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全財産百兆円の男

星河☆

実家にて

 ストライキ騒動があった翌日、亨は佐藤と共に実家に訪れていた。


「親父、おふくろ、こちらは俺とお付き合いしている佐藤真奈美さん。真奈美、親父の重信とおふくろの友。よろしくな」
「佐藤真奈美です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。亨の母の友です」
「父の重信です。よろしくね」
 挨拶を終えると友が麦茶を持ってきた。
 「ありがとうございます」
 佐藤がお礼を言って一口飲んだ。


「ごめんなさいね、本当はコーヒー出したいんだけど亨が病気で飲めないから」
「いえいえ、気にしないでください」
 佐藤はそう言うと笑顔で紙袋を取り出した。


「これ心ばかりの物ですが」
「あら、ありがとうね」
 友が開けると羊羹が入っていた。
 「美味しそう」
 友はそう言って羊羹を四人分切って出した。


「亨、最近仕事どうなんだ?」
「あぁ、上手くいってるよ」
「あれ? 昨日はストライキがって言ってなかった?」
「真奈美、余計な事言うなよ」
「ははは。まぁお前が良いならそれで良い。真奈美さん、こいつ危なっかしい所があるんでどうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ」
 重信は息子の近況が聞けて安心した顔をしている。




 「じゃあ真奈美さんはジャーナリストなんですね」
 友がそう言うと佐藤は大きく首を振った。


「そんな大層なものじゃありませんよ。一介の記者です」
「まぁそんな謙遜しちゃって」
「謙遜なんてしてませんよ」
 佐藤と友は何故か楽しげに話していた。


 「話は変わるんだけどお母さんとお父さんこのマンションじゃ広すぎるって話してたのね。それでこのマンションを賃貸にしてお母さんたちはアパートに引っ越そうかと思ってるんだけどどう?」
 友が重信と目を合わせながらそう言うと麦茶を一口飲んだ。


「それじゃあ俺がこのマンション買ってあげた意味がないじゃん。まぁ親父たちに家賃収入が入るならそれもそれで良いと思うけど。じゃあこの部屋の名義親父に変えるから手続きの時よろしくね」
「おぉ、分かった」
「知り合いの司法書士の先生にやってもらうからさ」
「了解」
 亨は麦茶をぐいっと飲み、タバコに火を付けた。
















 その後色々な話をして実家を出た。


「じゃあまたな」
「真奈美さん、いつでもいらっしゃってくださいね」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあな親父、おふくろ。っても名義変更ですぐ会うけど」
「おう」
 二人は駐車場に行き、斉藤がドアを開けて待っていた。


「会長、どこへ向かいますか?」
「真奈美、どうする?」
「私は明日仕事だから帰る」
「分かった。斉藤、真奈美の家に向かってくれ」
「かしこまりました」
 そして車は発進した。








 四十分程で佐藤の家に着いた。


「今日はありがとうね」
「うん。今度は真奈美の親御さんに会いたいな」
「うん。是非」
「じゃあまたね」
「ばいばい。おやすみ」
 助手席にいた西田が佐藤側のドアを開けた。


「ありがとうございます」
「おやすみなさい」
 西田は挨拶をするとドアを閉め、助手席に戻った。




「じゃあ帰ってくれ」
「かしこまりました」
 車は再び発進し、帰路についた。










 家に到着した亨は夕飯を食べにリビングへ向かった。
 亨がリビングに到着すると鹿島が西岡と亨のもとにやってきた。


「どうしたんだ二人揃って」
「はい。私たち結婚する事になりました」
「えぇ!? マジで?」
「はい。ご主人様の許可が得られれば明日婚姻届け出しに行きます」
「そうか――。新しい部屋を用意してやらないとな」
 亨が笑顔でそう言うと二人も笑顔になり喜んだ。
 「納屋二つあるけどどっちも使ってないから一つあげるよ。俺からの結婚祝いだ。改装しなきゃいけないからそこも任せてくれ」
 亨がそう言うと二人は頭を下げた。


「ありがとうございます! 改装の費用は私たちが負担をします」
「そうか? 西岡お前金使わねぇもんなー。じゃあ俺は業者を手配するから」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「まぁまぁ。じゃあ飯をくれるか?」
「あ、すみません。すぐにお持ち致します」
 西岡は慌ててキッチンに行った。
 残った鹿島は再び亨に頭を下げた。


「本当にありがとうございます。しかも三階建ての納屋も頂けるなんて」
「いつも頑張ってくれてるからな。辞めるなんて言わないよな?」
「言いません、言いません」
「なら良かった」
「では私も仕事に戻ります」
「あぁ」
 そして西岡が夕食を運んできた。
 メニューはハヤシライスと卵スープだ。
 「いただきます」
 亨は食事を始めた。










 「ごちそうさまでした」
 食事を終えた亨は水で薬を飲んだ。


 「西岡ー」
 亨が西岡を呼んだ。


「はい。何でしょうか」
「結婚式はいつやるの?」
「それはまだ考えておりません。両方時間がある時って言っても少ないですから」
「それって俺をディスってる?」
「いえいえ滅相もありません」
「時間は俺が作るよ。調整してやるからやりたい時期になったら教えてくれ」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
 亨はそう言うと自室に向かった。








 「ふぅ。西岡が結婚か――。良いなぁ」
 亨は一人呟きながら株価をチェックしていた。


 「寝るか」
 午後九時になったところで亨はベッドに向かった。












 翌日。
 亨は目を覚ますとタバコに火を付け、吸い始めた。












 亨はリビングに下り、朝食を食べにやってきた。
 「おはようございますご主人様」
 橋本が亨に挨拶をした。


「おはようさん」
「朝食の準備が出来ております」
「サンキュー」
 亨は椅子に座り、朝食が運ばれてくるのを待った。






 それからすぐして朝食が運ばれてきた。
 「お待たせ致しました」
 橋本が朝食をテーブルに置いた。


 メニューは和風で白米と玉子焼き、味噌汁とお新香だ。
 「いただきます」
 亨は食事を始めた。








 「会長、お急ぎ下さい」
 亨がゆっくり食事をしていると西田が急かすように言った。


「何でだよ」
「今日は会議があります。十時からなので急がないと間に合いません」
「はいはい。分かったよ」
 亨はそう言うと残りの料理をかきこんで最後に薬を飲んで席を立った。


「着替えてくる」
「かしこまりました。車の前でお待ちしております」
「りょーかい」
 亨は自室に戻り、スーツに着替えた。






 「お待たせ」
 亨は玄関の前に止まっている車に乗り込んだ。
 西田はドアをを閉めて助手席に乗った。


「会社に向かいます」
「あぁ」
 斉藤が車を発進させた。








 「なぁ西田、俺不動産投資始めようかな」
 亨が車中で突然西田に言った。


「突然どうしたんですか?」
「いや、もう少し儲けたいなと思ってな」
「既に儲けすぎですよ。しかし良いんじゃないですか。私は不動産知識はないのであてにしないでくださいね」
「マジか――。まぁ何とかやっていけるだろ」
「何ですかそれ」
 西田は苦笑した。
 「会長はいつから不動産投資に興味があったんですか?」
 西田が亨に尋ねた。
 言葉が返ってこない。
 「会長?」
 西田が後部座席を振り返った。
 亨は窓に頭をもたれて眠っていた。


「寝ちゃってるよ。あんなに話してたのに」
「疲れてるんですかね」
「まぁ休みがあって無いようなものだからな」
 西田と斉藤が話していると会社に着いた。


 「会長、会社に到着しました」
 西田が後部座席のドアを開けて声をかけた。
 しかし亨は起きない。
 「会長! 起きて下さい!」
 西田は亨の体を揺すって起こそうとしたが一向に起きない。
 「会長? ……会長! 会長! 亨さん! 斉藤、救急車を呼べ!」
 西田が亨の顔をよく見ると顔は青ざめいていて汗が噴き出していた。


「早くしろ!」
「は、はい1」
 斉藤が救急車を呼んだ。
 「え? 意識レベル? えっと――」
 斉藤があたふたしていると西田が大声を上げた。
 「代われ!」
 斉藤が西田に携帯を渡した。


「意識レベル三百、脈拍――四十、血圧は不明です」
『分かりました。場所はどこですか?』
「株式会社KTです」
『分かりました。すぐに向かいます』
 西田は電話を切って斉藤に返した。






 「まずい。心停止だ」
 西田が亨の脈を測っていると脈が止まった事に気づいた。


「斉藤! 会長を地面に降ろすから手伝え!」
「はい!」
 西田と斉藤が一緒に亨の体を持ち、地面に降ろした。
 そして西田が心臓マッサージを開始した。
 ほどなくして救急車が到着した。




「三分前に心停止しました!」
「分かりました! 代わります」
 救急隊員が心臓マッサージを代わり、心臓マッサージしながら救急車に乗せた……。

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