ネルバ・ハリクラーの特殊な学校生活
事件なの?
夜が明ける頃に目を覚ましたネルバはふと窓の外を見た。何故か閉めていたはずの窓が開かれていた。ネルバは警戒しながらベッドから起き上がり、ゆっくりと窓に近づいた。そこでネルバは気づいた。そういえば昨日の夜にネルバのペットであるマスタングに手紙を託していたのだ。皆のペットが寝ているベッドを見てみるとマスタングは手紙を抱えて眠っていた。
何だ――。
ネルバは安心して窓を閉めて、小声でマスタングを呼んだ。
「キュイー」
眠そうなマスタングが主人の声に反応して起き上がり、ネルバのベッドに飛んだ。
「ごめんな。手紙ご苦労様」
ネルバがそう言うとマスタングはネルバの指を甘噛みしてベッドに戻った。
手紙は全部で五通あった。セルビアスはこの部屋の四人と手紙を運んでくれと頼みに来たドーンの五人の全部に返事をくれたようだ。
ネルバは自分の名前が書いてある手紙を出して開いた。
『ネルバ、ショーイの話しを聞く限り殆ど一人でホルスルを倒したようじゃないか! 一年生でそこまで出来るのは凄いぞ! 今度町に来たときに詳しいことを教えてくれ。ただしこれで安心してはいけないよ。これからもっと苦労するから今のうちにいっぱい勉強して頑張るんだぞ! セルビアス・モールター 追伸:君のペットのマスタングは非常に頭が良いな! 私の所に来たときに疲れて飯を寄こせと唸ったよ(笑)でもその後は私に感謝してくれてね――。大切にしなさいね』
ネルバはその手紙を読んだ後笑みがこぼれた。自分の事を褒められたしマスタングの事も褒められた。ネルバはそれが嬉しくて眠気が完全に覚めてしまった。
ネルバは教科書を読もうと、本を取ろうとした時にマスタングが飛んできた。マスタングはネルバの膝の上に乗ると甘えるように頭をこすり付けて寝る姿勢になった。ネルバはマスタングを撫でながら教科書を読み始めた――
「セルビアスからの手紙だよ!」
ネルバ達四人は朝食を摂るために中央大広間に下りるとドーンが座っていた。
「ネルバありがとう。セルビアスは皆に返事くれたでしょ? あの人暇だし几帳面だから手紙くれた人には絶対に返事書くんだよ」
ドーンはそう言って笑いながら手紙を受け取って読み始めた。
「しかし夜中に寒いと思って目が覚めたんだけど、マスタングが犯人だったとはな~」
四人が椅子に座るとショーイが笑いながら言った。マスタングは何故か誇らしげにネルバの頭上をクルクル飛んで回っている。
「何か偉そうに飛んでるよ」
ネルバがマスタングを指差して言うと四人は腹を抱えて笑った。
「皆! 魔物には善し悪しがある! ペットにもなるピクシーは勿論良い魔物だ。これからの二週間はベルクスを学ぶ! まずはベルクスの生態からだ! 教科書の十五ページを開いてくれ!」
ネルバは友達達とは別の魔物生物類の授業を受けていた。ネルバは全能師ではあるがどの特殊能力が長けているか分からないため、今の所全ての授業を受けているのだ。
「じゃあ十五ページの三行目を読んでくれ。ここにある通りベルクスは簡単に呼び出せる魔物だ。ただ呼び出す場所を間違えると大変なことになる。いくら簡単に呼び出せるからと言って一年生が最初から呼び出せるなんてありえない。まぁたまには呼び出せる奴もいるかもしれないけどな――。とりあえずベルクスを呼び出すための術を教える!」
魔物生物類担当の教授、バイオ・ザインドはいきいきと授業を行っていた。バイオはたまにネルバを見てウインクをしたり何かあるたびにネルバの様子を伺っていた。
授業の終わりにベルクスを呼び出すためにどんな準備が必要かをノートに書き出す宿題が与えられて授業が終わった。ネルバはバイオに話しがあったためそのまま教室に残っているとバイオが近づいてきた。
「俺の授業どうだ?」
バイオはネルバが話し始める前に聞いた。
「凄く面白かった! 魔物を早く呼び出してみたいよ!」
ネルバはにっこりと笑って答えた。バイオはネルバの答えに満足そうに頷いてネルバの頭を撫でた。
「でもな~、呼び出せるまでまだかかるかもしれないぞ! でも頑張ってればきっと出来るからな!」
「うん! ありがとう! バイオは――、学校ではバイオ先生の方が良いよね?」
「そんな事気にするな! バイオで良い!」
バイオは上機嫌にそう答えるとネルバの言いかけてた事を聞いた。
「バイオは僕が召喚師に向いてると思う?」
ネルバは心配そうにバイオに尋ねた。しかしバイオは静かにゆっくりと首を振った。
「向いている向いていないは俺が決めることじゃない。お前さんが楽しければそれで良いんだ。まぁ、出来るに越したことはないがな!」
笑いながら言うとネルバも笑って安心したような顔になった。
「んじゃ、そろそろ次の授業に行け。遅れるぞ! たまには俺の部屋に遊びに来い! 友達出来たんだろ?」
「うん! じゃあ今度皆で遊びに行くね! ばいばい!」
ネルバはそう言うと手を振って教室を出た。
「今日どうだった? 皆ばらばらだったんでしょ?」
夜、寮の部屋でショーイが他のルームメイト三人に聞いた。
「僕は一回だけジョーンと同じだったよね?」
ネルバはそう言うとジョーンは元気がなさそうな声でうんと言って頷いた。他の三人はどうしたんだろうという顔でジョーンを見ている。
「ジョーン? どうかしたのか?」
ショーイが心配そうに聞いた。しかしジョーンはううんと首を静かにゆっくり振った。ショーイはネルバを見た。ネルバは何か知っているような顔をしていた。ショーイはネルバに下に行こうと人差し指で下を指して合図をした。ネルバは細かく何度も頷いて立ち上がった。
「ジョーン、ちょっと下に行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい――」
やはり元気がないようだ。
「それで? 何があったの?」
ネルバ、ショーイ、タカヒロが寮の広間に着くとショーイが真剣な顔で聞いた。ネルバはうんと少し頷き、椅子に座ると陰陽学の授業の際に何があったか話し始めた。
「最初に自分で簡単な結界を作る事になってね、机の上に結界を張る事になったんだけど、僕もジョーンも他の一年生もやり方が分からなくて先生に聞いたんだけど取りあえずやってみなさいって言われてやったんだけど――」
そこでネルバの話しは止まった。言うのをためらっているかのように浮かない顔をして顔を歪めている。
「それでどうしたの? 教えてよ」
タカヒロがネルバの肩に手を置いて揺さぶるようにして言った。
「うん――。僕は何とか出来たんだけどジョーンが出来なくて先生にやり方を教わったんだよ――」
ネルバが話しを終えると二人はえ? というような顔をして固まった。何でそれで落ち込むの? と聞きたいという顔をしているショーンがちょっと待ってと声を上げた。
「あのさ、それで何でジョーンはあんなに落ち込んでるの? 教えてもらってるなら逆に良いじゃん?」
ショーイはそうでしょ? とタカヒロにも同意を求めるとタカヒロはそれに同意して頷いた。
「それがさ――、マクリーナ先生が皆の前でジョーンの結界を笑っちゃって、それに皆も笑っちゃってジョーンが落ち込んじゃったんだよ。マクリーナ先生はその後ジョーンを呼んで謝ったんだけどね――」
「そうだったんだ……でも一年生なんだから仕方ないよね」
ショーイは誰に言う訳でもなく独り言のように言った。
「僕なんて忍術の事なんて全く分からないんだよ?」
タカヒロはセルン出身だから何も分からないのは当然なのだからと何も出来ないのをどうも思っていない。
「まぁジョーンは少し傷ついたんじゃないの?」
ショーンが二人を伺うように言った。
「ジョーン! 週末の休みにセルビアスの所に行こうよ!」
部屋に戻った三人はジョーンに声をかけた。部屋ではジョーンがペットのジーニとボール遊びをしていた。
「うん! そうしよう! セルビアスにこれ見せるんだ!」
ジョーンは先程より元気になっていて自信のベッドの下から何かの本を出した。
「それは何?」
タカヒロがあえて元気になっている事を聞かずにジョーンが取り出した本の事を聞いた。
「これさっきマクリーナ先生が今日の授業のお詫びにってくれたんだ! 結界術の基本集だよ! これで勉強しなさいって」
「良かったじゃん! 今度僕にも見せてね!」
ネルバがそう言うとうんとジョーンは大きく頷いて本をしまった。ネルバ、ショーイ、タカヒロは互いに顔を見合わせてニコリと笑って頷きあった。
「そういえば三人ともどこに行ってたの?」
君の事を話してたんだよ。
そんな事は言わずにちょっと広間で話してたと言ってその場を繕った。
何だ――。
ネルバは安心して窓を閉めて、小声でマスタングを呼んだ。
「キュイー」
眠そうなマスタングが主人の声に反応して起き上がり、ネルバのベッドに飛んだ。
「ごめんな。手紙ご苦労様」
ネルバがそう言うとマスタングはネルバの指を甘噛みしてベッドに戻った。
手紙は全部で五通あった。セルビアスはこの部屋の四人と手紙を運んでくれと頼みに来たドーンの五人の全部に返事をくれたようだ。
ネルバは自分の名前が書いてある手紙を出して開いた。
『ネルバ、ショーイの話しを聞く限り殆ど一人でホルスルを倒したようじゃないか! 一年生でそこまで出来るのは凄いぞ! 今度町に来たときに詳しいことを教えてくれ。ただしこれで安心してはいけないよ。これからもっと苦労するから今のうちにいっぱい勉強して頑張るんだぞ! セルビアス・モールター 追伸:君のペットのマスタングは非常に頭が良いな! 私の所に来たときに疲れて飯を寄こせと唸ったよ(笑)でもその後は私に感謝してくれてね――。大切にしなさいね』
ネルバはその手紙を読んだ後笑みがこぼれた。自分の事を褒められたしマスタングの事も褒められた。ネルバはそれが嬉しくて眠気が完全に覚めてしまった。
ネルバは教科書を読もうと、本を取ろうとした時にマスタングが飛んできた。マスタングはネルバの膝の上に乗ると甘えるように頭をこすり付けて寝る姿勢になった。ネルバはマスタングを撫でながら教科書を読み始めた――
「セルビアスからの手紙だよ!」
ネルバ達四人は朝食を摂るために中央大広間に下りるとドーンが座っていた。
「ネルバありがとう。セルビアスは皆に返事くれたでしょ? あの人暇だし几帳面だから手紙くれた人には絶対に返事書くんだよ」
ドーンはそう言って笑いながら手紙を受け取って読み始めた。
「しかし夜中に寒いと思って目が覚めたんだけど、マスタングが犯人だったとはな~」
四人が椅子に座るとショーイが笑いながら言った。マスタングは何故か誇らしげにネルバの頭上をクルクル飛んで回っている。
「何か偉そうに飛んでるよ」
ネルバがマスタングを指差して言うと四人は腹を抱えて笑った。
「皆! 魔物には善し悪しがある! ペットにもなるピクシーは勿論良い魔物だ。これからの二週間はベルクスを学ぶ! まずはベルクスの生態からだ! 教科書の十五ページを開いてくれ!」
ネルバは友達達とは別の魔物生物類の授業を受けていた。ネルバは全能師ではあるがどの特殊能力が長けているか分からないため、今の所全ての授業を受けているのだ。
「じゃあ十五ページの三行目を読んでくれ。ここにある通りベルクスは簡単に呼び出せる魔物だ。ただ呼び出す場所を間違えると大変なことになる。いくら簡単に呼び出せるからと言って一年生が最初から呼び出せるなんてありえない。まぁたまには呼び出せる奴もいるかもしれないけどな――。とりあえずベルクスを呼び出すための術を教える!」
魔物生物類担当の教授、バイオ・ザインドはいきいきと授業を行っていた。バイオはたまにネルバを見てウインクをしたり何かあるたびにネルバの様子を伺っていた。
授業の終わりにベルクスを呼び出すためにどんな準備が必要かをノートに書き出す宿題が与えられて授業が終わった。ネルバはバイオに話しがあったためそのまま教室に残っているとバイオが近づいてきた。
「俺の授業どうだ?」
バイオはネルバが話し始める前に聞いた。
「凄く面白かった! 魔物を早く呼び出してみたいよ!」
ネルバはにっこりと笑って答えた。バイオはネルバの答えに満足そうに頷いてネルバの頭を撫でた。
「でもな~、呼び出せるまでまだかかるかもしれないぞ! でも頑張ってればきっと出来るからな!」
「うん! ありがとう! バイオは――、学校ではバイオ先生の方が良いよね?」
「そんな事気にするな! バイオで良い!」
バイオは上機嫌にそう答えるとネルバの言いかけてた事を聞いた。
「バイオは僕が召喚師に向いてると思う?」
ネルバは心配そうにバイオに尋ねた。しかしバイオは静かにゆっくりと首を振った。
「向いている向いていないは俺が決めることじゃない。お前さんが楽しければそれで良いんだ。まぁ、出来るに越したことはないがな!」
笑いながら言うとネルバも笑って安心したような顔になった。
「んじゃ、そろそろ次の授業に行け。遅れるぞ! たまには俺の部屋に遊びに来い! 友達出来たんだろ?」
「うん! じゃあ今度皆で遊びに行くね! ばいばい!」
ネルバはそう言うと手を振って教室を出た。
「今日どうだった? 皆ばらばらだったんでしょ?」
夜、寮の部屋でショーイが他のルームメイト三人に聞いた。
「僕は一回だけジョーンと同じだったよね?」
ネルバはそう言うとジョーンは元気がなさそうな声でうんと言って頷いた。他の三人はどうしたんだろうという顔でジョーンを見ている。
「ジョーン? どうかしたのか?」
ショーイが心配そうに聞いた。しかしジョーンはううんと首を静かにゆっくり振った。ショーイはネルバを見た。ネルバは何か知っているような顔をしていた。ショーイはネルバに下に行こうと人差し指で下を指して合図をした。ネルバは細かく何度も頷いて立ち上がった。
「ジョーン、ちょっと下に行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい――」
やはり元気がないようだ。
「それで? 何があったの?」
ネルバ、ショーイ、タカヒロが寮の広間に着くとショーイが真剣な顔で聞いた。ネルバはうんと少し頷き、椅子に座ると陰陽学の授業の際に何があったか話し始めた。
「最初に自分で簡単な結界を作る事になってね、机の上に結界を張る事になったんだけど、僕もジョーンも他の一年生もやり方が分からなくて先生に聞いたんだけど取りあえずやってみなさいって言われてやったんだけど――」
そこでネルバの話しは止まった。言うのをためらっているかのように浮かない顔をして顔を歪めている。
「それでどうしたの? 教えてよ」
タカヒロがネルバの肩に手を置いて揺さぶるようにして言った。
「うん――。僕は何とか出来たんだけどジョーンが出来なくて先生にやり方を教わったんだよ――」
ネルバが話しを終えると二人はえ? というような顔をして固まった。何でそれで落ち込むの? と聞きたいという顔をしているショーンがちょっと待ってと声を上げた。
「あのさ、それで何でジョーンはあんなに落ち込んでるの? 教えてもらってるなら逆に良いじゃん?」
ショーイはそうでしょ? とタカヒロにも同意を求めるとタカヒロはそれに同意して頷いた。
「それがさ――、マクリーナ先生が皆の前でジョーンの結界を笑っちゃって、それに皆も笑っちゃってジョーンが落ち込んじゃったんだよ。マクリーナ先生はその後ジョーンを呼んで謝ったんだけどね――」
「そうだったんだ……でも一年生なんだから仕方ないよね」
ショーイは誰に言う訳でもなく独り言のように言った。
「僕なんて忍術の事なんて全く分からないんだよ?」
タカヒロはセルン出身だから何も分からないのは当然なのだからと何も出来ないのをどうも思っていない。
「まぁジョーンは少し傷ついたんじゃないの?」
ショーンが二人を伺うように言った。
「ジョーン! 週末の休みにセルビアスの所に行こうよ!」
部屋に戻った三人はジョーンに声をかけた。部屋ではジョーンがペットのジーニとボール遊びをしていた。
「うん! そうしよう! セルビアスにこれ見せるんだ!」
ジョーンは先程より元気になっていて自信のベッドの下から何かの本を出した。
「それは何?」
タカヒロがあえて元気になっている事を聞かずにジョーンが取り出した本の事を聞いた。
「これさっきマクリーナ先生が今日の授業のお詫びにってくれたんだ! 結界術の基本集だよ! これで勉強しなさいって」
「良かったじゃん! 今度僕にも見せてね!」
ネルバがそう言うとうんとジョーンは大きく頷いて本をしまった。ネルバ、ショーイ、タカヒロは互いに顔を見合わせてニコリと笑って頷きあった。
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そんな事は言わずにちょっと広間で話してたと言ってその場を繕った。
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