泡沫

小田 恵未里

言葉

あの人が私の悪口を言った。

だから私も言ってやるのだ。
聞こえなければ良いのだ。
あの人だって聞こえなければ、ずっと私の悪口を言っていただろうから。

喉の奥に詰められ、閉まったままだった毒を口から吐き出した。
吐きながら思う。
貴方はとても良い人だったのに何故こんなことを、と。

ああ、そうか。
私は良い人に嫌われるのが嫌だったのだ。
だからあの人を悪い人にしたいのだ。
良い人に嫌われる自分を、なくしたかっただけなのだ。
とんだ自己防衛だった。

毒がなくなっていく。
その後、私に残るのは悲しみだけだ。

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