小さき蒼雷の魔法使い
第十八話「黒雲」
ここはルーベンスの街から南西に徒歩1時間ほどの場所。
ウィドとダルラの戦いが激闘を繰り広げていた。
ウィドはダルラの槍の高速を後ろへ交わしながら魔力を流して魔法を使用した。
「火魔法!火球!」
ウィドは長期戦になることが予想されるため魔力消費を出来るだけ控えて自然回復と釣り合う程度に隙を見て使っていた...
辺りへの被害をお互いに考えることなく。
そして、ウィドの火球を羽を使い上空へ回避し、闇の範囲魔法を使用した。
ウィドを誘導するように...
「闇の槍雨!」
ウィドは着弾点を見極めながら左右に動き相手と一定の距離を保っていた。
くっ...このままでは時間ばかりが過ぎてしまう。何か決定打があれば...いやあるにはあるがな...
「いいのか?考え事をしていて!
闇の縛り手!」
ダルラはウィドの動きを先読みし拘束トラップを仕掛けた。
「ふん!お前さんを倒す方法を考えていたから大丈夫じゃ!」
とは言え、倒しきる方法わからんのぅ。
...ガイヤ、早う助けに来てくれんかのぅ。
取り敢えず、こいつを何とかしたいが仕方ないのぅ...
今回は仕方ない最後の手段じゃ!
バルトの奴に絶対怒られるが...まあ、死人が出るより増しだろう。
「空歩!」
ウィドはスキルの空歩を使用し、上空で見ているダルラへと向かって行った。
「おいおい?あんた空飛べたの?
(俺の魔法意味ないじゃんよ...)」
「何じゃ?飛んでるわけでは無いが、まあ飛んでるようなもんだから変わらないが。
それより、飛べちゃ都合でも悪いのか?」
ウィドはダルラの少しだけ悔しそうな顔を覗かせている顔を見て言った。
そして、お互いの戦いが最高潮に達しようとしていた。
「いや?別に飛んでも飛んでなくても、結果は変わらねぇからな。」
「そうじゃのう!」
「俺が」
「儂が」
「「勝つ!」」
2人の最終戦が始まった...
そして、林の少し奥に行くと魔族の1人メーシャが魔方陣を完成させていた。
「...やっと出来たわ。
ダルラの奴、凄いはしゃいでるわね。
まあ、人間にここまで戦える奴が居るとは思ってなかったからだけど...」
そう言って、最後の仕上げに転移門を開いた。
「転移門」
メーシャはルーベンスの街の南門を中心に30分くらいの距離へ扇状に転移配置した。
「さて、後はどうする?
ザング?」
「俺に振るか?そうだな...魔物と一緒に責めるのはどうだ?」
ザングと呼ばれた魔族は魔族の5人のうち1番階級が高い男だ。
「それだと、一瞬で終わるよ?」
「そんなことは無いだろう?
実際ダルラの相手をしている奴がいる上、強い反応も近づいているからな。
バンリの相手も出来るだろう。」
バンリはこの中では1番年下で弱い魔族の少年だ。
「それじゃあ、私たちも行くよ?」
「ナリヤ...まあ待て。
ダルラの戦いが終わってからで良いだろう?」
ナリヤはバンリの姉的存在だが、少女だと言える年齢故に思ったことをすぐにやりたがるのだった...
「ダルラばっかり楽しんでずるいよ!」
「我慢しなさい?もう少しだからね?」
「...わかった。我慢する。」
こうして、魔族が攻める事を決めている頃街では、冒険者の大半が絶望していた。
なぜなら、突然現れた魔物はSランク指定の魔物ばかり強いものではSSランクに届くとされているものまで確認された。
更に魔物の総数20体
魔物のSSランクとは、Sランクの冒険者が10人で渡り合えるとされる魔物の事で、幾つかの国家が連合を組んで対処にあたることもある。
Sランクは1つの国が対処する事案である。ただし、Aランクの冒険者が50人は必要だが...
そんな中、サントスは皆の指揮を高めようと奮闘していた。
「皆、まだだ!まだ終わっていない!諦めるのは早いぞ!
確かに敵は強大で勝ち目は薄いかも知れないだが、ルーベンスは俺たちの街だ!
守らなければならない...最後まで諦めなければ救いはある!!」
その言葉で立ち上がるもの、まだ動けないものそれぞれだが...少しずつでも立ち上がるものが増え、戦いに赴く決意をしていった。
「...ありがとう。感謝する!
ルーベンスの街を守りきるぞ!!!」
その声に賛同者は声を張り上げ勇気を奮い立たせた。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして、最終ラウンドとなる第3波戦が始まった。
「出来れば高ランク冒険者を中心に1体ずつ相手をしていけ!」
そして、即席のレイドパーティーを組み合わせそれぞれが相手に向かった。
「SSランクには俺たちがいくぞ!
あれは他の奴では相手も出来ないからな。」
そして、サントスは実力のある信頼できる奴を連れてSSランクのアンデットドラゴンへと向かった。
アンデットドラゴンは古の龍が何らかの影響で死に至り、アンデット化したものだと言う。
しかし、正確なことは確認した者がいるわけではないので定かではない。
だが、分かることが1つある...それは、SSランク以上の魔物は人の手には余ると言うことだ。
裏を返せば人の限界を超えたものならば倒せる可能性があると言うことでもあるが、そんな人間はそうそういない...
特にルーベンスの街と言う辺境においては例外だが。
「さて、サントス!俺たちも行って良いのか?」
サントスに声をかけたのは、Aランク冒険者のサランだった。
「もう休憩は良いのか?」
「なんだ?心配してくれるのか?」
「いや、あんなに疲れて戻ってきていたのにな、と思っただけだよ。
行けるなら行ってくれ!
今は少しでも戦力が欲しい。」
  そして、いざ突撃だと言うときに誰かが呟いた。
「...あれは何なんだ?」
今から恐らく最終決戦で冒険者の指揮が高まっているにも関わらずその言葉は皆に響き渡っていた。
そして、その言葉はサントスやサランを始め主戦力にも聞こえていたため皆がほぼ時を同じくして空を見上げた。
空はいつの間にか灰色の雲に覆われ渦を巻いていた。
  その渦の中心に巨大な穴があり、静まり返った戦場に緊張をもたらした。
その時、この世の生物、魔物等の声とは呼べない禍禍しい声が響き渡ったのだった。
「Ggaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」
そして、冒険者が空を見上げ呆然としているなか...魔族もまた撤退を始めていた魔物は放置して...
「おい!誰でもいい、ダルラを連れ戻してこい!
撤退するぞ!急げ!」
ザングは声を聞いた瞬間に魔力を感知して直ぐ様決断した...撤退しなければ全滅すると。
その判断はダルラを除く全員の一致だったためザング以外が連れ戻しに向かった。
「...面倒な、魔転移門」
魔転移門は魔族の大陸へと帰る帰還魔方である。
しかし、欠点が1つ魔力が大量にいるのだ。
そして、激しい戦いを繰り広げていた2人は普段なら気づかない方がおかしい魔力ですら気づかないぐらいに集中していた。
「いい加減に諦めろや!しつこいな。」
「それは、儂の台詞じゃ!」
そんな言い合いをし続けて再びぶつかろうとしたとき...邪魔が現れたのだった。
「お前ら今良いところなんだから邪魔するな!」
そう、邪魔したのはダルラの仲間だった。
「あんたこの魔力を感じないの?
バカなの?死ぬの?」
「...あ?まりょ...く。。。魔力デカ!?
あっちか...おいおい、こりゃ化け物かよ!」
ダルラは出現地点の方角を見て冷や汗をかいていた。
「わかったらさっさといくわよ?」
「ザングをまた怒らせるの?」
メーシャ...バンリ...チッ、仕方ないか。
「分かったよ帰るよ。
そう言うわけだ爺さんあんたとはまたやりたいから死ぬなよ?
出来ればだけどな。」
そう言い残し消えて言った。
「出来ればもうやりたくないのぅ...
それより...遅いぞ!ガイヤ!
今頃来て、何のつもりじゃ!」
来たのは良いが終わっていたので隙を見て帰ろうと木の影に隠れていたのだがどうやら見つかっていたらしい。
「い、嫌だな~遅れただけで来たし、そんなに怒らないで落ち着きましょう、ね?」
「まあ、良い。今はあっちの方が深刻じゃ。
戻るぞ!」
「...はい!」
そう言ってルーベンスの街方面へ急いだ。
魔族も全員が集まり次第撤退し悔しさを滲ませた...
どうも、皆様柊☆黐です。
今回もお読み下さりありがとうございます。
そして、お気に入り登録といいね!が増え日々嬉しさが滲み出ています!
皆様、ありがとうございます!
今後ともよろしくお願い致します。
さて、次回からいよいよ魔物の氾濫編の終わりが見えて来るといいなぁ...
次回第十九話「小さき蒼雷」でお会いしましょう♪
ウィドとダルラの戦いが激闘を繰り広げていた。
ウィドはダルラの槍の高速を後ろへ交わしながら魔力を流して魔法を使用した。
「火魔法!火球!」
ウィドは長期戦になることが予想されるため魔力消費を出来るだけ控えて自然回復と釣り合う程度に隙を見て使っていた...
辺りへの被害をお互いに考えることなく。
そして、ウィドの火球を羽を使い上空へ回避し、闇の範囲魔法を使用した。
ウィドを誘導するように...
「闇の槍雨!」
ウィドは着弾点を見極めながら左右に動き相手と一定の距離を保っていた。
くっ...このままでは時間ばかりが過ぎてしまう。何か決定打があれば...いやあるにはあるがな...
「いいのか?考え事をしていて!
闇の縛り手!」
ダルラはウィドの動きを先読みし拘束トラップを仕掛けた。
「ふん!お前さんを倒す方法を考えていたから大丈夫じゃ!」
とは言え、倒しきる方法わからんのぅ。
...ガイヤ、早う助けに来てくれんかのぅ。
取り敢えず、こいつを何とかしたいが仕方ないのぅ...
今回は仕方ない最後の手段じゃ!
バルトの奴に絶対怒られるが...まあ、死人が出るより増しだろう。
「空歩!」
ウィドはスキルの空歩を使用し、上空で見ているダルラへと向かって行った。
「おいおい?あんた空飛べたの?
(俺の魔法意味ないじゃんよ...)」
「何じゃ?飛んでるわけでは無いが、まあ飛んでるようなもんだから変わらないが。
それより、飛べちゃ都合でも悪いのか?」
ウィドはダルラの少しだけ悔しそうな顔を覗かせている顔を見て言った。
そして、お互いの戦いが最高潮に達しようとしていた。
「いや?別に飛んでも飛んでなくても、結果は変わらねぇからな。」
「そうじゃのう!」
「俺が」
「儂が」
「「勝つ!」」
2人の最終戦が始まった...
そして、林の少し奥に行くと魔族の1人メーシャが魔方陣を完成させていた。
「...やっと出来たわ。
ダルラの奴、凄いはしゃいでるわね。
まあ、人間にここまで戦える奴が居るとは思ってなかったからだけど...」
そう言って、最後の仕上げに転移門を開いた。
「転移門」
メーシャはルーベンスの街の南門を中心に30分くらいの距離へ扇状に転移配置した。
「さて、後はどうする?
ザング?」
「俺に振るか?そうだな...魔物と一緒に責めるのはどうだ?」
ザングと呼ばれた魔族は魔族の5人のうち1番階級が高い男だ。
「それだと、一瞬で終わるよ?」
「そんなことは無いだろう?
実際ダルラの相手をしている奴がいる上、強い反応も近づいているからな。
バンリの相手も出来るだろう。」
バンリはこの中では1番年下で弱い魔族の少年だ。
「それじゃあ、私たちも行くよ?」
「ナリヤ...まあ待て。
ダルラの戦いが終わってからで良いだろう?」
ナリヤはバンリの姉的存在だが、少女だと言える年齢故に思ったことをすぐにやりたがるのだった...
「ダルラばっかり楽しんでずるいよ!」
「我慢しなさい?もう少しだからね?」
「...わかった。我慢する。」
こうして、魔族が攻める事を決めている頃街では、冒険者の大半が絶望していた。
なぜなら、突然現れた魔物はSランク指定の魔物ばかり強いものではSSランクに届くとされているものまで確認された。
更に魔物の総数20体
魔物のSSランクとは、Sランクの冒険者が10人で渡り合えるとされる魔物の事で、幾つかの国家が連合を組んで対処にあたることもある。
Sランクは1つの国が対処する事案である。ただし、Aランクの冒険者が50人は必要だが...
そんな中、サントスは皆の指揮を高めようと奮闘していた。
「皆、まだだ!まだ終わっていない!諦めるのは早いぞ!
確かに敵は強大で勝ち目は薄いかも知れないだが、ルーベンスは俺たちの街だ!
守らなければならない...最後まで諦めなければ救いはある!!」
その言葉で立ち上がるもの、まだ動けないものそれぞれだが...少しずつでも立ち上がるものが増え、戦いに赴く決意をしていった。
「...ありがとう。感謝する!
ルーベンスの街を守りきるぞ!!!」
その声に賛同者は声を張り上げ勇気を奮い立たせた。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして、最終ラウンドとなる第3波戦が始まった。
「出来れば高ランク冒険者を中心に1体ずつ相手をしていけ!」
そして、即席のレイドパーティーを組み合わせそれぞれが相手に向かった。
「SSランクには俺たちがいくぞ!
あれは他の奴では相手も出来ないからな。」
そして、サントスは実力のある信頼できる奴を連れてSSランクのアンデットドラゴンへと向かった。
アンデットドラゴンは古の龍が何らかの影響で死に至り、アンデット化したものだと言う。
しかし、正確なことは確認した者がいるわけではないので定かではない。
だが、分かることが1つある...それは、SSランク以上の魔物は人の手には余ると言うことだ。
裏を返せば人の限界を超えたものならば倒せる可能性があると言うことでもあるが、そんな人間はそうそういない...
特にルーベンスの街と言う辺境においては例外だが。
「さて、サントス!俺たちも行って良いのか?」
サントスに声をかけたのは、Aランク冒険者のサランだった。
「もう休憩は良いのか?」
「なんだ?心配してくれるのか?」
「いや、あんなに疲れて戻ってきていたのにな、と思っただけだよ。
行けるなら行ってくれ!
今は少しでも戦力が欲しい。」
  そして、いざ突撃だと言うときに誰かが呟いた。
「...あれは何なんだ?」
今から恐らく最終決戦で冒険者の指揮が高まっているにも関わらずその言葉は皆に響き渡っていた。
そして、その言葉はサントスやサランを始め主戦力にも聞こえていたため皆がほぼ時を同じくして空を見上げた。
空はいつの間にか灰色の雲に覆われ渦を巻いていた。
  その渦の中心に巨大な穴があり、静まり返った戦場に緊張をもたらした。
その時、この世の生物、魔物等の声とは呼べない禍禍しい声が響き渡ったのだった。
「Ggaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」
そして、冒険者が空を見上げ呆然としているなか...魔族もまた撤退を始めていた魔物は放置して...
「おい!誰でもいい、ダルラを連れ戻してこい!
撤退するぞ!急げ!」
ザングは声を聞いた瞬間に魔力を感知して直ぐ様決断した...撤退しなければ全滅すると。
その判断はダルラを除く全員の一致だったためザング以外が連れ戻しに向かった。
「...面倒な、魔転移門」
魔転移門は魔族の大陸へと帰る帰還魔方である。
しかし、欠点が1つ魔力が大量にいるのだ。
そして、激しい戦いを繰り広げていた2人は普段なら気づかない方がおかしい魔力ですら気づかないぐらいに集中していた。
「いい加減に諦めろや!しつこいな。」
「それは、儂の台詞じゃ!」
そんな言い合いをし続けて再びぶつかろうとしたとき...邪魔が現れたのだった。
「お前ら今良いところなんだから邪魔するな!」
そう、邪魔したのはダルラの仲間だった。
「あんたこの魔力を感じないの?
バカなの?死ぬの?」
「...あ?まりょ...く。。。魔力デカ!?
あっちか...おいおい、こりゃ化け物かよ!」
ダルラは出現地点の方角を見て冷や汗をかいていた。
「わかったらさっさといくわよ?」
「ザングをまた怒らせるの?」
メーシャ...バンリ...チッ、仕方ないか。
「分かったよ帰るよ。
そう言うわけだ爺さんあんたとはまたやりたいから死ぬなよ?
出来ればだけどな。」
そう言い残し消えて言った。
「出来ればもうやりたくないのぅ...
それより...遅いぞ!ガイヤ!
今頃来て、何のつもりじゃ!」
来たのは良いが終わっていたので隙を見て帰ろうと木の影に隠れていたのだがどうやら見つかっていたらしい。
「い、嫌だな~遅れただけで来たし、そんなに怒らないで落ち着きましょう、ね?」
「まあ、良い。今はあっちの方が深刻じゃ。
戻るぞ!」
「...はい!」
そう言ってルーベンスの街方面へ急いだ。
魔族も全員が集まり次第撤退し悔しさを滲ませた...
どうも、皆様柊☆黐です。
今回もお読み下さりありがとうございます。
そして、お気に入り登録といいね!が増え日々嬉しさが滲み出ています!
皆様、ありがとうございます!
今後ともよろしくお願い致します。
さて、次回からいよいよ魔物の氾濫編の終わりが見えて来るといいなぁ...
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