異世界物語〜銃を添えて〜
スキル練習その1〜恐怖症を添えて〜
門に着いたが、昨日一昨日と俺の方へと向かってきてた強面の男、ガルダンの姿が見えない。門を出る際に衛兵に聞いたところ、今日は休みだそうだ。正社員みたいな感じなのかな?
少しあの喧しさが恋しいが、一生の別れと言うわけではないので、明日や明後日になったらきっとまた俺の背中を叩きに来るだろう。
衛兵にギルドカードを見せ、アリシア平原へと出た。
アリシア平原の分かれ道だ。今日は特別クエストがあるわけでもないのでどちらに行こうか迷いどころだ。
少し悩みながら辺りを見渡していると、同じタイミングで街を出た冒険者と商人がマルティア方面に向かって行ったので、今日はゴブリンの洞窟があった道…真ん中の道を行く事にした。
アリアの情報によると、ゴブリン洞窟があったもう少し先には湖があり水生の魔物や、魚が居るらしい。
のんびり魚釣りとかも楽しそうだ。金銭的にも時間的にも余裕が出てきたら趣味の範囲でやってみようかな。元いた世界でもバス釣りなんかをよくしてたしな。
平原にも魔物は出て来るので、通常サイズに戻ったマテバを魔力供給しておく。するとマテバのサイズが大きくなり、装弾数が10発のマテバに変化する。
これも本当に不思議な光景だが、ファンタジー世界だ何でもありだろう。そういうことにしよう。ひとまず、俺たちは人が少なさそうな場所へと向かう。
数十分歩いた所で一度立ち止まるようにアリアに伝えた。
そろそろいいだろう…。人影とかも見えないしね。
「キュア、出ておいで」
「キュイィィッキュッキュ!」
やっと出れた!とキュアローブの中から出て、俺の肩へと登ってきた。
「キュッキュイッキュッ」
「ごめんごめん、つまんなかったよな。ごめんな」
身体と頭を俺の顔に擦り付けて来るキュアの顎を撫でてやる。気持ちよさそうに目を細めるキュアをアリアは微笑ましそうに見ている。
「アリアさんも触りますか?」
「いいんですかっ!じゃ、じゃあ少しだけ…」
俺の肩に乗っているキュアの頭を、恐る恐るアリアは撫でて行く。俺が撫でるのをやめたせいか、少し不満そうな表情を浮かべているキュアだが、アリアに撫でられるのはまだ許容範囲内らしいのでイヤがりはしなかった。
そろそろ行きますか、とアリアに告げて、もう少し先に進む事にした。
一昨日クエストで訪れたゴブリン洞窟付近までやってきた。ここまで来る途中も誰一人として出会わなかったし…大丈夫かな?
「ここら辺でいろいろ試して見ましょう。まず一つ目の実験です”索敵“」
俺がスキルを唱え終わると、俺の視界が緑色に染まり始めた、突然の事に驚いてアリアを呼ぼうとするが、その緑色に変わった視界の中で、いくつか別の色が見えた。
赤くもやもやとした煙のようなものが、鹿ぐらいの大きさの動物のような形を作っていたのだ。
そのまま視界を360度動かしていると、大体15m程先にまで赤もやが見える。あのイノシシのような形は──リトルボアだろうか。
その後も、いろんな方向に赤いもやが見えたが、全てが動物のような形をしたもので人ではないようだった。
試しに、アリアの方へと向き直ると、アリアは赤いもやで覆われた人型の様に見えた。
このスキルは中々使い勝手が良さそうだな。多分俺の今の限界が半径15mってところだ。このままスキルが上昇していけばもっと広い範囲を──それこそ街全体を見渡せるぐらいになるだろう。
1分程すると、視界が徐々に正常なものへと変化して行き、アリアと肩に乗ったキュアの姿が鮮明に映るようになった。
「リョウさん、如何でしたか?」
「大丈夫でしたよ。見えるものが全て緑色に変わった時はビックリしましたが…」
俺がそう言うと、クスクスとアリアは笑った。
「皆さん最初は驚かれるんですよ。でも索敵はかなり有用なスキルですので、良かったですねリョウさん」
おめでとうございます、と告げてパチパチと拍手をするアリアに、ありがとうございます、と伝えたあと、次のスキルを試す事にした。
「続けて、スキルを試して見ても宜しいですか?アリアさん」
「はい!勿論ですよ」
「キュアも大丈夫かい?」
「キュ!」
二人に同意を得られたところで、次のスキルを実行する事にした。
次は跳躍強化だ。リーシャだとかなり上空まで飛んでいたが…。
「“跳躍強化”」
スキルを唱えると、足に力が入るような感覚があった。さらに足に力を込めてその場で思いっきりジャンプをする。
何とも不思議な感じだった。
自分が高いところに居るという、この感覚は。…そうだ、ジェットコースターで一回転するところみたいな感じ。
恐る恐る下を見てみると、俺は地上から大体5m程の所にいた。
───実は俺そんなに高いところ好きじゃないんだよね。
「こえぇええええええ!!」
俺の絶叫が辺りに響き、下にいたアリアも驚いた様子でこちらを見ていた。ただ、ここから辺りを見渡してみる景色はなかなか良い。怖いけど。
そのまま辺りを見ているが、滞空時間というのは短いもので、俺は重力に従ってそのまま垂直に下に落下して行く。
ものすごい勢いで落下しているせいで、タマヒュンしてしまう。怖い。
その勢いのまま地面へと着地する、が、思った以上に振動や負担はかからなかった。これも跳躍強化の一つの恩恵なのだろうか?普通にジャンプした時ぐらいの振動しかない。
地面って偉大だよ。足が着いているって幸せ。
このスキルはかなり便利そうだけど…、ちょっと多用は出来ないかなぁ…。でもこれを機に克服するのもあり…でもなぁ…。
「リョウさん大丈夫ですか!」
アリアが心配そうに此方を見ているので、安心させるために笑みを作り口を開く。
「すいません、ちょっと高い所が苦手なのを忘れていました…。情けない限りです」
「キュイ?キュッキュウ!」
なんで?楽しかったよ!と言ってるようなキュアは、俺の肩ではしゃぎながら前足で俺の頬をペシペシと叩いている。肉球がプニプニ当たってて気持ちいい。
「私もあまり得意ではありませんので…一緒ですね」
少し恥ずかしそうにしながらアリアは、俺に向けてそんな言葉を言ってきた。あんまりそういう言葉を使うもんじゃないよ…、勘違いしちゃうじゃないか…。
「キュゥウウ…キュイッ!」
その態度が気に食わなかったのか、キュアの猫パンチならぬバンクルパンチが飛んできた。
肉球のおかげで痛くはないんだけどね。
そんな一幕があった後、一番気になっていた瞬動を試す事にした。
俺は10m程先に見えていた木を見据えながら
「じゃあ、次行きますね。”瞬動“」
スキルを唱えた。
身体が思いっきり引っ張られるような感覚が一瞬訪れたかと思うと、先程見据えていた木の場所まで移動をしていた。
本当に一瞬で10mほどの距離を詰められた。このスキルは凄いな…。もう一度今度は約20m程先に見える木を見据えてから、スキルを唱える。
先程の感覚がもう一度訪れた後、自分の現在地を確認すると────見据えていた木は5m程先に見えていた。
どうやら現状での限界はここまでのようだ。ただ、15m程の距離でも一瞬で詰められるのはかなり大きい。戦闘の幅が広がりそうだ。
今度は、アリアのを見据えて、瞬動を唱える。
一気に距離を詰めてきた俺にびっくりしながらも、アリアはパチパチと拍手をしながら俺に話しかけてきてくれた。
「おめでとうございますリョウさん!」
「ありがとうございます!すごく便利なスキルですね。後残りも試して見たいんですが…出来れば魔物がいるところで試して見たいですね。」
「わかりました!では…そうですね。道を外れて見ましょうか」
「キュアッ!」
残り三つのスキルを試すために、俺たちは魔物がいる場所へ移動を開始した。
少しあの喧しさが恋しいが、一生の別れと言うわけではないので、明日や明後日になったらきっとまた俺の背中を叩きに来るだろう。
衛兵にギルドカードを見せ、アリシア平原へと出た。
アリシア平原の分かれ道だ。今日は特別クエストがあるわけでもないのでどちらに行こうか迷いどころだ。
少し悩みながら辺りを見渡していると、同じタイミングで街を出た冒険者と商人がマルティア方面に向かって行ったので、今日はゴブリンの洞窟があった道…真ん中の道を行く事にした。
アリアの情報によると、ゴブリン洞窟があったもう少し先には湖があり水生の魔物や、魚が居るらしい。
のんびり魚釣りとかも楽しそうだ。金銭的にも時間的にも余裕が出てきたら趣味の範囲でやってみようかな。元いた世界でもバス釣りなんかをよくしてたしな。
平原にも魔物は出て来るので、通常サイズに戻ったマテバを魔力供給しておく。するとマテバのサイズが大きくなり、装弾数が10発のマテバに変化する。
これも本当に不思議な光景だが、ファンタジー世界だ何でもありだろう。そういうことにしよう。ひとまず、俺たちは人が少なさそうな場所へと向かう。
数十分歩いた所で一度立ち止まるようにアリアに伝えた。
そろそろいいだろう…。人影とかも見えないしね。
「キュア、出ておいで」
「キュイィィッキュッキュ!」
やっと出れた!とキュアローブの中から出て、俺の肩へと登ってきた。
「キュッキュイッキュッ」
「ごめんごめん、つまんなかったよな。ごめんな」
身体と頭を俺の顔に擦り付けて来るキュアの顎を撫でてやる。気持ちよさそうに目を細めるキュアをアリアは微笑ましそうに見ている。
「アリアさんも触りますか?」
「いいんですかっ!じゃ、じゃあ少しだけ…」
俺の肩に乗っているキュアの頭を、恐る恐るアリアは撫でて行く。俺が撫でるのをやめたせいか、少し不満そうな表情を浮かべているキュアだが、アリアに撫でられるのはまだ許容範囲内らしいのでイヤがりはしなかった。
そろそろ行きますか、とアリアに告げて、もう少し先に進む事にした。
一昨日クエストで訪れたゴブリン洞窟付近までやってきた。ここまで来る途中も誰一人として出会わなかったし…大丈夫かな?
「ここら辺でいろいろ試して見ましょう。まず一つ目の実験です”索敵“」
俺がスキルを唱え終わると、俺の視界が緑色に染まり始めた、突然の事に驚いてアリアを呼ぼうとするが、その緑色に変わった視界の中で、いくつか別の色が見えた。
赤くもやもやとした煙のようなものが、鹿ぐらいの大きさの動物のような形を作っていたのだ。
そのまま視界を360度動かしていると、大体15m程先にまで赤もやが見える。あのイノシシのような形は──リトルボアだろうか。
その後も、いろんな方向に赤いもやが見えたが、全てが動物のような形をしたもので人ではないようだった。
試しに、アリアの方へと向き直ると、アリアは赤いもやで覆われた人型の様に見えた。
このスキルは中々使い勝手が良さそうだな。多分俺の今の限界が半径15mってところだ。このままスキルが上昇していけばもっと広い範囲を──それこそ街全体を見渡せるぐらいになるだろう。
1分程すると、視界が徐々に正常なものへと変化して行き、アリアと肩に乗ったキュアの姿が鮮明に映るようになった。
「リョウさん、如何でしたか?」
「大丈夫でしたよ。見えるものが全て緑色に変わった時はビックリしましたが…」
俺がそう言うと、クスクスとアリアは笑った。
「皆さん最初は驚かれるんですよ。でも索敵はかなり有用なスキルですので、良かったですねリョウさん」
おめでとうございます、と告げてパチパチと拍手をするアリアに、ありがとうございます、と伝えたあと、次のスキルを試す事にした。
「続けて、スキルを試して見ても宜しいですか?アリアさん」
「はい!勿論ですよ」
「キュアも大丈夫かい?」
「キュ!」
二人に同意を得られたところで、次のスキルを実行する事にした。
次は跳躍強化だ。リーシャだとかなり上空まで飛んでいたが…。
「“跳躍強化”」
スキルを唱えると、足に力が入るような感覚があった。さらに足に力を込めてその場で思いっきりジャンプをする。
何とも不思議な感じだった。
自分が高いところに居るという、この感覚は。…そうだ、ジェットコースターで一回転するところみたいな感じ。
恐る恐る下を見てみると、俺は地上から大体5m程の所にいた。
───実は俺そんなに高いところ好きじゃないんだよね。
「こえぇええええええ!!」
俺の絶叫が辺りに響き、下にいたアリアも驚いた様子でこちらを見ていた。ただ、ここから辺りを見渡してみる景色はなかなか良い。怖いけど。
そのまま辺りを見ているが、滞空時間というのは短いもので、俺は重力に従ってそのまま垂直に下に落下して行く。
ものすごい勢いで落下しているせいで、タマヒュンしてしまう。怖い。
その勢いのまま地面へと着地する、が、思った以上に振動や負担はかからなかった。これも跳躍強化の一つの恩恵なのだろうか?普通にジャンプした時ぐらいの振動しかない。
地面って偉大だよ。足が着いているって幸せ。
このスキルはかなり便利そうだけど…、ちょっと多用は出来ないかなぁ…。でもこれを機に克服するのもあり…でもなぁ…。
「リョウさん大丈夫ですか!」
アリアが心配そうに此方を見ているので、安心させるために笑みを作り口を開く。
「すいません、ちょっと高い所が苦手なのを忘れていました…。情けない限りです」
「キュイ?キュッキュウ!」
なんで?楽しかったよ!と言ってるようなキュアは、俺の肩ではしゃぎながら前足で俺の頬をペシペシと叩いている。肉球がプニプニ当たってて気持ちいい。
「私もあまり得意ではありませんので…一緒ですね」
少し恥ずかしそうにしながらアリアは、俺に向けてそんな言葉を言ってきた。あんまりそういう言葉を使うもんじゃないよ…、勘違いしちゃうじゃないか…。
「キュゥウウ…キュイッ!」
その態度が気に食わなかったのか、キュアの猫パンチならぬバンクルパンチが飛んできた。
肉球のおかげで痛くはないんだけどね。
そんな一幕があった後、一番気になっていた瞬動を試す事にした。
俺は10m程先に見えていた木を見据えながら
「じゃあ、次行きますね。”瞬動“」
スキルを唱えた。
身体が思いっきり引っ張られるような感覚が一瞬訪れたかと思うと、先程見据えていた木の場所まで移動をしていた。
本当に一瞬で10mほどの距離を詰められた。このスキルは凄いな…。もう一度今度は約20m程先に見える木を見据えてから、スキルを唱える。
先程の感覚がもう一度訪れた後、自分の現在地を確認すると────見据えていた木は5m程先に見えていた。
どうやら現状での限界はここまでのようだ。ただ、15m程の距離でも一瞬で詰められるのはかなり大きい。戦闘の幅が広がりそうだ。
今度は、アリアのを見据えて、瞬動を唱える。
一気に距離を詰めてきた俺にびっくりしながらも、アリアはパチパチと拍手をしながら俺に話しかけてきてくれた。
「おめでとうございますリョウさん!」
「ありがとうございます!すごく便利なスキルですね。後残りも試して見たいんですが…出来れば魔物がいるところで試して見たいですね。」
「わかりました!では…そうですね。道を外れて見ましょうか」
「キュアッ!」
残り三つのスキルを試すために、俺たちは魔物がいる場所へ移動を開始した。
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