俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!

慈桜

第15話 確かに先生だよね。



 セックスがしたい。

 唐突で申し訳ないが、俺自身性欲をアクティベートしていないので、迸る衝動に駆られて襲いかかるなんて失敗はありえないのだが、普通にアラレちゃんと1日過ごしてみて、普通にセックスがしたくなった。

 これは知識欲に偏った衝動なのか?
 間違いを起こさない為にも日頃から性欲を遮断しているにも関わらず、普通にセックスがしたいとは何事だろうか? 確かに眼鏡っ娘は性癖どストレートだが……。

 とりあえず俺自身、未だに女の姿のままではあるが、こっそりとアラレちゃんのベッドに侵入してみたいと思う。
 別にやましい気持ちがあるわけではない。ここは試しにと言ったところである。

「んん、んー」

 うむ、爆睡しておりますオーバー。
 本人談ではEカップと言っているが、細身でくびれがすごいので、恐らくGカップと同等の破壊力を持つ、たわわな乳伏山の上にそっと手をおいてみる。

 なるほど、これはもしや股間に逸物があればハレルジャパン。
 凄まじい破壊力、まさに天地開闢のウンタラカンタラ。

 ちょっとハグしてみようかしら。
 首の下に腕を通して、腰を寄せてグイッと。

 ほぇぇ、なんか、やわけぇ。
 異世界の戦闘もこなせる美少女共とはまた違う、ガチの柔らかさ。

「んー、nにしてるんですか……」

 消え入りそうな寝言を残してスーと寝息を立て始めたが、実は起きている可能性も考慮した上で、俺も寝たふりをしながらに、おっぱいを揉みしだいてみたいと思う。
 何もやましい事はない。
 女同士のコミュニケーションである。

「ちょ、ちょー……」

「ふぅうぉりゃああ!!」

「ちゃちゃちゃーい!!」

 もう起きたなってタイミングでテンション上がってチェリオーと揉みしだいてみましたが、すごく楽しかったです、ありがとうございました。

「んー! もうっ! ヤタさんはレズなんですかぁ?」

「いや、実はさ、俺どっちにもなれるんだよね。ほら」

 もう曝け出しちゃいます。
 文字通りになにもかも。
 いらない、なにも、捨ててしまおう。

「えぇぇぇーー!? てかネモ!!」

「はいっ! ネモでーす! んふー」

「ちぇい! ちぇいちぇい!」

「ちょい! 痛い! いた、痛い痛い!」

 性欲を久方ぶりにアクティベートして、時の流れに身を任せるままに、セクロスしてやろうと思ったのだが、普通に息子蹴られました。
 そうですよね、普通になし崩しとかはファールですよね。
 おっぱいが凄すぎて頭がおかしくなってました。
 とりあえず性欲オフにしてカラスちゃんに戻ります。

「ひどいわ、セックスがしたいだけなのに」

「セックスってそんな軽くするもんじないよね?!」

「俺も神様になってからは全然興味なかったんだけどねぇ。けど、何故かアラレちゃんとはしたいんだよなぁ」

「おい口説けコラ! なんだそのお邪魔しますみたいなノリ! 膝持つなボケ! 」

 結果ダメでした。
 何度も話の流れで抱こうとしたんですけど、生殺しの状態のまま断られ続けたので、しばらく住み込みで口説こうとか思っちゃうほど遣る瀬無いです。

 しかしユーチューバーとしては失格かもしれないが、男の子としては優秀だと思っていただきたい。
 俺はなんとしてでもアラレちゃんと合体したいと画策しているのだから。

「そうだアラレちゃん。ディープキスしてみよう。考え方変わるかもしれない」

「やることしか考えてねぇー」

 そう言ってアラレちゃんは陰りのある笑顔のままに風呂場へ行った。
 ここで乱入したい気持ちはグッと抑える。
 寝汗でもかいたのかな?
 今日は小説を書かないのかな?
 アラレちゃんに対しての興味が尽きない自分が逆に面白い。
 何処にでもいる女の子なのに、どうしてこんなにも知りたいと思ってしまうのだろうか。

 これは一応引き出しを漁って花咲か爺さんならぬランジェリーヤタさんになるべきではないだろうか?

 むむむと悩んでいると、タイムアップを報せるかのごとく、シャワーからアラレちゃんが帰還する。

「お昼からバイトだから、ヤタさんはゆっくりしててね。鍵はポストに入れといてくれたらいいし、今日も泊まるなら20時ぐらいには終わるからまた連絡ください。ただし、エッチはなしだからね!」

「わかってますよーん。バイトって何してるの?」

「え? うーん……臨時講師的な? まぁ、つまらない仕事だよ 」

 22歳の女性にこんな言い方は失礼かもしれないが、アラレちゃんは先日のコスプレとは打って変わり、シースルのトップスとフレアスカートの大人びた格好に着替え、申し訳程度に化粧を済ませる。
 10代に見える彼女としては、少し背伸びをしているようにも見えてしまう。

 どうやら準備が整ったようで、革のハンドバッグを手に持ちながらに出掛ける段に入ったので、俺もサクッと準備を済ませて共に家を出る。
 一人で人様の家に居座る気にはなれなかった。

「こんな早くから出て大丈夫だったの?」

「よゆーよゆー。サウナでも行ってリラックスするよ」

 さて、問題はここからである。
 非常にお節介な話かもしれないが、小学生時分から小説の執筆にあけくれ、50を越える作品を完結させ、おそらくはそれ以上に書き出しやプロットのみでストックしている作品も多くあることだろうと思う、知らんけど。

 そんな執筆中毒の彼女は、大学も行かずに都内で一人暮らしの22歳。
 現在発売中のラノベも、こう言ってはなんだが、とても売れてるとは言えない。
 即ち、メインの収入はアルバイトなどが頼りとなっているはずだが、そこで一つ矛盾点が生じる。

 高卒で18歳から一人暮らしをしている彼女が〝臨時講師〟はおかしい。

 可能性があるとするならば、ラノベ作家育成の専門学校などかな? とネット検索をしてみたが、亘 美紅丸の臨時講師、または小説投稿サイトが運営する放送局などの出演も情報は見当たらなかった。 

「じゃあ、またね」

「はいっ! またね!」

 新小岩の駅で、手を振ってアラレちゃんを見送った後に、早速切符を購入して改札をくぐります。
 お手洗いに直行し、お手洗いで自身の年齢を小学校低学年まで落とし幼女化を行って飛び出る。
 子供用の服はないのでダサいジーパンに黒Tだが許せ俺。
 忙しなく行き交う人々を目隠しに、アラレちゃんの気配を辿ってイッツアストーキングワールドである。

 世界中誰だって、やましいことの一つや二つ、隣の車両、ビルの間に間に、小さなぁ変態ぃー。にやり。

 と、アラレちゃんのストーキング行為を成功させる為に幼女化したのに、目の前の太ったおっちゃんがフスーフスーと発情しています。
 いや、幼女化したから危機察知が鋭敏に働いているだけで、このおっちゃんは暑さにやられてるのかもしれないな。

 クーラーが効いてるのに汗がダラダラで呼吸も荒い、更にはビジネスバッグにはハートと十字の病院的なマーク?

 何処か体でも悪いのかな?

 座席から降りて、オッさんを見上げながらスラックスをくいくいとすると、顔をくしゃくしゃとして本当に泣きだしそうな表情のままにゆっくりペコペコと会釈をして座席に座る。

 しかしこの位置からだとアラレちゃんが見えないので、致し方なしにオッさんの検診をしてみよう。

 膝に手を当てて、体の異常箇所を調べると、まず目につくのは心臓だ。
 心臓が肥大化しすぎてる。
 このままだと心筋症を起こしてぽっくり行ってもおかしくないので要治療。

 てか全体的に悪いな。
 喉もおかしいし、内蔵脂肪が多すぎて無駄にエネルギーを必要としてる。
 このまま心臓を治しても、また数年後には同じ状況になるだろう。

 頭も蓄膿を長年放置して骨が溶けて脳に達するすれすれだ。
 それも並行して歯周病も悪化してるし、歯周病から体内に菌が入って合併症を起こしてる。
 それらをごまかす為に飲んでる鎮痛剤がアレルギーを起こして全身に湿疹があるし、ついでに水虫だ。

 よろしい、ならば戦争だ。

 まずは中身から、治していこう。
 血管も詰まりかけてるから、全て綺麗にしておく。
 おそらく30代であろうが、既に60代の中身となってしまっているので、全て10代の無敵のエンジンに変えてしまう。
 そして諸悪の根源である肥満退治として脂肪を分離させてぶっこぬきたいのだが、捨てる場所がないので凝結させて亜空間に捨てる。
 別にそのままでもいいけど、後で簡単に捨てれるように固体にしておくのだ。

 脂肪をぶっこぬくと同時に肌年齢も若返らせるから皮がだるんだるんに余ったりとかの心配はいらん。
 粗方治癒が終わると、早速オッさんの膝によじ登る。

 隣のおばあちゃんと叔父さんが少し驚いていたけど、基本無関心の東京人として驚いたのは、幼女の俺がオッさんに懐いてしまったからだけかもしれんな。
 デブのオッさんに関しては誰も何も気付いてない。
 痩せたことすら気付けてないのだ。

 悲しい街だなと思ったりもするが、俺はアラレちゃんのストーキングをしなければならないので、好都合。

「え? え? 」

「顔だけそのままだけど、中身と体は全部10代後半ぐらいにしといたよ。もう辛くないでしょ?」

「あ、えと、でも……うん、ありがとう、本当に、ありがとう」

「どうでもいいから膝かしといてよ」

 まぁ、実際年内生きれるかって感じの壊れ方してたしね。
 めちゃくちゃ辛かったと思うよ。
 助けてカードが貰えてるぐらいには死にかけてたし、人助けもできたしで万事恙無しだね。

「俺の事は内緒だよ。良かったらチャンネル登録してね」

 スマホで俺のちゃんねるを見せてコソッと呟くと、元デブのおっさんは小さく「あっ」と呟いた。
 遂に奈良の妖精が見つかって、ネモ報道は連日勢いを増してるから、直ぐに気がついたのだろう。

 オッさんはスマホのメモ帳を開いて、言葉に出さないようにタイピングをしていく。

『和歌山で外国人女性が事情聴取を受けてるって昨日ニュースでやってたけど』

『多分普通の観光客。正直申し訳ない』

『黒髪幼女てw』

『おい! 命の恩人に草生やすな』

 側から見たら仲のいい親子にでも見えるかもしれんな。
 しばらくメモ帳での会話を続けていたが、面倒になったのでラインのIDを教えておいた。
 アラレちゃんが動いたので、俺もさっさと電車を降りねばならん。

「またなヨシオ! 」

「おう、またな」

 今度是非とも御礼をさせて欲しいとの事なので、スタメシでも奢らせてやろうと思う。

 それからは単独でアラレちゃんを追いかけて行くと、どうやら彼女の向かう先は新宿であったようである。
 乗り越し精算を行って、急ぎ早に追いかけると、アラレちゃんは歌舞伎町の雑居ビルの中へと入っていく。

 看板も表札もない怪しい建物である。

 周りは風俗案内のお店などが並んでおり、正直真昼間に幼女が単独で行動するのは浮きすぎる場所である。

 牛タンでも食おかな?
 いかんいかん、現実逃避するな。
 アラレちゃんの行方を探すのが先決だ。

 ビルのエレベーターは4階で止まったので、階段から登って確認してみると、そこは鉄扉がしまっているテナントが一つあるだけである。

 暫く身を隠していると、エレベーターが1階に降り、再び4階にまで上がって来ては、女の子がエレベーターから出てきたので、カラスちゃんの姿になってその子を捕まえる。

「ちょっと聞いてもいい?」

「うお外人」

「そう、クソ外人よ。ここは何をするところ?」

 店舗の鉄扉に指をさして問うと、目の前のギャルは首を傾げながらに「待合室、ですけど?」と答える。

「なんの待合室なの?」

「デリですけど?」

「そうよね。お店の名前教えてくれない? さっきすごくタイプの女の子がいて、気になってたの」

「あー、ステファニーとかのお姉さん? でもあの子フィリピン人だしお姉さんどう見ても白人?」

「いやいや、本当に一目惚れしちゃった子がいたの。私レズなんだけど、もしお店に聞いて、レズでもいいなら呼びたいと思ったのよ」

 我ながら破茶滅茶な設定だが、なんとかギャルを説得して、お店の名前を聞き出すことに成功した。

『イチャラブ学園新人教師』

 まるでエロ本のタイトルである。
 おそらく紛うことなき風俗店だろう。
 臨時講師ではなく正規の教師だったとは驚きである。

 さて、衝撃の事実が発覚してしまったが、俺の嫌な予感は間違っていなかったと誠に不本意ながらに証明する形となってしまった。

 俺がアラレちゃんに抱くは知識欲であり、恋愛感情ではないが、これから見ず知らずのおっさんの下半身のケアをすると考えると嫌な気持ちになるので、早速彼女を長時間で指名したいと思う。

 ネットサイトを見る感じ、顔にモザイクはかかっているが、ミクちゃんが雰囲気としてアラレちゃんにバッチリ当たっているので、この子で間違いないだろう。

 レイヤーに風俗嬢が多いなんて都市伝説だと思っていたが、あんなエロいアラレちゃんになれるのだから、おかしくもないか……。

 お金を払ってことを致そうとは思わない。
 少なくとも、ここで出会ったのも旅の縁、せめて今日だけでも楽をして貰おう。

 彼女の時間をギリギリまで買い取らせてもらいたい。
 ゲーム機でも買ってこようか、折角練習したんだしギターを買って弾き語りを見せてあげてもいいな……。



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