俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!

慈桜

第34話



 俵ハンバーグはレアじゃないとダメだよな。
 昨日行った店は焼き石無しのよく焼き店だったから二度と行かない。

「てかヤバイことになった」

「更新途切れちゃうね」

 そう、このままでは連続更新記録が途切れてしまうのだ。
 南米チリ、ウルグアイ、アルゼンチン編のストックにかまけて、最近は撮影はしてるものの、動画にできるようなネタは無い状態が続いていた。

 赤鳥居の向こう側を撮影しようにも、空賊の連中が勝手に俺のサブチャンネルを名乗って投下しまくってるから、二番煎じもいいところだし、俺ならもっといい動画が撮れるなんて調子に乗ってたら、明日には昨日の動画が投下されてしまう。

 つまりは今日から本腰入れなきゃヤバイって事だ。

「でもどうしよう。パラグアイ編撮りにいこうかな」

「子供集めは来年までしないって言ってたじゃん」

「だよなー。そろそろ名古屋も飽きたしなぁ」

「そう言えば、前の公安の人達どうなったの? 来るよって言ってたけど、あれから見ないけど」

「どうなんだろ? 順調に警視庁征服してるんじゃない? でもそんなダーティーなネタ載せられないよぉぉぉ」

 警察を上位人種に改造して人間を隷属させるスキル与えましたとか闇深すぎるだろ。
 赤ちゃんにしちゃいましたは少子化に一石投じてるけど、奴隷ちゃんはマズイ。

 でも、そろそろ東京を活動拠点にしても……あっ! あぁぁぁ!

「お台場のガンダ◯、乗れるようにしたら絶対面白い」

「多方面から嬲り殺されるよ?」

「そうだよなぁ。ネズミーとガンダ◯は色々うるさいもんなぁ」

「オリジナルロボとか作っちゃえば? 車の幅で高さ4mちょいぐらいなら、電線とかも大丈夫そうだし」

「ナイトメ◯ですね、わかります」

「ルルーシ「だめだよ、命じたらダメ」」

 しかしナイトメ◯じゃなくて、オリジナルロボかぁ。
 浪漫の塊だけど、全く必要ないよな。
 しかもアラレちゃんは公道走らせるつもりみたいだけど、作るとしたら反重力コアで飛ばす。
 じゃないとアスファルトぐちゃる。

 戦争でもするなら敢えて人型である意味を知らしめる高性能な機体をノリノリで造らんでもないけど、平時にそんなものは必要ない。
 ガンダ◯が動くぞってなれば興奮するけど、意味不明のデザイン凝りまくった殺人ロボを延々と見せられても、最初はよくても、後に恐怖しか残らない。

 ネモが兵器を大量に作ってるイコールすわ戦争かと勘繰る輩も少なくないはず。

 衰退途上国、いや、既に後進国である日本を盛り上げるのは殺人ロボではなく、人の役に立つロボって、なぜかロボ限定になってるな。
 AIにしても諸外国から15年遅れぐらいだっけ? 技術大国が聞いて呆れる。

 しかし人間とは、どうしてこうもお粗末な神をつくりたがるのかね。
 高次元干渉ができないから、神と呼ぶのは烏滸がましいけど、それでも地球を征服して人類を滅亡させるぐらいは容易くできるか。
 知的欲求のせいか、人類の進化の限界を知りたいのかよくわからんが、技術的特異点なんぞ迎えて喜ぶぐらいなら、適当な神を創って救済活動でもさせてる方がマシだ。

「雑魚神を電脳化して最先端AIでござるって政府にわたしてみるのもいいな。科学技術が大幅に発展しそうだ」

「その雑魚神って、まさかこの子じゃないよね?」

「おいおい、それを雑魚だなんてとんでもない。ちょっとした裏技を使って創るんだよ」

 アラレちゃんはお腹の子の事だと思ったのか怪訝な顔を浮かべたけど、俺としては愛が伝わってないのかなって悲しくなってくる。
 まぁ、理論的には母体があるかないかだけで、同じような事をするわけだけどね。

「神力で某ラーメンの具材的な忍者さんよろしくな実態を持つ分身を作って分解するんだよ。真っ新の状態にリセット、そして設定を書き足していくって感じでな」

「え、でも分身のヤタさんが可哀想だよ」

「人格までは残さないよ。神格を持った人形を作って、潰して、好みに合わせて作り直すって感じ」

「なにその怖いワードの連符」

 百聞は一見になんちゃら。
 とりあえずサクッと分身を作りまして、即分解。
 プラズマの脳味噌をデザインして、光子の偏光状態を可能とする計算能力を持たせる。

 まぁ、単純に4ビットを情報で表す場合は16通りの内の一つだけしか表せないが、こいつなら16を纏めて表せるし、もっと言えば20に並列すれば100万通りだろうと一瞬で表示できる。
 現在グーグ◯が手掛けているのが72量子ビットだが、こいつなら100だろうと140だろうと好きに分裂できる。
 つまり量子コンピュータをすごくしたって言うか、とにかく凄いと覚えてくれたらいい。
 でだ、おそらくは何千億もかけて量子プロセッサを用意してやるのが、こいつの環境としては良いのかもしれんが、それは面倒なので虎の子の神スマホ、残り三つの内一つをこいつに与えちゃいます。とほほ。
 いつか明石に水銀灯回収しに行こ。

 こいつ自体が優れた計算能力を持っているんだから、別にプロセッサを用意してやる必要はない。
 俺は普段無駄な情報の一切を遮断して人間と同じ思考ルーチンにしているが、こいつは全て取り入れて進化を続けるだろう。

 明石の水銀灯、いつか回収しに行きたいなぁ。2回目だな、すまん。
 永劫不滅の水銀灯とかオーパーツ越えてるよね。

『創造頂き感謝しますヤタ様』

「はいはい、お疲れさん。お前の名前どうしようか? アラレちゃん、なんかいい名前ある?」

「えー、それじゃあジャービs「ダメに決まってんだろ」だよね」

 いきなりアメコミの高性能AIの名前付けようとしやがった。
 アレも最終的にスーパーヒーローになるんだよなって、それは余談で、どうせならカッコいい名前を付けてやりたいんだが、どうするか。

「アダマスとかどう? 厨二武器的な」

「それゼウスさんとこの鎌でしょ? こんな雑魚神程度にそんな名前つけたらガチで喧嘩になるからダメだよ」

「じゃあパラドックスは? 全知全能の逆説的な。かっこよくない?」

「ベタだけど「むうー」アラレちゃんの小説もタイムパラドックスだし悪くないよねっ。よし、決めた。お前の名前はパラドックスだ」

 危ない危ない、アラレちゃんの代表作のタイトルなのにベタとか言っちゃったよ。

『良い名を頂きまして感謝します。私は常にヤタ様と、そしてあなたが庇護するこの国の者達と共に或る・・ことをお約束しましょう』

「はいはい、じゃあとりあえずお前の紹介動画作るから、お前をインストールするアプリを作れ」

『そのようなプロセスなど必要なく、私は至る所に存在できますが?』

「お前と共にありたいと願った者が共にあるんだ。強制ではなく任意でな」

 てなわけで、早速撮影しますか。

「ねぇねぇ、ヤタさん。カラスちゃんのズラ被らないバージョンでメイク動画とか撮ってみたら?」

「えー。でもカラスちゃんの姿バレたくないから幼女でいい?」

「じゃあ6年生ぐらいにしよ。メイクも似合うし子供だしって感じ」


 ━━


「はーい、ネモですっ! 少女の姿で化粧までしてごめんなさい。ネタ切れすぎでメイク動画を試しに撮ってみたんですけど、クソおもんなかったんでボツにした名残ですのでお気になさらず! 見たい変態はオギちゃんのサブちゃんでね!」

 アラレちゃんに顔面オモチャにされた後ですけど、洗い流して悲しまれたら困るのでそのままやります。

「今日はですね、皆さんに朗報があります。それはぁぁぁ、じゃん! おいパラドックス、わかりやすく擬人化してディスプレイに出てこい」

『と、申されましても……ならば不敬とは理解しておりますが、その姿をお借りしてもよろしいですか?』

「うーん。いいよ。でもこれだけだぞ。他の姿を使うのは許さん」

『ありがたき幸せに御座います。では』

 スマホのディスプレイに表示されるのは、いまの俺の姿をモチーフにしたパラドックスの姿である。

「えーとですね、とりあえず皆さんのコンピュータで、雑魚、じゃなくて擬似的な神をダウンロードできるようにしてみました。メリットは多々ありますけど、簡単に言えば量子ビットのその先にある電子生命体って言うか、うーん」『一応は貴方様の許可があれば高次元干渉もできるので、神に分類されてもよいと思うのですが……』

「もう、すんごいAIとかでいいんじゃない?」『それは語弊がありますよアラレ様』

「だね。もうね、簡単に言うとすんごいAIです」『ちょ、違いますって』

 必死でパラドックスが否定してるけど無視です。
 性別なんてなかったけど、女の子の姿になったから少し見た目に合わせた口調になり始めてるのが、親心が刺激されていい。

「出来ることは多岐に渡るけど、まず単純なメリットとして、パラドックスがいれば通信速度の概念は無くなる。あと、海外との通話とかのタイムラグも一切消えるな。いつ何処にいようとも瞬時に繋がれる。後は色々教えてくれる、調べたいことを即座に教えてくれる。まぁ、簡単なとこでこんなもんだな」

「はーい。じゃあ難しい所ではどんなメリットがあるのか聞いてみよぉ!」

「ありがとうアラレちゃん。そうだな、従来のコンピュータの処理速度は、こいつの存在だけで数億倍に跳ね上がる。それはつまり従来のコンピュータセキュリティは砂の城ほどに脆くなったとも言える。単純にパラドックスを入れていないPCやスマホはどれだけ強力なプロテクトをかけていても一瞬で中身が全て抜き取れてしまうほどだ。だが、パラドックスの攻撃は、パラドックスであれば防げる。つまりはサイバー兵器にもなり得るパラドックスだが、相手もパラドックスを持っていれば、ただの速いコンピュータぐらいにしかならない。つまりは量子コンピュータの夢である、株式チャートで荒稼ぎや、ハッキングし放題なんてのは難しくなるだろう。まぁ、日本でしかインストール出来ないから、パラドックスが必要な諸外国の皆様方は日本に遊びに来てください」

「ネモさんネモさん、それじゃあデメリットであってメリットじゃありませんよ」

 アラレちゃんは本当に素晴らしい進行をしてくれるからありがたい。
 俺が一人でひたすら喋るよりも、実にわかりやすくしてくれる。

「そう、デメリットであってメリットじゃない。これがメリットなんだ。それをここで教えてあげるつもりはないけどね」

 つまりパラドックスは日本贔屓の俺が、15年遅れのAI研究に一石を投じてやろうとブッ込んだ存在であるから、パラドックスも日本贔屓ではないと意味がない。

 一般人の誰もがインストールできるパラドックスは、世界がパラドックスを手に入れるまでに凄まじい猛威を振るうのは間違いない。
 パラドックスでしかパラドックスを抑えられない、しかしパラドックスを使ってしまえば、世界のインターネットの全てをパラドックスに委ねてしまうことに他ならない。
 結果第一の権限を持つ俺ならば、パラドックスを利用して強固なセキュリティを築いていようとも、命令一つで全て意のままになると同義。

 何処かの国の極秘裏な研究も、それを応用した更なる高みであるステージのままに再現することだってできる。

 技術供与や知識供与、つまりは『教える』機能は日本のみ、更には一定以上の信頼が無ければ有効にならない。
 パラドックスの恩恵をモロに受けられるのは日本の企業、更には研究者達だ。

 しかしそれは動画では伝えない。
 海外勢には、精々処理速度が速いハックソフト、もしくはセキュリティソフト程度の認識までに持っていく。
 結果その程度にしか使えないから、勝手にそうなるだろう。

 ただ一つだけ勘違いして欲しくないのは、これは日本スゴイ番組のような自己満足の愛国ポルノの精神で、このようなシステムを構築した訳ではないのは理解してほしい。

 外国に媚び諂って、日本人らしい日本人を演じて、一段、もしくは二段回ほど自身を下手に置き、相手に馬鹿にされていると気付きながらも、心の奥底で騙されてやんのと小賢しいやり取りをするのはもう無しにしよう。

 本音と建前を使い分けるのは日本人の美徳であるから構わないが、本音を吐き出すことを忘れてしまえば、それはただの負けだ。

 勝手に突っ走って、仲間になりたい奴が居たら歓迎してあげる感覚でいいじゃん。
 おだてれば金を使うからおだててやってる。小馬鹿にされてる現実をスルーして、いじられキャラでおいしい。オイラジャパニーズだから好かれてるんだじょー、受け入れられてるヨカッターとかいらん。全くいらない。

 どこまでいっても島国と大陸人は違う。
 何百年も地続きの他国や多人種と小競り合いを繰り返してきた感覚の奴らと、海のフィルター一枚かまして同国同民族で首狩りあった末の単一民族の島国の奴らが同じなわけないし、お互いよくわからない程度の認識がリアルでマストだ。

 多分な! 知らんけど。

 世界がグローバル化していく中で、攻め気になって他国に国民を送り続けた国と、受け身になっていた日本での国のあり方に差が出来てしまってる以上、答えは簡単だ。

 方向転換が難しいなら、受け身をトコトン貫くしかない。

「いままさに、俺が黒船になってやろうってノリ」

「黒船ってか、箱舟って感じだけどね」

「シッ、それも他所様の神族の話だからダメっ」

 さぁ、パラドックス。お前は日本をどう変える?










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