雑学部!!

白兎

ゲームの雑学

「う~どっちが良いかな~」


「いいから早く選べよ」


 一ノ瀬は二つの選択肢で悩んでいる。
 正解を選べば勝ち、違えば負けとなる。


「決めた!こっちだ」


 一ノ瀬がついに片方を選んだ。


「うわ~またババだ~」


 津楽たち雑学部は、部活にてババ抜きをしていた。先ほどから一ノ瀬は連敗している。


「今度こそ!」


 一ノ瀬は二枚のカードをシャッフルし、津楽に向ける。
 津楽がカードを選ぼうとすると、


「は~!あっ!?」


「……なんか、そろそろ罪悪感が沸いてきた」


「そうね、さっきから一ノ瀬さんポーカーフェイスがなってないもの」 


 一ノ瀬はカードを取られる度の反応が大きく、二択となればどっちがババか容易にわかるのだ。


「う~だってつい反応しちゃうんだもん」


「ま、正直な性格は良いと思うけどな」


「でも、なかなかゲームとなれば勝てないんだよね」


「ゲームは頭脳戦がほとんどだからな」


「ちょっとそれ、遠回しに馬鹿って言ってない!?」


「そんなことねぇよ」


「そうよ、考えすぎよ。あなたの頭が悪いのではなくて、私たちが良すぎるだけなのだから」


「あー自分で言っちゃうんだ……」


「結局、一ノ瀬はどんなゲームなら得意なんだ?」


 津楽の質問に、一ノ瀬は頭を悩ませて答える。


「……しりとり?」


「……じゃ、じゃあ、やってみるか」


 こうして、しりとりが始まった。順番は一ノ瀬、津樂、霧崎の順だ。


「じゃあ、しりとりの『り』からね。りんご」


「ゴイサギ」


欺瞞紙ぎまんし


「……あ、ええと、『し』ね。そうだな~、シマウマ」


「マイクロカプセル型電気泳動がたでんきえいどうディスプレイモジュール」


「ルカン礁」


「……え、えっと『う』だから、牛」


潮合開作しあいかいさく


「クイーンズプロミス」


「……『す』だから、酢飯」


椎尾長管薊馬シイオナガクダアザミウマ


「マカディア グリーンティー」


「マニアックすぎるよ!!」


 突然一ノ瀬が立ち上がって叫んだ。


「どうした急に」


「なにか問題でもあったかしら」


「しりとりでこんなに知らない単語聞いたのは初めてだよ!!」


 このメンバーでのしりとりは難しいようだ。


「なら、絶対に勝てるゲームを教えてやろうか?」


「絶対に勝てるゲーム?そんなのあるの?」


「ああ、数さえ数えられれば大丈夫だ。いや、一ノ瀬には難しいか」


「ひっぱたくよ!数くらい数えられるよ!?で、どんなゲーム」


「一度やってみるか。まず、コインを三十枚用意する。そして、交互にコインを取っていき三十枚目を取った方の負け。一度に取れるのは三枚まで。パスは無しだ。やってみるか」


「うん」


 結果は、


「すごーい。十回やって全敗しちゃった。でも、なんで?」


「このゲームは勝てる法則があるんだよ」


「法則?」


「まず、一枚目を取る。次に五枚目、次に九枚目といって、プラス四枚目の数を取っていくと……」


「ほんとだ、二十九枚目が取れる」


「先攻なら確実、後攻でも相手がこの方法を知らなければ連続で正解を取る可能性はかなり低いから一回でもこの法則に乗れば勝てる。」


「すごい!霧崎さん知ってた?」


「ええ、まぁ、私もこのゲームでよく姉から小遣いを取ってたから」


「マジかよ、お前」


「良い子は悪用禁止ね!」


「一ノ瀬は誰に言ってんの?」


 今後、このゲームを雑学部でやることはなく、一ノ瀬が敗北することは変わらなかった。



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