俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!
第26話
『で、ありますから、私どもとしましても、一度調査をし、安全を確認してからと、なりますので、今はこれ以上はお答えできません』
『これは宇宙からの侵略行為ではないのですか!?  何か知っているのでしょう! お答えください!』
『ただ今調査中ですので、お答えできることはございません』
なんかネットの生放送が炎上してる。
国会審議? 的な放送ね。
何やら野党の皆さんは、俺が宇宙人で与党と手を組んで日本を惑星侵略の足掛かりにしようとしてる的なことを言っているらしい。
それで与党のお偉いさんが半笑いでコイツ何言ってるんだろう? って感じで対応してる。
政治家も色々大変なんですね。
『別の酸素惑星への転移装置を仕掛けられた直後に、件の人物がそちらへ赴き日本の国旗を掲げている動画がありましたが、これは諸外国への挑発行為だとは思いませんか?』
『それは私になんと返答をして貰いたいのですか? それに関しましても、現在調査中ですので、お答えすることはできません』
『しらばっくれるのはそれぐらいにしていただきたい!! 彼は日の丸を掲げたのですよ! 日の丸は何処の国の国旗ですか! お答えください!!』
『はぁ、我が国日本国の国旗でございます』
『それでは話がおかしいではないですか! 宇宙人が日本に訪れ、異星との転移装置を設置した! そこに宇宙人の国の旗を掲げるのならばわかりますが、日の丸を掲げている時点で、国と関係があるのは間違いないでしょうが!』
なるほど、これについては俺が全面的に悪いな。実に軽率な行動だったと言えるだろう。
元日本人の感覚的に、戦争とかの切っ掛けにならないようにと思ったが、でっちあげのいい材料にされてしまってる。
『貴方の認識ではどうかわかりませんが、我が国では近年外交に力を入れており、日本を好ましく思ってくれている外国人の方が増えているのは事実です。どのような超技術かはわかりませんが、日本フリーカーな海外の科学者が、日本にこれから起こりうる災害を嘆き、自身の発明を投げ打ち、更には我が国へと救済の意を込めてプレゼントしてくれたのやもしれません。常識的に考えて、宇宙人だとか、侵略だとかは、話が飛躍しすぎているように感じられるのですが? 』
『常識ですか! 便利な言葉でありますね! ですがね、それは詭弁と言うものですよ。現在日本では科学などで説明がつかない超常現象が次々と起こっています! 今さら常識を問うたところで何の意味もなさないのですよ! 』
『では、反対に言えば、あなたがたが宇宙人を招いて我々を貶めようとしているとも言えるわけですね。このような常識外れな答弁はしたくありませんが、あなたが言っているのはそう言うことです』
舐めプとはこのことか。
与党側は爆笑してしまっている。
野党のオッさんも鋭く斬り込んだが、結局はブーメランが突き刺さってしまったようだな。
『では総理、転移先の惑星については、これからどのように扱われるつもりですか?』
『最初に戻るのですね、それに関しましては、申し上げた通りに、安全確認のための調査中ですので、返答を差し控えさせていただきます』
『安全性云々ではなく、これからどうするのかと伺っているのです! 独占するおつもりか、諸外国と共に調査を進めるのかと言った具体的な部分です! お答えください!』
『ですから、安全確認のための調査中ですので、返答は差し控えさせていただきます。なお、国会はたらればの論議をする場ではございませんので、現時点にて確定していない事項に関してまして答弁を控えるのは至極真っ当であるとご理解願いたい』
確かに、安全の確認が取れたら移住とかできればいいかなぁとは思ってるなんて曖昧な事を言えば、それは個人の希望的観測であって、国会答弁としては相応しくないわな。
野党側としては、現時点のままでは利権を大きく失う危険性を感じ取ってると言ったところか。
どう考えても移住可能な惑星発見、名古屋で門をくぐって即到着とかなれば、凄まじい利権が発生する。
このままだと好き勝手できない野党側はバックについてる海外勢力を潜り込ませてカスリをとりたい。
このまま行けば、落とし所としては日米合同開発から出資を募って、随時欧州勢が参加って感じだろうけど、中韓を滑り込ませる事が出来れば野党側はブローカー的なマージンがとれる。
なんとしてでもゴネ得に持ち込みたいけど、蚊帳の外でハンカチ噛みちぎってるといった具合か。
俺的には日本の神であるアマテラスが創った世界であるから、日本が独占するべきだって、少し右寄りな発想になっちゃうけど、世界的に見るなら雇用創出なんかでも活用してくれれば、平和的でいいと思う。
そもそも人が増えすぎてるよぉってチビテラスも嘆いてたし、経済操作の人口調整なんかを世界規模で画策されるぐらいなら、子供ぐらいならウェルカムしていいんじゃないかな? 子供かわいいしね。
世界的に見ても人口爆増で貧困層はガチで食うに困ってるぐらいの勢いなんだし、農業や水産なんかで迎え入れれば、肉まん系チルドレン量産できるだろ。
俺なら世界中から女性を招き入れて少子化対策にも一手打つ合わせ技をかますけど、日本にそんなピーキーな政策を実行する肝っ玉はないだろうな。
やっぱりエルフ増やすしか……。
しかしだからと言っても、このまま国に任せていてはいつまで経っても調査中のままになってしまいそうな気もする。
折角だから活用するべきだし、アマテラスの考えは極論だけど、安全な土地に移住するのも一つの手段としてはありだ。
俺がシムシ◯ィばりに建造物をバンバン建てるのも違うし、どうにかいい方法はないものか。
再び赤鳥居を見に行くと、先日とは打って変わって、機動隊と陸自が道を塞いでバリケードを作ってしまっているし、更には謎のデモ団体が発狂している。
こうなってしまうと一般人の利用は不可能であるし、飛行バイクで突っ込むぐらいしか侵入方法は無くなってしまう。
唯一の救いは、飛行バイクが侵入を試みた際はスルーしていることぐらいか。
発泡でもしたらお仕置きしに行ってやったんだが、空中からエルフが警戒しているので、暗黙の了解でもできているのだろうと思う。
そんなわけで、俺もひょっこりしに行きます。
護送車となんかイガイガのすごいやつと虎バーのバリケードをヒョイっと潜り抜けてセンターイン。
「これっていつまでやる感じ?」
「あっ……いえ、一応は自衛官と合同で調査を行なっているので、それが完了次第と言った状態です。上からの指示待ちですね」
「国境警備隊みたいな役回りになりそうだねぇ」
「我々としては安全を承知しているので、早々に開放して開拓を進めて貰いたいものですが、スパイや殺人犯などの凶悪犯罪者の逃亡または潜伏先となっては困りますからね……」
そりゃごもっともな意見です。
出入りの監視はどうしても必要になるし、是非とも注力していただきたい。
「あの、ネモさん」
「はいはい、どしたの?」
「その頭のカメラって撮影してます?」
「え? うん、俺ユーチュバーだし」
「あ、ですよね。もしよければ、先ほどの会話を使うのであれば、変声とモザイクを使っていただけると」
「勿論。君の名誉は守るよ」
それぐらい言わずもがなですよて。
機動隊も警察だけど、タイーホタイーホ騒がなかったら俺は優しいんだってのに。
「国は向こうの世界をどう使うんだろうねぇ」
「調査調査と長引かせてそのまま、なんてことも日本の政治ならありえますね」
「それはもったいない気もするな。しかしアマテラスももっと考えたらいいものを」
「南海トラフ地震は本当にくるのですか?」
「どうだろうねぇ。ガチで調べたらいつ来るかわかるし、なんならプレート弄って無理矢理かます事もできるけど、できれば来て欲しくないよね」
なんて話しながらさりげなく赤鳥居を潜ると、そこは凄まじい光景が広がっていた。
「あー! ネモだぁ! ネモが来たよぉ!!」
「イヤッハァ!! ネモさーん! 飲もう飲もう!!」
多分下見で来てる飛行バイク持ちの連中だろうけど、機動隊と自衛官を巻き込んで宴会してる。
調査どころの話じゃないのは一目瞭然だ。
「こらぁ! もっとアクセル開けたらんかぁい!!」
「もっとエクストリームしろよぉ!」
上空では迷彩服のオッさんがアクロバティック飛行に挑戦してるので、恐らくはコイツらが絡んで、無理矢理バイクに乗せてみたって感じだろう。
「え、お前ら調査しなくていいの?」
「はい。ネモさんの動画で馬しかいないのはわかってますから」
自衛官はビシッと敬礼をするが、まさしくその通りなので何も言い返すことはできん。
「それに上官達がアレですから」
そう言って指を空に向ける。
どうやら人間の限界に挑戦しているイカれた最高な奴らは彼らの上官らしい。
なんか日本の未来は明るい気がしてきた。
「最初はウチらがバーベキューの候補地探しで、あちこち行って写真撮ってきたんだけど、自衛隊の人達がそのデータ買ってくれるっていうから、喜んで売ってみたら、こうなったよね」
なんか髪の毛柔らかそうな金髪の女の子がそんな事を横から言ってくる。
パンツの横から失礼したくなるってまた性欲がオンになってたな。すまん。
可愛い娘さんであるが、飛行バイクに乗ってるってことは俺と会ったことがあるんだろうな。
「それで何故宴会になる」
「臨時収入だし飲もうぜってノリっ!」
キリッと言われてしまった。
顎に親指と人差し指をはめ込んでズビシッてポーズはなんだろう? 流行ってるのかな。
俺ぐらいになるとふかわりょ◯にしか見えない。
「基本、国も飛行バイクに乗ってる若者には寛容にって方針ですから」
「ネモにビビってんだよな! なぁ、小石っ!」
「大石だと何度言えば……」
完全にカオスである。
なんか可愛そうだから、こいつらにもバイクあげようかな。
「小石、お前なんか可哀想だからバイクやるよ」
「本当ですか?! 大石ですけど、小石で構いません!」
「やっぱり若干は突っ込むのね」
「むしろ美味しいとすら思ってますから! ネモさん、逆にネイキッドみたいなデザインってできるんですか? それこそmkⅡみたいな」
「全然できるけど、結果タイヤが無いとダサいって結論になるんだよ」
その後自衛官の大石とあーでもないこーでもないと話し合い、新しい飛行バイクが完成した。
まさか反重力コアを星型スポークで作ってタイヤをそのまま残すなんて無駄しかないデザインをするとは思わなかった。
ずっと浮かしておけるからサイドスタンドなんて必要ないのに、用意させられるしで理解できないことが多すぎた。
「うおー!! かっけぇ!!」
「いいないいな! 俺もタイヤほしい!」
そして何故か絶大なる人気がある。
まったくもって意味がわからん。
タイヤなんて飾りだ。
俺としてはもっとメカメカしく作ってもいいぐらいだと思ってる。
飛行バイクと呼ばれてはいるけど、その実小型航空機である事には間違いないのだから。
「別にタイヤでの走行もできるが、その機体性能でスピードを出し過ぎれば焼け切れるぞ」
「大丈夫です。空しか走りませんから!」
じゃあ、何故タイヤを熱望した!
ダメだ、これ以上絡むと疲れる。
調査は順調って事で一回名古屋に戻ろう。
「あ、ネモさん。なんか中東の王子とやらがカタコトの日本語でネモさんにメッセージ送ってるとかでバズってますよ?」
「えぇ……中東って一神教のとこでしょ? 神を神聖視してるとことはちょっと絡み持ちたくないんだよねぇ」
「それも踏まえた上でって感じでしたけどねぇっと、ほら」
機動隊員がスマホで動画を見せてくると、髭面のイケメンがカタコトで何やらを話している。
音量を上げていくと、核心部分が聞こえてくる。
『アナタハ、トテモ、スグレタ、カガクシャ。ワタシ、アナタノ、バイク、ホシイ。ニホンエン、ハチジュウオク、ハライマス』
「よし、売ろう。速攻売ってくるわ」
むしろ科学者と思ってくれてるとか素晴らしく都合がいい。
預言者制度を導入している一神教は、神界とも関わりがないから実態がよくわかってない。
身内だけでこじんまりとしてるんじゃないかとも言われているが、よくわからないからあまり関わりは持ちたくないのだ。
「よし、今からムービー撮って。メッセージ送るから呟いといてくれる?」
「仰せのままに」
てなわけで中東の王子の国の言葉で住所教えてくれって話と、通話アプリの連絡先を伝えて一路中東に向かっちゃいます。
きっちり生中継したいけど、中東とかダルそうだから後日談になっちゃったら許して欲しい。
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