俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!

慈桜

第59話



 ネモ達がパラオでワイバーンレースに向けて画策している最中、国の三分の一を焼かれた韓国では、新たな動きが見られるようになっている。

 在韓米軍は危険を察知し、即座に沖縄、佐世保へと家族を連れて避難し、その流れに乗じて韓国側も日本へ避難しようとしたが、日本側がコレを即座に拒否した。

「こんな時にくだらん外交問題を出そうと言うのではあるまいな? 同盟国ならば有事の際に手を差し伸べるのは当然だろう!」

 これには流石に韓国の首席である安崔虎アンチェイン大統領も猛烈に日本政府を批判した。
 名前に似合わずしがらみだらけの男である。

「韓国で暴れているテロリストの素性が知れぬ以上は韓国側の自演の可能性も否めない。更には朝鮮籍の無差別殺人テロも記憶に新しい、現在日本での対韓感情は過去最悪、嫌韓56%から滅韓91%です。韓国軍、難民の受け入れなどできるはずがありません」

 例によってダルそうに返答を返すのは自由皇民党総裁芦屋万次郎。
 総選挙を控えており、ダークホースの阿波に首を狙われているので、このような事案は極力避けたかったのだろう。心底深い溜息を吐き出している。

「あのテロリストが日本人であるのは明らかだろうが!! それに日本国内の一件は北朝鮮の仕業、にも関わらず南北関係無く我が国へ在日を送り込んだが故に対馬侵攻が起きた! つまりは日本の自作自演だ!!白々しいにも程があるぞ!」

「在日を送り返した? それこそ根拠がありませんね。入出国の管理を徹底しておりますが、在日韓国、朝鮮籍の者が国外へ出た記録がありません。それもまた我々に罪を着せる為の自作自演なのでは?」

「そんなはずがあるか!! こうして下げたくもない頭を下げているのだから受け入れろ! はぁ……芦屋、此方も譲歩しないわけではない。もう未来永劫慰安婦に関しても何も言わないと約束する! それでかまわないだろう?」

「今は慰安婦の話などしていなかったのですが、ね。 まぁ、いいでしょう。ならば北朝鮮に宣戦布告してください。立場をハッキリとさせるのであらば、此方も肩を並べましょう。それができないのであれば協力できません」

「できるわけがないだろう!? 向こうは核兵器を持っているんだぞ? いや……ふふふ、それならば北と手を組み、日本に宣戦布告をした方が理に適っている。米国もこの件に関しては口出しできないだろう。それでも構わないんだな?」

 そこで安崔寅は開き直ったかのように踏ん反りかえるが、芦屋はシメシメと悪い笑みを浮かべる。
 単にかまちょで脅しをかけているだけだが、芦屋は欠伸を堪えて平然を取り繕いながらに深く頷く。

「判断は任せますよ、全面的にね。日本は韓国軍を受け入れないし、難民も完全に拒否します。日本の信用が欲しければ北に宣戦布告、日本を潰したければ北と組んで核の雨とやらを降らせるといい」

「その発言は戦争を助長している。遂に化けの皮が剥がれはじめたなぁ? 米国も踏まえた上で同じ事が言えるんだな?」

「内密に話したいと言うから内密に提案したまでの話。それをどう捉えるのかは自分で考えるといい。あっ! そうだそうだ、盗聴器の類も全てショートさせているので悪しからず」

 日韓関係に決定的な亀裂が入るも、米国は仲裁に入るに入れない。
 米国国内がパープルヘイズにより爆増する能力者によって前代未聞の大混乱状態である為だ。

『日韓の仲裁に米国はどのような立場を取るべきでしょうか?』

『現場に全てを任せる』

 その一言残して以来通信が途絶えてしまったのだ。

 それもまた無理もない。
 白人至上主義を掲げる米国ドランク大統領は、連日24時間体制で命を狙われており、自らが潰せと命令したレイヴン教が秘密裏に送り込んだ愛国者を騙るスパイ能力者に守られなければ明日をも危い状態である。

 つまり間接的にレイヴン教の庇護下にある為、本人の気付かぬうちに繰り人形のように思考を誘導されてしまっているのだ。

 当然米国の過度の干渉はパラドックスとして好ましくないので、今はアジアに構っている暇などないと言った流れに誘導されているのである。

「やはり同盟など名ばかりではないかっ!!」

 しかし、米国の態度に激昂したのは韓国大統領である安崔寅。
 早速芦屋の立場を悪くしてやろうと、白人様の指示を仰ぐ為に連絡を試みたが、現地に任せているの一点張り、そして米国は上の指示を待つと沈黙してしまった。

 残された手段は3つ、北と手を組み日韓戦争を起こすか、北に宣戦布告し日本に協力を取り付けるか、もしくは国民総力を挙げて玉砕か。

 北と組み核を撃ち込めば、日本には勝てるかもしれないが、第三次世界大戦の引金となり、瞬く間に半島は消滅する。

 北に宣戦布告をして日本に協力を取り付ければ、僅かながらにも国民を救えるかもしれないが南半島が核で吹き飛ぶかもしれない。

 玉砕戦など論外で、賛成を得られるわけもない。

 どれも結果は破綻するしかないのだが、彼には現在しか見えておらず、本来ならば頭抱えて思考停止に陥るが、彼らのお国柄、第四、第五の案が直ぐに出てくる。

 本来なら国家として避けられる他力本願、責任転嫁を国是としている国は一味違う。

 こうなれば中国の戦力を頼りにすべく従北親中路線に舵を切るしかないと即座に決断する。
 ここで実は関係あるが、表面上なんら関係のない中国を槍玉に上げようとするのだから流石だ。

 元より来たる有事に備え、その路線も確保していたが、ここは完全に米日を切り捨て、もう一つの超大国へと縋る姿勢を見せたのだ。

「我ら南北の兄弟の力を合わせ日本を滅ぼしましょう。米国は日和見です。日本を半分に切り分けると約束すれば、必ず中露も協力してくれるはずです。万が一にも負けません」

 更には漁夫の利でロシアまでも巻き込もうとの魂胆、人の財布を頼りに高級寿司でも食いに行こうと誘うノリであるが、北側は差し出された右手を見つめながら笑顔のままに首を左右に振り、左手を差し出した。

「すまないが我々は南に宣戦布告させていただく。日本の奴らに京城を焼かれる前に奴らを叩き潰しておきたいのでね」

 しかしここに来てまさかの交渉決裂、即座に方向変換をして日本とビデオ会談を行う安崔寅。
 フットワークの軽さは蝙蝠国家ならではの軽やかさである。

『北に宣戦布告しようとしたら、逆に宣戦布告されてしまった。しかしこれで納得いただけただろう? 韓国軍と難民を受け入れを頼む。そして即座にテロリストを武力制圧したいので応援を要請する』

「いやいや、それならこっちは超法規的措置にて暫定的に南北戦争に関しては中立国を宣言しますよ。そっちで勝手に戦争しといてください」

『き、きぃさまぁぁあ!! 同盟国にそんな手段が取れるわけないだろいがぁ! また嘘を重ねるつもりかぁ!』

「ブーメラン乙。そもそもこっちは軍隊なんてありませんしね。それに偽装開戦である可能性も否めないので、中立を表明する理由はあります。こっちは中国の民間に占拠されてる先島諸島で手一杯なんですよ。後、日韓は同盟国ではなくなり、中立国となったので竹島の一件に関しては武力行使も厭わない」

 そして中立国となった事により、今後在日南北人の所在が不明である状況を突っ込まれても、国内でテロを起こしたので処分したとの言い分が通ることになる。

「はぁ……なんとかなったな」

『大方予定通りです』

 示し合わせたかのように、日本に都合の良い展開ばかりが続いてしまっている以上は信じざるを得ないが、全てパラドックスの筋書き通りであったとするならば恐ろしい話である。

 日本のテロ、北の核に挟まれ、行くあてを失った韓国難民は中露に逃げるほかなく、海上を難民漁船で埋め尽くすが、中には日本を目指すものも数多く存在する。

 しかし彼らは対馬に残った1万の守備隊達及び海上保安庁、海上自衛隊に阻まれ、引き返すか海の藻屑となるかを選ばなければならなかった。
 中には拿捕を狙って攻撃を仕掛ける者も存在したが、どんな結末を迎えたのかは言うまでもない。

 ロシアなどでも砲撃を掻い潜った上で密入国する必要があり、唯一中国は遼東半島だけが受け入れを表明してくれたので、次第に難民の流れは中国に集中する事となる。

 更には米国はサンフランシスコ、カナダはトロント、フランス、ウズベキスタン、カザフスタン、ドイツ、フランス、イギリス等が移民受け入れを表明し、それにより諸外国が水を得た魚のように活発に日本バッシングを始めるが、日本は素知らぬふりである。

『惑星規模の莫大な土地があるのなら難民を受け入れて然るべき』

『事の発端は日本の過激派であるならば、事前に抑えられたなかった日本の責任は大きい』

『飛行可能なパワードスーツなどふざけた武装をしている時点でネモとやらの関与は明白』

『日本国内でのテロ行為は北朝鮮の仕業、韓国に攻撃を仕掛けるのはおかしい』

『慰安婦問題の報復であるとしか思えない』

『日本が殺人民族であると立証された』

 諸外国は実に好き勝手にほざいてくれるが、芦屋は次回の選挙を諦めるつもりで徹底的に反論した。

「好きに言えばいい。私は日本人だ。日本人の総理大臣だ。だから日本の事を一番に考える。外交もより良い日本に導く為、海外出資もいつか日本を助けてもらう為、全ては日本の為にやって来た事だ。お前達の都合のいいATMになる為に日本は存在しているわけではない」

 ピシャリと言い放った芦屋の発言は、後世に日本人が『日本の為に語る事』の代名詞である【芦屋節】として単語化されるが、それは余談、芦屋の反論はいよいよ日本が壊れたと広く認識されるキッカケとなる。

 しかし、芦屋万次郎を語る上では欠かせない台詞が直後に飛び出す。

「アイラブジャパン! ファッキンガイジン!!」

 この一言は瞬く間に世界に拡散される結果となる。
 海外では差別と認識されている【外人】と【Fuck】の合わせ技は中々の破壊力を持っていた。

 神様チート込みで世界一の超大国になろうかとしている国の首席の発言としては余りに稚拙であるし、何よりカナ英語のダサさが何とも言えない。

 ただの日本大好きなんじゃオラァ! 発言であるが、何故この台詞が世界に知れ渡ったのかと言えば、芦屋がその言葉を放った直後に画面が切り替わり、示し合わせたかのようなタイミングで、北朝鮮が数百発規模で韓国にミサイルをぶっ放したからである。

 アイラブジャパン、ファッキンガイジンのタイミングでデスクを殴り、合間に人造人間19号がマザファカー!!と叫ぶコラ画像が挟まれた直後に、ミサイルが空を埋め尽くす一連のコラ動画が拡散されたのは、それから間もなくの事であった。

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 ミサイルが空を埋め尽くす様に、世界中が息を飲む緊張感に包まれるが、現場の至ってゆるい空気が画面を通して伝わるので現実味が無くなってしまっているが、それは不幸中の幸いだったのかもしれない。

「いよいよ一足遅れて世紀末がやってきたって感じだな」

「鷹型ユニットを切り離してミサイルの弾道を逸らせ! アレに核弾頭は搭載されていない! ただのロケット花火だ!!」

「ロケット花火て。あはは」

 融合ユニットの視界を映像化し、パラドックスが映画のワンシーンのように編集した戦争の動画は、パワードスーツの凄まじさをまざまざと見せつける事となったからだ。

 数百発のミサイルに対し、連中が打ち上げた鷹型ユニットは万を超え、飛来するミサイルをゴッチャ! しては、これまで焼き払った町へと進路を変えて落としていく。

 自信満々に撃ち放った数百発のミサイルは、焼け落ちた町を駄目押しで焼き払ったに過ぎない結末となったのだ。

「圧倒的過ぎるのもつまらないものだな」

「でも総帥ちゃんも猿型着なよ。狙撃されたら死んじゃうよ?」

「ならばそこまでがオレの運命であるに過ぎない」

 今や10万のジャパニーズテロリスト を率いる身となった、迷彩柄の飛行バイクと金髪ツインテールがトレードマークの美しい少女は、ミサイル防衛が上手くいったのを見届けると、鬼のように顔を歪めて嗤う。

「はぁ……まぁ、いいや。総帥ちゃん、カメラに向かって北へのメッセージを送ってあげてよ」

 遂には【総帥ちゃん】とのあだ名をつけられてしまう程に有名になり、部隊の者達にすら、その呼び方が定着してしまっているのは余談。
 彼女は隊員のリクエストに答え、20体の鷹型ユニットを周囲に旋回させながらにカメラに目線を合わせる。

「世界各国の諸君。此度の防衛に関し、我々の力の一片を見せられたと思うが感想は如何かな? 我々はこれより10日後、全軍を持って北上する! 我々はゴキブリ国家の害虫共を尽く駆逐するつもりだ! 死に畏れを抱くのであらば、尻尾を巻いて逃げるがいい! 祖国の為に剣を持つならば消し炭にしてくれよう! 我々は死を振りまく毒虫に等しく死を齎す殺虫剤だ! 我らを悪とするなら諸外国の皆々様も悪を討つ為に立ち上がればいい、我々は等しく害虫に死を齎す。そして同胞を無差別に殺したゴミ虫北朝鮮に告ぐ、貴様らには我らが大和人が戦闘民族たる所以を骨の髄まで叩き込んでやるから首を洗って待っていろ。逃げる猶予など与えん。老若男女問わず根絶やしにしてやるから覚悟しておけ」

 世界に向けての宣戦布告とも取れる挑発的な発言であったが、諸外国は挑発に乗らずに日和見主義を貫いた。

 結果としては南北にて移民の群れがごった返す結果となったのは言うまでもない。
 テレビ回線のジャックはもちろんのこと、普及し始めた少なくないスマホからもパラドックスは全ての情報を流しているので、北の民間レベルでも迫り来る理不尽な死を察する事が出来ていたのだ。

 実際は逃げる者は追わずに、避難猶予を与えつつも町や住宅を徹底的に焼き払っただけなのだが、それらは一方的な虐殺に見えるのも仕方のないことである。

 車が雨のように降り注ぎ、至る所で爆発音が響き続けては火の海となっていくのだから、さぞかし恐ろしい事だろう。

「あ、そうだそうだ。我々は半島を焼き払うが、統治するつもりはないのだよ。だからこの地が欲しい者は申し出てもらいたい。適正価格で販売することを約束してあげよう。できれば、次は我々を裏切らない良き隣人が好ましいがな」

 この領土売買発言が後に新たな戦争の火種となるが、それはまだまだ先のお話。

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