君と俺の一年

星河☆

俺たちの始まり

 「おはよう!」
朝の8時30分。まりあの家の前で元気よく挨拶した。
 「お、おはよう……」
まりあは恥ずかしがりやだとまりあの母親が言っていたがやはり本当のようだ……
 「じゃあ、行こうか?」
今日は新年度二日目、まりあとは昨日会い、一緒に登下校する事になった。
 俺としてはもの凄く嬉しい……完全に一目惚れだったからだ。




 しかし、いざ二人で歩くとなると話すことがあまりない……
 「あのさ、転校って初めてなの?」
いざ話を振ってみると声が裏返ってしまった。するとまりあはクスっと笑って
 「うん……初めて……」
と小さい声だが笑ってくれた。
 「まぁ、高校で何かあったら俺に直ぐに言ってね!」
力強く胸を張って言うと
 「う、うんありがとう……」
やっぱり声が小さい……


 話すことが無くなってしまいお互い黙っているとふとまりあの横顔を見てみた。
 鼻が高く、顔のパーツがはっきりとしている。とても整っている顔だ。
 「どうしたの?」
見られている事に気づいたまりあは小さい声で聞いた。
 慌てて俺は顔を背けて何でもない・・・と言った。




 「ここで匠と奈津美をいつも待ってるんだ! まぁ、あの二人いつも遅いんだけどさ……」
後半は少し笑いながら言うとまりあも少し笑ってうん。と頷いた。
 それから10分程待っていると
 「おお~!! わりぃ~!遅れた~」
匠と奈津美が走ってきた。
 「あれ? 星河兄ちゃんの彼女~??」
奈津美はからかう様に肘を俺のおなかに突付いてきた。
 俺は慌てて


 「ち、違うよ! 今日転入してくる子で、同じ道だからこれから皆で一緒に登下校しようかって話になったんだよ! 変な事言うなよ奈津美!」


そう言ってチラっとまりあの方を見るとまりあは顔を赤くして俯いてる。
 「奈津美は知らないから紹介するね! この子は渡辺まりあ! 俺と匠と同じクラス!」
気を取り直して奈津美にまりあを紹介すると
 「そっか! 私匠の妹で奈津美です! よろしくね!」
奈津美は上下関係があまりない……というか全くないので年上でもタメ口を利く。
 「よ、よろしくね」
あれ? ちょっと声が大きくなった……やっぱり女の子が居た方が安心するのかな……
 そう思いながら楽しく談笑……とはいかずに学校に着いてしまった。
 「じゃあお兄ちゃん、星河兄ちゃん、まりあ姉ちゃんまたね~」
いつの間にかまりあの呼び方が姉ちゃんになっていた。
 まりあは少し嬉しそうに笑って小さく手を振った。




 まりあは教室に行く前に職員室に行かなければいけないらしく俺らとは一旦別れた。
 「なぁ、お前いつの間にあの子ゲットしたんだよ?」
終始黙っていた匠が突然聞いてきた。
 「ゲットなんてしてねぇよ! 昨日匠達と別れた後にたまたま会ってこういう話になったんだよ」
そう説明するとふ~んと言って教室に入った。




 クラスの連中と話している時もまりあが頭から離れなかった……




 「皆席につけ~!!! 昨日言った転校生紹介するぞ!」
まりあが入ってくると周りがざわつきはじめた。
 やはりまりあは誰から見ても可愛いようだ……




 前田がまりあを紹介した後に
 「じゃあ渡辺の席は鈴木の隣だからな」
え? 俺の隣??? え? ラッキーじゃん……
そう思っていると前の席の匠がガッツポーズをした。




 まりあが俺の隣に座ると
 「よろしくね」
俺がそう言うと
 「実は先生に頼んだんだ……少しは知ってる人の方が良いって言ったら鈴木君の隣にしてくれたの。迷惑じゃないならよろしくね」
まりあは顔を赤くして俯きながら言った。
 俺的には大大大歓迎なんだが……
 「迷惑なわけないじゃん! あと、星河で良いよ」
俺が笑いながら言うと静かに頷いた。




 「それと、6月にある埼玉高校花火大会の実行委員を決めるんだが誰か立候補してくれるのは居ないか?」
HRの出席をとった後、前田が皆に聞いた。
 学校の花火大会は見るのは楽しいが準備するのは相当骨が折れる……だから誰もやりたがらない。
 「誰かやってくれよ~。俺のクラスから立候補者だしたいんだよ~」
前田が頭を掻きながらだるそうに言う。
 まぁ、最後の花火大会だからやってみようかな……そう思っていると
 「鈴木! やらないか?」
急に前田が俺に話を振ってきた。
 「え? 俺? ……まぁ、やります……」
そう言うと周りからマジかよ! や、ご愁傷様~等声が上がった。
 「うるせ~よ。しゃあね~やろ!」
俺はたまに関西弁が出てしまう。前田があと一人居ないか~と聞いていると
 「あ、あの、私やってみたいです……」
何とまりあが手を上げた!すかさず俺が
 「まりあ! これやるの結構やばいよ?」
小声で言うがまりあは聞いていない。と言うか顔を真っ赤にしながら手を上げているので恐らくかなり緊張して聞こえていないのだろう……


 「じゃあ、渡辺と鈴木! よろしくな!!! 帰る前に職員室に来てくれな~」
そう言ってHRは終わった。




 休み時間にまりあの周りには女子、男子が集まって話が出来ない……
 でもまぁ、帰りに話せば良いか……そう思いながらまりあを見ていると
 「星河! お前ストーカーと勘違いされるんじゃないのか?」
匠が言ってきた。ニヤニヤしている。
 「良かったじゃん! これでいつでも彼女と一緒!」
やはりニヤけて匠は言う。
 「彼女じゃねぇし! ま、まぁ、一緒には居れるけど……」
恐らく今、俺は顔が真っ赤だと思う。匠も俺を見てまだ笑っている。


 でも何でまりあは実行委員に立候補したんだろうか……
 そんな疑問があるが、今はまりあと一緒に居られる事が嬉しくてたまらないが顔に出してはいけない。
 俺は嬉しい事などを顔に出してしまうともの凄くニヤけてしまうからだ……






 昼食の時間になり、まりあに
 「まりあは弁当なの?」
そう聞くとやっぱり顔を少し赤くして
 「うん・・・殆ど弁当かな・・・・」
俯いて言う。
 「俺、いつも匠と奈津美と一緒に飯食べてるんだけど一緒にどう?」
まりあと一緒に居たいっていうのもあるが転校してきたばかりなので一人だからだ。
 するとまりあが
 「うん……よろしく……」
小さい声でそう言った。




 屋上に着き、匠達の所に行くと
 「やっと来た! 遅い~」
奈津美が手招きして自分の隣を指差した。
 俺かと思いきやまりあを呼んだ。
 奈津美もお姉ちゃんが出来たようで嬉しいんだろう……
 「まりあ姉ちゃんってどこから来たの?」
奈津美がまりあに聞くと
 「群馬の田舎だよ……」
相変わらず声は小さいが奈津美と話している時は少し声が大きくなる。




 「群馬か~行った事ねぇな~」
匠がそう言うと
 「俺はある! 中学のとき旅行に行った!」
俺が言うと以外にもまりあが反応して
 「どこに行ったの?」
そう聞いてきた。
 まりあが反応して俺は始めは驚いたが直ぐに答えた。


 朝よりは多く話せたと思う……






 一日が終わり、HRが終わると
 「じゃあ、鈴木と渡辺はこの後職員室に来てな~」
前田がそう言うと俺とまりあが返事をした。




 二人で職員室に行くと
 「今日は特に何もすることはないけど実行委員の顔合わせって事だけやるから総合会議室に行ってくれ」
前田から言われ会議室に行くともう他のメンバーは揃っていた。
 俺とまりあが席に着くと花火大会担当の体育教師の佐藤優さとうゆうが話を始めた。
 「皆揃ったな! 今日は大体の説明と顔合わせだからよろしく!」
佐藤がそう言うと皆お願いします。と言って頭を下げた。
 「実行委員の役割分担を発表すぞ~」
そう言って組ごとに書類が渡された。
 俺とまりあの役割は花火を打ち上げる際の土台作りだった。


 その後皆自己紹介をしてその場は解散となった。






 もう匠と奈津美は先に帰っている。花火大会が終わるまではその予定になっている。
 登校は一緒だが……




 まりあと一緒に帰っている時に
 「土台作りって体力要るからきつかったら言ってね?」
俺がそう言うとありがとう。と小声で言った。




 まりあの家の前に着き
 「じゃあ明日も8時30分に迎えに来るからね! ばいばい!」
そう言って手を振ると
 「うん。ばいばい」
そう言ってまりあは家に入っていった。




 空を見上げると夕日で空が真っ赤になっていた。
 まるでまりあの顔みたいに……





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