雑学部!!

白兎

迷信の雑学 写真編

 津楽たちは次にゲームセンターに来ていた。


「騒がしいところね。耳が痛くなってくるわ」


「ゲームセンターなんてこんなもんだろ」


 耳を押さえる霧崎。普段ゲームセンターのような賑やかな場所に行くことがないため慣れていないのだ。
 もちろん一ノ瀬は気にすることなく霧崎の手を引き連れていく。霧崎もついていくあたりそこまでいやではないらしい。


「じゃあ、最初はこれね。‘‘ドラムの達人’’」


 ドラムの達人とは音楽に合わせてドラムを叩く、すなわち太鼓のあれだ。


「俺これ苦手なんだけど……」


「私は結構得意だよ。友達とよくやるし」


 自信満々な一ノ瀬と苦手意識のある津楽。そんな二人と違って霧崎は困惑していた。


「これはどういうものなの?」


「え!?お前これ知らないの?」


 霧崎のことだから、やったことないだろうとは思っていたが、まさか存在自体知らないとは思ってなかった。一ノ瀬は霧崎にルールを説明する。


「とりあえずやった方が早いよ」


 そう言って一ノ瀬は霧崎にばちを渡す。霧崎は戸惑いながらもばちを受け取り、隣でプレイしている一ノ瀬の真似をする。だが、一ノ瀬がプレイするのは鬼レベルだ。真似をしていた霧崎はもちろん――


「霧崎さん!?それ鬼レベルだよ!?」


「え?あなたのやってるようにやったのだけれど……」


 そんなことをやっていると曲が始まった。二人は画面に目をやる。そして――


「フルコンボ!!」


「……ウソ!?」


「お前ホントに初めて?何度もやってんじゃないの?」


 霧崎の成績はフルコンボ。一ノ瀬よりも良く、津楽と一ノ瀬は驚愕している。
 霧崎は先ほどまでの困惑した表情は一切なくなり、ドヤ顔している。


「こんなの合わせて叩くだけなのだから簡単よ。こんなものが苦手なんてちょっとスペックが低いわよ」


「お前のスペックが高すぎるんだよ。初プレイが鬼のフルコンボとか聞いたことねぇぞ」


「私、天才だもの」


 自分で言っていることに何か言いたいが実際に成果を出しているので津楽は何も言えなかった。


「さて、次はプリクラ行こ!プリクラ」


「ぷ、プリクラ?」


 霧崎はプリクラの方も知らないみたいだ。


「プリクラっていうのは写真を撮ってかわいく編集できるものだよ。ほら、こんな感じ」


 一ノ瀬は財布に入れてあったプリクラを霧崎に見せる。


「これが一ノ瀬さん?随分変わっているけど……」


「こういうものなの!早くやろ。津楽くんも!」


 一ノ瀬は二人の手を引き、中に入る。


 一ノ瀬はウキウキで画面をタッチしている。霧崎はどうしたらいいか分からず突っ立っており、津楽は居づらそうにしている。


「よし完了。二人ともカメラ向いて」


 一ノ瀬の言われるままにカメラを見る。すると、一ノ瀬は津楽と場所を変わる。津楽は気にはなったが時間が迫っていたので特に何も言わなかった。


 ――パシャリ!






「きれいに撮れたね」


「これがプリクラ……」


 霧崎は嬉しそうにしている。 
 津楽は先ほど気になって言えなかったことを質問する。


「なぁ一ノ瀬。撮るときなんで場所変わったんだ?」


 一ノ瀬は言いずらそうにしながら答える。


「いやだって、三人で写真を撮ると真ん中の人が早死にするっていうじゃん?私長生きしたいし」


「俺ならいいのかよ。それにそんなの迷信だぞ」


「そこまで信じているわけじゃないけど、昔から言われると不安になるんだよね」


「そういわれるようになったのは昔のカメラのせいだ。昔のカメラは真ん中の人しかピントが合わないことから、はっきりと映る分魂を盗られると考えられたんだ」


 津楽に続くように霧崎も話す。


「それと、昔は写真館で高い金額で写真を撮っていたことから、真ん中には年長者や偉い方が多く、一番早く亡くなるからという説もあるわ」


「なん~だ。そういうことなんだね。じゃあこれからはガンガン真ん中で撮ろ。そうと決まればもう一枚撮ろ!」


「え!?ちょっと……」


 一ノ瀬の霧崎を引き連れていく姿を見て、おそらくこの中で一番長生きするなと思う津楽だった。





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