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全財産百兆円の男

星河☆

テナント募集

 八月も半ばを過ぎた頃、不動産取引が終了し、亨は本格的に不動産の運用を始める事になった。
 「西田、斉藤を不動産取引の勉強に行かせろ」
 会社の会長室で亨が西田に言った。


「かしこまりました。しかし運転手はどうしますか? 奥様の送迎がありますが」
「橋本に臨時で頼め」
「かしこまりました。橋本には臨時給金を?」
「勿論だ」
「ではすぐに伝えます」
「頼むぞ」
 西田は部屋を出て電話しに行った。






 デスクワークをしている亨は少し疲れたのか、立ち上がって伸びをし始めた。
 そしてポケットからタバコを取り出し、火を付けて室内を歩きながら吸い始めた。




 数分で西田が戻ってきた。
 「首尾よく整えました」
 西田がそう言うと亨は右手を挙げて分かったと合図した。
 タバコを吸い終わった亨は席に戻り、デスクワークを再開した。








 「会長、お時間です」
 今日は月に二回程行われている投資家達の勉強会の日だ。
 勉強会とは名ばかりで大抵飲んでいるが……。




 会社を出て駐車場に行くと西田が後部座席のドアを開けた。
 亨は車に乗り込み、西田も運転席に行き、車を発進させた。


「このまま鳥天狗で宜しいですか?」
「あぁ」
「かしこまりました」
 鳥天狗とはいつも亨達が集まっている居酒屋だ。








 二十分程で鳥天狗に着いた。


「車を見る限り数名は既に到着されているようですね」
「そうだな」
 亨と西田は店内に入ると早速でかい声で亨の名が呼ばれた。
 「亨さん! こっちです」
 亨が呼ばれた方へ行くと三人がいた。
 亨に声を掛けたのは須藤司だ。三十歳の若い投資家だ。


「やっぱ亨さん時間通りっすね」
「秘書が優秀だからな」
「俺も秘書持とうかなー」
「秘書は良いぞ」
「亨さん見てるとつくづくそう思いますよ」
 他の二人は秋山と大板だ。
 「さっき連絡あったんだけど他の二人は来れないってさ」
 秋山がそう言うと亨は数回頷いて席に座った。
 「おやっさん、白ワイングラスで」
 亨が注文すると威勢の良い返事が返ってきた。






 「師匠不動産事業も始めたんですって?」
 ワインが運ばれてくると大板が亨に言った。


「ったくどこで仕入れたんだよ」
「情報源は明かせません!」
「あっそ。まぁ良いや。始めたよ。まだ何もこの先何するか決まってないけどな」
「テナントとか募集したら良いんじゃないっすか?」
「テナントかー。それありだな」
「でしょ? 師匠の事だからきっと立地が良い所だろうし家賃だけでも結構行くんじゃないっすか? それにテナントが入るときは契約料が発生するからそれも入りますしね」
「お前やけに詳しいな」
「親父がやってたもんで」
 話は弾んでいき、気づけば夜の十一時になっていた。








 「おっと、もうこんな時間だ。亨、明日も早いんだろ?」
 秋山が亨に尋ねた。


「ええ。明日から本格的に不動産業に取り組むんで」
「そうか。じゃあ今日はこの辺でお開きにしようか」
「はい」
「異議なし」
「以下同文」
「略すな」
 大板の小ボケが飛んだところで支払いじゃんけんが始まった。




 結果亨が払う事になった。
 亨は圧倒的にじゃんけんが弱いのだ。
 他の皆はそれを知っている為一番金持ちの亨に支払いをさせようとする。










 「じゃあまた今度」
 秋山の音頭で四人は別れた。




「自宅に直帰で」
「かしこまりました」
 車に乗った亨は西田にそう伝えた。
 西田は車を発進させ、帰路についた。










 「ただいまー」
 亨が自宅に着き、玄関を入った所でそう呟くとすぐに橋本達が出てきて頭を下げた。


「おかえりなさい」
「そしておやすみー」
「おやすみなさい」
 亨は自室に行き、真奈美が寝ているかもしれないのでゆっくりドアを開けると真奈美はまだ起きてパソコン作業していた。


「あ、おかえり」
「ただいま。まだ起きてたんだ」
「うん。亨が帰ってくるまで起きてようかなと思ってて」
「そっか。ありがと」
「いえいえ。じゃあ寝ようか」
「うん」
 二人は布団に入り、眠りについた。












 翌日、今日は会社は休みなのでゆっくり寝る事が出来た亨は午前十時に目覚めた。
 隣に真奈美はいなかった。
 代わりにメモが置いてあった。
 『起こすと悪いから先に仕事行ってるね。ロイのお散歩よろしく』
 メモを見た亨はタバコを吸い始めた。










 亨は五分程でタバコを吸い終えるとリードを持ってロイの方へ向かった。
 リードを見たロイは吠えて同じ場所をグルグル回っている。
 「よーし、散歩行こうか」
 亨がロイにそう言うとロイはワンと一回吠えて大人しくリードを付けられた。




 部屋を出ると早坂が廊下の掃除をしていた。


「おはようございます。いってらっしゃいませ」
「おはよう。行ってきまーす」
 早坂は頭を下げて亨とロイを見送った。




 亨が一階に下りると西田と斉藤が話をしていた。


「おはようございます」
「おはよう。何の話だ?」
「斉藤の不動産勉強の件です」
「そうか。斉藤、勉強が終わったらボーナス出してやるからな」
「ありがとうございます。頑張ります」
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃいませ」
 西田と斉藤は頭を下げて見送った。










 亨はいつもの道を歩いている。
 ロイがウンチをして、亨はそれを袋に入れて再び歩き出した。
 もう時間が遅いからなのか権藤とは会わなかった。












 「ただいま」
 家に帰った亨はロイの足を拭いて自分の部屋に戻った。
 自室に戻った亨はロイを柵の中に入れ、リビングに下りた。






 「西田ー」
 亨はリビングに下りて席に座ると西田を呼んだ。


「お呼びでしょうか」
「あぁ、一ツ橋の土地にテナント募集したいから坂上さんに連絡しておいてくれ」
「かしこまりました」
「あと橋本に飯持ってくるように言ってくれ」
「かしこまりました」
 暫く待つと橋本が走って朝食を持ってきた。


「あぁ、そうか。橋本には真奈美の送迎お願いしていたな。すまんすまん」
「いえ、送迎が終われば一人のメイドですから」
 今日の朝食はスクランブルエッグハムとサラダ、味噌汁だ。
 「いただきます」
 亨は遅めの朝食を食べ始めた。












 「ごちそうさまでした」
 亨は朝食を食べ終え、薬を飲んだ。






「会長、坂上さんにご連絡致しまして、一ツ橋の土地にテナント募集の看板立てておくとの事です。それから別料金を払って頂ければチラシも作成するそうです」
「払うと言っておいてくれ」
「かしこまりました」
 西田は頭を下げた。
 亨は自室に戻り、タバコを吸い始めた。
 亨は窓のそばに行った。
 「良い天気だなー」
 亨は独り言で空を見上げているとドアがノックされた。


「西田です」
「どうした」
「坂上さんに全て手配頂きました」
「そうか。ありがとう」
「はい。失礼します」
 西田は頭を下げて部屋を出ていった。
 亨はタバコの火を消して灰皿に捨てた。






 その後亨は株価の確認をした。
 レインで西田を呼び出した。




「失礼します。お呼びでしょうか」
「あぁ、仮想通貨やろうと思うんだけどどう思う?」
「今はやめた方が良いかと思います」
「何で?」
「今仮想通貨は高騰していてこれ以上上がる見込みもありません。下がりきるのを待って買うのが宜しいかと」
「そうか。分かった。もう良いぞ」
「はい。失礼します」
 西田は頭を下げて部屋を出ていった。












 その後色々な事をして夕方六時になった。
 レインで真奈美から連絡があり、もうすぐ家に着くとの事だ。




 亨はリビングに下りて椅子に座った。
 「お食事の用意を致しますか?」
 西岡が亨に尋ねた。


「いや、まだ良い。真奈美が帰ってからにする」
「かしこまりました」
 西岡は頭を下げて下がっていった。






 暫くすると真奈美が帰ってきた。


「ただいまー」
「おかえり。橋本もご苦労だったな」
「ありがとうございます」
 橋本は下がっていった。


「着替えてくるね」
「うん。着替え終わったら夕飯にしよ」
「分かった」
 真奈美は部屋に向かった。
 「西岡、夕飯用意してくれ」
 亨が叫ぶと遠くからかしこまりましたと飛んできた。






「お待たせ。今日も美味しそうだね」
「まぁね。じゃあ食べようか」
「うん」
「いただきます」

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