。安心しろ、”生命”は保証してやる!”生命”はな、嬉しいだろう。それとも、犯罪者どもの相手でもするか?」

「なっそんなことが」
「できる。簡単なことだからな。ここに、レベル6変体のスキルがある。お前たちを、見た目場を獣人族にする事もできる。あぁそうだ実験で男を女に変える事ができる事も確認している。その時には妊娠はしないから安心しろ、あと腕や足を複数生やして切り落としても痛みが有るだけだから試してみてもいいだろう」

 明らかに青ざめていく。
 当然だな。今まで上位者として振る舞っていた事が通用しないのだからな。

「・・・それで、私をどうするつもりだ?」
「あ?そうだな。お前には、現実を見てもらうつもりだ」
「現実?」
「あぁそうだ。自分達がどれほど素晴らしい事をしてきたのか?世界がどんなに汚れているのか?そして、お前たちがどんな存在なのかを・・・な」

「・・・」
「承諾と取るぞ?まぁ反対しても無理矢理にでも現実を認識してもらうけどな」

 少し考えなければならないな。

「そうだ。お前1人で生活できるのか?」
「私か?できる!・・・・と思う」
「できるのか?できないのか?」
「わからない・・・したことがない」
「世間では、そういうのはできないというのだ。従者の様な者は居ないのか?」
「居る」
「どこに居る」

 20名を見る。
 正直、こんなに連れて行くのは面倒だし、コイツらには役割を与えるつもりだ。

「全員は無理だ。2名だけ指名しろ」
「わかっ・・・りました」

 やっと立場を理解し始めたようだ。
 聖騎士全員の武装を解除させる。兜と鎧を脱がす。

 20名の中で、女が二名だけいた。
 その二名を連れて行くと指名した。丁度いいかもしれないな。

「聞きたい。ロングケープからアトフィア教の総本山までどのくらいの到着できる?」
「きさ・・・貴殿は、総本山に行くつもりなのか?」
「あ?そんな面倒な事は考えていない。残りの18名を帰すのだろう?食料は必要だろう?」
「え?あっすまない。ロングケープの港から船で10日程度、風と波で違う。それから、馬車で20日だ」

 意外と遠いな。
 エリン達でも1日か2日くらいは必要になるか?

「わかった、向こうの港に付けば、食料は調達できるのか?」
「・・・できる」
「正直にいえ、それによって18名とこれから敗走してくる奴らの処遇が変わるぞ?」
「??」

「なんだ、お前たち、俺たちがここだけで戦闘したと思っていたのか?」
「は?」
「本隊は敗走しだぞ?遅くても、3日後の夜くらいにはここまで逃げてくると思うぞ?」
「そっそんな事があるか?聖騎士1,500の大隊だぞ?負けるわけがない!」
「あっそうか、お前たちが、どこか余裕があったのは、お前を見捨てて、自分の出世と獣人が持つ財産を略奪する事を夢見ていた馬鹿な副将が獣人の街を占領して帰ってくると思っていたのだな?」
「・・・」

「まぁいきなり敗走したと言われても信じられないだろう。いいさ信じなくても、でもお前が俺に負けたのは事実だ!もし、お前が思い描く現実が事実になったとしても、お前たちが負けて俺に捕らえられている事や、ロングケープが俺たちに落とされた事実は変わらないし、覆らない。もし、聖騎士1,500が健在で戻ってきたら、竜族のブレスで屠るだけだ」
「・・・」

「さて、俺はやらなければならない事が山積みなんでな。お前たちにだけ時間を割くわけにはいかない。そこで、ヴェネッサ以下二名には、武装解除してもらって、着替えをしてもらう」
「・・・なにを・・・」
「なぁに、少しだけ現実を見てもらうだけだ」

 三人の前に、メイド服を来たドリュアスが現れる。

「頼むな。服装の準備はできているよな?」
「はい。仰せのものを集めております」
「よかった、3人とも女性みたいだからちょうどよかっただろう?」
「はい。大主様」

 おとなしくなったな。
 ドリュアスに付き添われて、俺たちが乗っていた船に向かわせた。

 そこには、隷属された獣人が着るような服を用意させている。
 屈辱的な服装に違いない。それに、奴隷を示す首輪をさせる。実際にはスキル隷属は使っていないので拒否できるが、部下の命と天秤にかけてもらおう。ここで、小さなプライドが捨てられるようならまだ見込みがあるかもしれないからな。
 まぁ無かったら無かったで構わない。本当に、1人にスキル変体で女になってもらって、犯罪奴隷の相手をしてもらうだけだ。10日の船旅の最中に楽しんでもらえるだろう。

 着替えている間に出せる指示は出しておこう。

 まずは、奴隷商の処遇を決める。
 これは簡単だ。隷属されていた者たちを面通しして、1人でも許さないという意見を言ったら、実験区モルモット送りになる。結局、6名中5名がモルモットになる事が決定した。
 俺としては、1人が許された事のほうが驚きの結果だ。

 その1人は、他の奴隷商とは違うようだ。犯罪奴隷を主に扱っている。隷属されていた者たちは、他の奴隷商が処分しようとしていた者たちを買い取って居たようだ。この奴隷商の妻が獣人で、スキル治療を持っていた。他の奴隷商で病気になってしまって処分されそうな者を救い出して、治療をしたり、読み書きを教えたりしていたようだ。
 そして、今回の騒動で犯罪奴隷意外をいち早く逃したと報告されている。

「カズト・ツクモと言う。貴殿らは?」
「はい。ライマンです。私は、デッセル・ライマン。妻は、マイヤーです」
「ライマン夫妻は、今後どうされますか?」
「どうとは?私たちは、処刑されるのでは?」

 なにか勘違いしている。
 話を聞くと、俺たちの事をアトフィア教の人間だと思いこんでいたようだ。自分たちが、獣人たちを逃した事や妻が獣人なので、見せしめに処刑されるのだと思っていたようだ。

 俺の身分は別にして、ミュルダ/サラトガ/アンクラムの関係者である事を告げて、よかったら移住してこないかと進めた。
 夫婦で考えたいというので、時間を与えて、俺たちがこの街を出る(多分)3日後までに返事を出すようにお願いした。同時に、隷属していた奴隷や犯罪奴隷の代金をスキルカードで支払う事も約束した。恐縮する二人には、護衛を着ける事にした。まだ馬鹿が居るかもしれないからだ。

 次に、混乱に乗じたバカどもの処分を決める。
・相手を傷つけた者は、同じ傷を負わせる。
・盗みを働いた者は、腕を切り落とす。
・強姦をおこなった者は、去勢し、片目と片耳を潰し、利き腕の指を切り落とし、両手の甲とうなじに”強姦魔”と書いた焼印を押す
・人を殺した者は人数に関係なく実験区モルモット送り
・獣人を殺した者は自殺できないようにした上で男はスキル変体で女体化して、女はそのまま、船旅を楽しんでもらう
・子供を殺した者は自殺できないようにした上で男はスキル変体で女体化して、女はそのまま、ゴブリンやオークの苗床になってもらう

 街の外に避難している者たちへの対応だ。事情は、既にエントやドリュアスが説明している。後は、個人の意見を尊重する事にしている。隷属されていた者は、個人の意思と言われても考える力を奪われている場合が有るので、全員ミュルダかダンジョン区に送る事になった。問題は、最短距離が使えない事だ。聖騎士が敗走してくるからだ。俺の予想よりも早く街まで到達しそうなのだ。

 街道を塞ぐ形で横幅100m程度で作るように指示を出した。どうせ、ボロボロの状態で来るから、それだけでも十分だろう。指揮を任せたエントから遠慮がちに進言されたのは、街から少し離れた場所に両脇を山に挟まれた街道があり、そこなら200m程度で道を防げるという事だ。
 エントの意見を採用して、街の外側街道沿いに新しい柵・・・石壁を作っている。塔も作っているがギリギリになりそうだ。なんとか間に合って欲しい。報告では、200mを高さ3mの石壁で封鎖する事はできたようだ。次は、3mの石壁を5mまでの高さにしているようだ。塔は15mで指示を出している。最終的には、10mの石壁になる予定だ。間に合えばだけどな。

「大主様」

 着替えさせていた3人が帰ってきたか。
 おっ似合っているな。さて面倒だけど行きますか?

「おつかれ、似合っているな。さて、これから議会場に行くけど、いいか一言もしゃべるな!絶対にしゃべるな!喋ったら」
「えぇわかっています。こんな格好をさせて、私たちをどうするつもりですか?」
「行けば解る。大丈夫だよ。命の危険は無い」

 二人の騎士が俺とヴェネッサの間に割り込んでくる。

「私たち二人は好きにしろ。でも、姫様だけは姫様だけは頼む」
「そう思うのなら、言葉と態度を改めろよ。大丈夫だ。命のほかにもう一つ約束してやる。お前たち3人が喋らなければ、逃げ出さなければ、指1本たりともお前たちには触れさせないでいてやるよ」
「・・・」「っ!」

「それで私たちは何をすればいい?」
「だから、何もしなくていい。話を聞いていればいい。そうだな・・・後で、意見が聞ければ嬉しいかな。多分、そんな気分にはならないだろうけどな」

 ヴェネッサと女騎士二人と執事風のエントとメイド風のドリュアスをそれぞれ2体連れて、議会場に向かう。
 領主や街の有力者との対面だ。

 不安そうな顔をしている3人を引き連れながら議会場に入っていく、中は恐ろしいほどに静まり返っていた。

 目の前に居る奴らが、ロングケープの領主やら有力者という事になる。両手を後ろで縛られて、床に座らされている。

「さて、この中でアトフィア教の信者がいるらしいが誰だ?」

 1人も名乗り出ない。
 そりゃぁそうだよな。

「大主様」

 エントの1人が、アトフィア教が提供したアーティファクトを持ってくる。

「これは、面白そうなものだな。誰の持ち物だ?」
「私です。貴殿に進呈いたします。私だけでも・・・」

 後ろから、ヴェネッサの怒りの波動がすごい。振り向かなくても解る。

 これが、お前たちが求めた正義だ。

「ほぉたしか、その声は、宣言をした奴だったな?アトフィア教の手先だろう?」
「ちっ違う。私は、そう私ではない。私は、アトフィア教の隊長に脅されただけだ」
「そうなのか?俺の記憶に間違いがなければ、お前たちが首から下げている物は、アトフィア教のシンボルではないか?」

 馬鹿だな。コイツら・・・。
 あれだけ堂々と宣言しておいて、そのまま突き進めばある程度は良かったものを・・・。

「儂等は関係ない。領主が勝手に決めたことじゃ」
「わかった」

 何がわかったって、コイツら全員実験区モルモット送り決定だ。
 妻子もいるだろう。話は聞いてやる事にするか・・・それとも、船に乗せてしまうか?

 船に乗せてしまうのがいいだろうな。恨むなら俺を恨んでくれるだろう。

 なぜか、バカどもに安堵の表情が浮かぶ。許されたと思っているのか?

「お前たちは、俺たちを甘く見すぎたな。あぁそうだお前たちの未来を教えておいてやる。安心しろ、死にはしない、殺しもしない。ただ、実験に付き合ってもらうだけだ」

 反応がないな
 まぁそうだろうな。こんな子供の実験だからな。何をされるのかわからないのだろうな。

「さて、領主。もう一度聞こう。お前は、アトフィア教の信者では無いのだな」
「ちっ違う!」
「お前馬鹿だろう?なぜ、俺がアトフィア教の関係者だと考えない?」
「え?そうなのです・・・か?」
「さてどうだろうな?」

 ニヤリとだけ笑っておく。
 混乱していろ。楽しみはこれからだからな。

「違う質問をしよう。さっき面白いことを言っていたよな?獣人の財産はロングケープの物だとか、隷属するだとか・・・誰がいい出した事だ?ロングケープ街が大陸を導くとかも言っていたよな。面白い冗談だが・・・笑えない。誰が文面を考えた?」
「わ、私ではない。そう、そうだ、アトフィア教の聖騎士の隊長が考えて、これを話せば許してやると・・・」
「ほぉ・・・領主は、脅されて、アトフィア教に入信して、脅されてロングケープ街をアトフィア教に差し出したのだな」
「・・・そうだ、だから、私は悪くない。もとを辿れば、アトフィア教が全部悪い!奴らが、獣人やエルフやハーフを差し出せというから、儂等は従ったまでだ」

「そうか、それは大変だったな。それでは、領主の屋敷で見つかった、アトフィア教への寄進の目録はなんだ?」
「え?あっそれは、アトフィア教の奴らに脅されて、収めなければ、息子を殺すと言われて仕方なく・・・」
「それは大変だったな」

「はい。はい。そうなのです、奴らは、私たちを人と考えない極悪非道な振る舞いで困っておりました。これからは、私たちは、貴方様に忠誠を誓います。ご要望があれば何でもいたします」
「そうか、そうか、それなら、首にかけているシンボルは必要ないよな?」
「え?あっもちろんです。この様な物は必要ありません」

 エントとドリュアスが進み出て、全員が首から下げているシンボルを持って紐の部分を引きちぎる。
 首が持っていかれたり擦れたりしていたいのだろう。小さな悲鳴が聞こえるが無視していこう。

 シンボルには罪はない、正直な所、アトフィア教にはうんざりしているが、救われた人が皆無だとは思えない。だからこそ、宗教としてできるだけ遠くで幸せになってほしいとさえ思う。このシンボルも、総本山に持って帰ってもらおう。

「なっ何を」
「いらないのだろう?」
「あっもちろんです」

 身元照会が終わった。
 目の前に居る連中の屋敷を全部抑えた。

「領主。お前、さっき息子と言っていたが、娘は脅迫されなかったのか?」
「え?」
「あぁぁそうか、秘密にしているのだったな。お前が、面白半分で犯した女が産んだ子供だよ?知っているのだろう?」

 一気に顔色が変わる。

「あぁそうだったな。そっちの商隊の代表と二人で犯したのだったな。女が逃げるのが楽しかったのだろう?男の前で犯すのが好きなのだろう?あぁそうだったな。警備隊の隊長に言って、スキルカードがない夫婦を見つけ出して、獣人の血をひいているとか言って取り調べが必要とか言って楽しんでいたのだろう?やっと思い出してきたか?その時の夫は殺したようだけど、女は生かして弄んだのだろう?」

 後ろが楽しい事になっている。
 ヴェネッサには剣をもたせている。自分が使っていた物ではないが、十分な殺傷能力が有るだろう。俺の結界を破るのは無理だけどな。

「他の奴らも似たり寄ったりのようだな。気に入らない奴の家は獣人の血が入っているとか言って、アトフィア教の名前を使って取り壊して、財産を取り上げたり、娘や嫁を差し出させたり・・・クズの所業だな」

 両手を縛られて、声を出さないようにしているバカどもを見回す。

「もう一度聞こう。お前たちは、アトフィア教の信者では無いのだな?」

 後ろからの圧がすごい。
 二人の女騎士が必死に押さえている。

 誰も俺の質問には答えない。
 それならそれで考えがある。

「そうか、答えないか・・・まぁいい。どのみち俺たちの街に手を出そうとしたことには違いは無いからな。お前たちに、お前たちの家族に、お前たちがしてきた事と同じことをしてやるよ。恨みに思っているやつを探せば、10や20は見つかるだろう」

 後ろを振り向いて変える素振りをする。

「まっ待って下さい」
「あぁ?」

 元の状態に戻る。

「儂は、りょ・・領主とアトフィア教の隊長に脅されただけだ。儂は悪くない。悪いのは、領主と隊長だ!」
「それは本当か?」
「はい。本当でございます。アトフィア教の奴らの言う通りにしないと家族を殺すと脅されました」

 本当につまらない。
 コイツらの相手が疲れてきたな。

「わかった。2日・・・いや、3日待ってやる。俺を説得できたら、この中から1人だけ自由にしてやる。それ意外は、家族はアトフィア教の総本山に送り届けよう。お前たちは、ミュルダ/アンクラム/サラトガの責任者の前に連れて行ってやる。そこで弁明をすればいいだろう」

 エントとドリュアスを見る
「死なないようしろ、餌も与えろよ」
「はっ」「かしこまりました」

「あぁいい忘れた。この中で1人でも次に俺が来るまでに死んだりしたら、連帯責任で全員死んでもらう」

 後ろを振り返って
「いくぞ」

 ヴェネッサの顔が絶望の色で染まっている。
 議会場の周りを、エントどドリュアスに眷属の護衛を付けて監視させる。1人も外に出さない。入れさせない。

 次は、外に連れ出してしまった獣人や隷属された者たちの所だ。

「次はどうするのだ?」
「お前が、汚い醜いと罵った者たちの所だ」
「・・・」
「どうした?怖いか?」

 従者風になっている二人の女も少しだけ震えている。
 それはそうだろう、今までは搾取する側だと思っていた物がちが、搾取される側になる可能性が有るのだからな。

「大主様」
「あぁ聞き取りは終わったか?」
「概ね終了しました。ブルーフォレストに住んでいた獣人は137名です。ペネム街への移住を勧めたところ全員が承諾しました」
「人数は?」
「1,433名です」
「わかった。代表は?」
「まだ決まっておりません。申し訳ありません」
「それならそれでいい。さて・・・と・・・」

 集められている場所に移動する。
 そこで、宣言をする。1,433名の受け入れを許諾する旨。しかし、今敗走している聖騎士達がこちらに向かっている。それを処理してから向かうか、大きく迂回して目指すかを決めて欲しい旨を告げる。

 一度ロングケープに戻りたいという者も出てきた。

”ロングケープに戻りたいという者は戻ってくれて構わない。ただし、中に残っている人族に暴行や脅迫をおこなった者は、犯罪者として断罪する。そのつもりで行動しろ。貴殿たちが受けてきた屈辱を忘れろとは言わない。それを晴らしたいという気持ちも解る。しかし、優位な立場になってからそれを行うのでは、貴殿達に屈辱を与えた者たちと同じになってしまう。俺は、我慢しろとは言わない。いいか、貴殿達はあんな奴らとは違う。街に戻って観察してみろ、貴殿達を蔑んだ奴らは、貴殿達を見て同じ事をするか?しないだろうそれどころか、媚を売ってくる奴らが居るかもしれない。そうしたら、思いっきり笑ってやれ!!”

 そこに集まった者たちの7割が街に一度戻るようだ。
 荷物や着替えを取ってきたいそうだ。

 戻る彼らの後ろを付いて俺たちも戻る事にした。
 2~3日だけど一時的な集落を作る事にした。食料や支援物資も運ばせる。

 さて、確保した宿に入る。
 まぁ目の前でうなだれている聖騎士様が泊まっていた高級宿だけどな。

「さて、ヴェネッサ。二ヶ所付き合ってもらったが感想を聞きたい」
「・・・・」
「まぁそうだろうな」

 今まで虐げられていた獣人やエルフやドワーフやハーフたちは、街に戻っても俺が言ったとおりに人族や今まで自分たちを迫害してきた者たちに対して何も行動を起こさなかった。
 アトフィア教の信者だった者たちは、獣人たちに媚びた見事なまでにだ。それを見て感じて、獣人たちは復讐心も萎えたと言っていた。ただ、目の前で家族を殺した者が目の前に居て、感情が抑えられないと俺に直談判してきた獣人が数名居た。

 俺が捕らえている犯罪者だ。対等な条件なら戦う事を許した。
 獣人に一つだけ有利になるかもしれないのが、犯罪者からはスキルカードを取り上げて、固有スキルを持っていた奴らのスキルは俺が喰らった。固有化スキルで取り上げられる物は全部取り上げた。

 1人で何人もの獣人を相手しなければならない奴も現れるが、獣人たちは1対1を望んだ。そして、殺さない所で終わる。殺してしまったら、目の前の奴と同じになると・・・言って涙を流していた。

 すべての仇討ちを見終わってから、ヴェネッサが何やら考え込んでいる。
 宿屋に戻ってから、何もしゃべらないで与えられた部屋にすんなりと入っていった。

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