雑学部!!

白兎

クラゲの雑学

 海行きたいなー


 突然そんなメールが津樂の元に届いた。発信元は一ノ瀬だ。
 夏休み後半。津樂は祭り以外で外に出ることはなく、家でダラダラと過ごしていた。ちなみに夏休みの宿題は七月中に終わらせ、残りを自堕落に過ごすのが津樂の夏休みの過ごし方だ。


「海か……」


 津樂がボソッと呟き、ケータイの電源を切ったその時、家のインターホンが鳴った。津樂はクーラーの聞いたリビングでソファーの上で寝転んでいる。外はセミの鳴き声が響き、太陽の光は見事なまでに輝いている。 今日は一番の暑さになると天気予報で確認し、絶対に外に出たくない津樂は、インターホンの音を聞かなかったことにした。のだが……


「もう、いるんなら出てきてよ」


 突然一ノ瀬がリビングに侵入。津樂はソファーからその体をすぐに起こした。何故入ってきているのか疑問に思ったが、ドアもとでこちらを見ている人物で納得。


「佐奈……」


「いやー達也くんにこんな可愛い妹がいるなんて知らなかったよー。佐奈ちゃんも海行く?」


「行きたい!」


 二人は初対面のはずなのに妙に仲良くなっている。これがコミュ力の差なのだろうか。
 そして、数秒遅れて霧崎が入って来た。


「お前もいたのかよ」


 どうやら日焼けしないよう露出の少ない服装に、なぜかもう疲れているようで、とりあえず中へと入れ飲み物を出した。


「メール見たでしょ?なんで返してくれないの?」


「お前今日の暑さ知ってる?」


「それは私も言ったのだけれど無駄ね。尚更海に行こうって聞かないもの」


「この暑さじゃ移動してる間に倒れるって」


「それなら大丈夫。雪代先生がそこに車止めて待ってるから」


 まさかの雪代がいることに、津樂はより一層面倒くさそうな表情。しかし、なぜかもう準備を終えている佐奈に、津樂は断る理由が少なくなっていた。


「で、でもほら、今はクラゲも危ないし」


 絞り出した理由に、一ノ瀬は意味不明な返答。


「大丈夫。今は人も多いからクラゲも避けるように深瀬で泳いでくれるよ」


「どういう理屈だよ。それに、クラゲは泳げないから自分の意思で移動出来ねぇし」


「そうなの!?いやでも水族館で普通に……」


「あれは水槽内で潮の流れを作って、泳いでるように見せてんだよ。流れを止めたら沈むし、海でも潮の流れで移動してるんだ」


「そうなんだ……」


 一ノ瀬が聞き入ってると、霧崎も水分を補給し、少し元気が戻ったのか、


「たとえ泳げたとしてもクラゲは脳みそ、心臓がないから、人間がいるなんて認識は出来ないでしょうけど」


「そうなの!?」


 一ノ瀬が関心し、あと一息というところで、雪代が待ちくたびれたのか乱入。
 津樂は結局雪代の威圧に押され、断ることができなかった。  



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