君と俺の一年

星河☆

初めての〇〇・・・

 昨日と同じように8時30分にまりあの家の前に行くと
 「鈴木君! ごめんね~。今日まりあ風邪引いちゃって……お休みするから……ごめんね……」
まりあの母親が申し訳無さそうに頭を下げて言った。
 昨日はそこそこ元気そうだったけどな……
 「大丈夫ですか? 学校で何かあったなら僕に言って下さいね?」
俺がそう言うとありがとう。と言って家に入っていった。




 まりあもついてないな……
 登校二日目で風邪って……
 まりあと登校出来ずにちょっと残念だがまりあは風邪なんだから仕方ない。そう思って足を進めた。




 「おいっす! あれ? 奈津美は?」
匠達との待ち合わせ場所に着いたが、奈津美が見当たらないため匠に聞くと
 「いや、それがあいつ風邪引いちゃってさ・・・そう言うお前のあれが居ないじゃねぇかよ」
そう言って匠は右手の小指を立てた。
 「だからそんなんじゃねぇっつうの! まりあも風邪だってさ」
顔が少し赤くなってしまったが慌てて言った。
 でも、何故か悪い気がしない……


 「そう言えば何で星河は実行委員何か立候補したんだ?」
通学路を歩いていると匠が聞いてきた。
 俺自身良く分からない……何故か無性にやりたくなってしまった。
 「まぁ、なんとなくかな……つーかまりあまで立候補したしな……何でだろうか……」
俺が空を見上げながら言うと知るかよ。と匠は啖呵を切るように言った。




 学校に着くと同じクラスの白石幸成しらいしゆきなり
 「あれ? 昨日はあの子と同じだったのに今日は居ないの?」
あの子とは恐らくまりあの事だろう。奈津美の事は知ってるからあの子とは言わないはずだ。
 「今日は風邪で休みだってさ」
俺が幸成にそう言うとふぅんと言って教室に入っていった。
 幸成は俺と匠と同じ中学で同じ中学の連中は幸成の事を情報屋と呼んでいる。幸成はどんな情報でもすぐに持ってくるし、情報を教えてやれば代わりの情報を教えてくれる。




 「なぁ、渡辺さんの情報何かないか?」
俺と匠が教室に入り、席に座ると幸成が聞いてきた。
 情報屋としては嬉しいんだが俺自身好きな子の情報はあまり好き好んでやれない。
 というかあまりまりあの情報は無い。群馬に住んでた事くらいしか知らない。
 「情報って言っても何もないよ?」
俺が言う前に匠がそう言った。
 匠は多分俺の気持ちも理解してくれると思う。
 「本当か? 何か知ってるんじゃないの?」
幸成は食い下がるが本当に何も知らない。




 しばらく押し問答が続いたが結局幸成も諦めて自分の席に戻った。






 昼に匠と屋上で飯を食べていると
 「星河は渡辺のどこが好きなの?」
突然匠が聞いてきた。
 普通の高校生等はこんな恥ずかしい話は友達と言えど話す事は無いと思うが俺と匠は大の親友で親同士も仲がよく、家族同然なのだ。
 「ん~……始め会った時にピンと来たかな……まぁ、一目惚れだな」
俺が初めてまりあと会った時、初めて目が会った時に完全に一目惚れだった。
 どこが好きとか無い気がする。説明できないけどそんな気がする。


 「そっか……まぁ、頑張れよ!」
匠はそう言って俺の背中をポンと叩いた。






 「じゃあ、今日はこれまで! 鈴木! お前渡辺と家近かったよな? 書類とか届けてくれるか?」
HRの最後に前田が今日の宿題や、学校で出た書類などをまとめて言ってきた。
 「先生! 私も行きたい!」
前の方で手が上がった。
 手を上げたのはクラス委員の佐藤由美さとうゆみだ。こいつは匠とはあんまり話していないが俺とは中学の時からたまに話しいる。


 「そうか……でも佐藤の家は真逆だろ?」
前田がそう言うと
 「転校生と仲良くなりたいから!」
由美ははそう言って無理やり書類等を奪った。
 「じゃ、じゃあ鈴木と佐藤で……でも、鈴木は今日実行委員の集まりあったよな? 佐藤は渡辺の家知らないから一人じゃ無理だもんな……」
そう言えばそうだった……
学校では個人の家等は生徒によほどの理由がないと教えられない決まりがあるから由美一人ではまりあの家に行けないのだ。


 「じゃあ今日は鈴木に任せるな! 良いな? 佐藤?」
はぁいと言って由美は書類を俺に渡してきた。




 HRが終わって実行委員の集まりに向かおうとしていると
 「ねぇ、鈴木君! 私待ってるから渡辺さんの家まで連れてってね?」
由美が話しかけてきた。
 俺一人で行きたかったのに……と心では思っているが口には出せない。
 「でも何時になるか分からないよ? しかも由美の家は反対だろ? まりあの家に着いたとしても由美が帰宅するの遅くなっちまうよ?」
由美の家は知らないが先程前田がそう言ってたのでこのように言った。しかし
 「うん! 全然いいよ! 待ってるから先に行かないでね!」
由美はそう言うと走って行ってしまった。
 無理やり決められてしまった……
 俺は断るのが本当に出来ない男なのだ……






 実行委員の集まりが終わり、教室で帰り支度をしていて時計を見るともう6時になっていた。
由美は待ってるかな? と思いながら急ぎながら下駄箱へ行くとやはり待っていた。
 「遅すぎ~! 早く行くよ!」
そう言って靴を履き始めた。






 「鈴木君は渡辺さんと前から知ってるの?」
いつも匠達と別れる道を通り過ぎた頃に由美が聞いてきた。
 「いや、そんな事無いよ。ただ学校で初めて会ったのが俺と匠で、たまたま俺と家が近かったてだけだよ」
俺が言うとそうなんだ~と言って何か考え始めた。




 由美は勉強はそんなに出来ないがある意味頭は良い。
 大勢をまとめる事が出来るし、問題児や、不登校の子とも仲良くなれる。
 そんなところから男女問わず友達は多い。




 「ここだよ。まりあの家」
まりあの家に着き由美にそう言ってインターホンを鳴らすとまりあの母親が出てきた。


 「あら、鈴木君! と・・・お友達?どうしたの?」
俺と由美を見て驚いたがこちらに歩いてきて聞いた。
 書類等を届けに来たと伝えるとまりあを呼んでくると言って中に入っていった。




しばらく待っていると
 「星河君。と……ごめんなさい……」
俺を見て俺の名前は言ったが由美の名前はまだ分からないみたいだ。


 「私はクラス委員の佐藤由美だよ! よろしくね! 今日は宿題とか書類持ってきたからさ!」
そう言って由美は自己紹介した。
 「あ、ありがとう……」
まりあはやっぱり声が小さいがはっきりお礼を言った。


 「もう風邪の方は平気なの?」
俺がそう聞くと
 「うん。大丈夫。ありがとう」
まりあは頷いてそう言った。
実行委員の集会の結果等も伝えた。






 「じゃあ、また明日ね!」
由美がそう言うとまりあは頷いた。
 「8時半に迎えに来るからさ! 風邪が本当に治ったら来てね!」
俺がそう言うと再び頷いた。




 まりあが家に入った後に由美が
 「じゃあ、鈴木君明日ね!」
そう言って手を振ると
 「こんな暗くなってきてるのに女の子一人で帰す訳にはいかないでしょ」
俺がそう言うと由美は少し目を丸くした。
 「でも、鈴木くんは平気なの? 時間」
俺は時間はあんまり気にしない。
 「俺は大丈夫だよ! 男子が女子を暗い中一人で帰らしてたら罰当たるよ」
笑いながら言うと由美は少し俯いてありがとう。と言った。






 
 小一時間歩いた時に
 「ここが私の家だよ! ありがとうね!」
由美がそう言うとそれと……と続けた
 「あのさ……鈴木君て私の事どう思ってる?」
由美が突然聞いてきた。
どう思ってる? ってどういう事?


 「うん……クラス委員として凄く頑張ってると思うよ! 色んな子と話したりして中学の時から尊敬してるよ!」
俺がそう言うと由美は顔を赤くして
 「そういう意味じゃないよ!」
大きな声を出して俺に言った。
 え? どういう意味?
何で怒られなきゃいけないの?
 俺が混乱してると
 「私さ……鈴木君の事中学の時から好きなの……」
顔を真っ赤にして俯きながら言った。


 すんません……マジっすか……
俺は告白なんかされたのは初めてでどう答えて良いのか分からず戸惑っていると
 「ごめん!」
そう言って家に入っていってしまった。




 俺はしばらくその場を動けなかった。
 俺はまりあが好きなんだけどさ……






 俺は取り合えず帰り道を歩き始めた……



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