泡沫

小田 恵未里

長い蝋燭のまま火は消えた。
細い蝋燭は、音も立てずに折れていった。
今日は珍しく、私の近くで蝋燭が消えたらしかった。
人々は声を潜めて言う。

“見てごらん。まだあんなに長かったのに。”

“まだ火を灯していけるはずだったのに。”

“悲しいことだ。”

“悲しいことだね。”

「ー可哀想に。」
母は私を何度も抱きしめる。
まるでまだ、私の火が消えていないことを確かめるかのようだった。

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