雑学部!!

白兎

ジーパンの雑学

「こんな感じか?」


 達也は今、鏡を前に一人ファッションショーを行っていた。
 明日はレイの合コンの日。別に服装をしっかり決める必要はないのだが、哲司からレディに失礼のないよう服装から決めろ云々とどこかの海賊コックみたいなことを語られたので、珍しく鏡の前で奮闘している。


「めんどくせぇ。ジャージじゃダメなのか? 駄目だよな」


「どうしたのお兄ちゃん、鏡の前でごそごそと。厨二病再発?」


「再発って……俺が元厨二病みたいな発言は止せよ。あんときはあれだ、テスト前だったから」


「一年間のテスト期間って長いね……で、結局何してるの?」


「あぁかくかくしかじかで」


 説明すると、達也の妹、佐奈は得意げな表情。


「なーんだ。それなら私に相談してくれればいいのに。まかせて、お兄ちゃんが脇役から主役になれるようばっちりコーディネートしてあげる!」


 やる気満々の佐奈に、達也は断ることができなかった。




「ふふふ~ん、ふ~ふんふ~ん♪」


「楽しそうだな。別にそれなりに決めれば何でもいいよ。そこまで求めてないし」


「だーめ。お兄ちゃんは人との交流が少ないんだから、こういう場でしっかりとアピールしないと」


「妹に服を選んでもらってる時点でアピールも何も……」


 そんな独り言をつぶやく達也を他所に、佐奈は着実に服を決めている。残りはズボンだけなのだが……


「お兄ちゃんジーパンとか持ってないの?」


「そこに入ってるだろ? 黒いジーパン」


「いや、青のジーパンがベストなの。なんで黒があって青が無いの? 普通青のジーパンの方が持ってるでしょ……今思ったんだけど、なんでジーパンの色は青がイメージ強いんだろ?」


 唐突な疑問に、達也はベッドに腰をかけながら、


「ジーパンは元々アメリカの鉱山で働いてた人が丈夫な衣服ってことでテントの生地で作ってたんだ。その時は染色されてなかったんだが、近くに医者のいない環境だったから、毒蛇や毒虫対策として、毒蛇、主にガラガラヘビが苦手な色の青にそめたそうだ」


「へーじゃあジーパンは虫よけにもなるんだ」


「まぁ今は天然じゃなくて人工的な染色だから効果は無いけどな」


 そうこうしているうちに、佐奈はこれで決まりと服を並べていった。そして、何セットか選ばれた服を準瓶に試着し、佐奈が出した結果は……


「顔が死んでるから減点」


 達也にとって身なりとは一体何だったのだろうか……



コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品