俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!

慈桜

第14話 やっぱりメインはガンダ◯だよね。



 まずは岡本少年に、人目のつかない広い場所はないかと問いかけると、実家が昔に町工場をやっていて、今は大きな工場に移転したので、物置小屋になってる倉庫があるとのこと。

 実家とか親フラだるいとか思ったけど、なんたる御都合主義で倉庫があると言うのだから使わせてもらわないわけにはいかない。

「っておい。クソ狭いじゃねぇか」

「ご、ごめんなさい」

 辿り着いてみると、外観は町工場であるが、中は鉄のラックが所狭しと並び、よくもわからんゴミのような工業用製品がパンパンに敷き詰められている。

 空きスペースは辛うじて空いている車一台分だけのスペースだけである。

「なんだよこれ、捨てろよ」

「あーあー!! だめだよぉ! ガラクタに見えても代々やってきたウチの仕事なんだからぁ 」

 聞けば岡本の実家は、ガスや水道の細々とした配管の部品をメインに、細々とした金属部品を多岐に渡って手掛けているらしい。
 それで、この倉庫に堆く積まれたゴミの山々は、もう生産していない古い商品などのストックであり、お客さんから修理などを頼まれた時に対応出来るようにしてるのだとかなんとか。

「なんだ。お前ボンボンなのか」

「多分……貧乏ではないと思う」

 けっ、これだからボンボンは。
 なんか腑抜けた鼻クソだと思ったらやっぱりボンボンか。
 車の免許取ったらお祝いにベン○買ってもらえたりするボンボンめ。
 俺は前世で頑張って頑張って貯めた15万円で買った軽四で、楽しくなって山道走ってる途中にエンジンがポンっとご臨終して、真っ暗な林道でハザードランプを眺めながらにひたすら号泣したことがある。
 ボンボンはそんな苦労なんてしたことねぇだろうよマザファカ!

「そうでございましたか。坊ちゃんはサノバビッチであらせられるのですね」

「ええええ、どう言う意味合い? 売春婦の息子ではないよ?!」

 まぁ、いい。
 こいつはボンボンで何もかも欲せば手に入る舐めた環境で育ってきたせいで「実家に外人女連れ込んじゃった!あわよくばセクロス!海綿体がマクロス! 」なんて思ってるかもしれんが、そんな発情は一切無視して作業開始だ。

 てか間違ってないよな?

 中学生と言えど普通に街を歩いている外国の女性に、おちんこ!おちんこ!おまんこ!おまんこ!って頭おかしいにもほどがある。
 飲み会で下品なコール連発して内定取り消しになるような勢いだ。
 酒一切関係ないやん。的な。

 閑話休題よく逸れてすまん

 まず俺が用意するのは、俺の世界がまだ俺のモノではなかった時に、古代文明の遺跡が迷宮化し、独自の進化を遂げたカオスダンジョンにて無限に討伐した魔導ゴーレムだ。

 マギサイエンスとスチームパンクを融合したフィールドで、鳥山メカ的な凶悪な魔導ゴーレムが徘徊する強烈な迷宮ではあったけど、俺の中では鉱物資源の宝庫って感じだった。
 テンション上がりすぎてしばらくこもりまくったのは言うまでもない。
 亜空間に魔導ゴーレムの残骸コレクションを作ったりしてたのもいい思い出。

 今回はその残骸を有効利用したいと思う。

 一応はポリシーとして、亜空間、時空庫、宝物庫、異次元収納の中身は極力使わない方針ではあったけど、面倒くさいから使わせてもらいますオーバー。

「それ何処からだしたんですか?」

「まぁまぁ、細かいことは気にすんな」

「え? それなんですか? 生きてません? ピクピクしてますよ」

「あはは! 君は何をいってるのかな」

 取り出したのはポット型の魔導ゴーレムと迷宮中盤で襲いかかってくる空飛ぶ円盤だ。

 レーザーを撃つだけのゴミ箱と、反重力コアと幽玄転換炉ファントムリアクターにより、自由自在の空中行動が可能になっている円盤を使って、何を造るのか? 

 単純明快、空飛ぶ原チャリである。

 ポット君はただの鉄くず扱いであるが、円盤を再構築する際に人間の搭乗スペースを作り、アクセルの開け閉めだけでバイクのように空を走ることができる飛行ユニットをサクッと造る。

 なんでだろう、ジオ○グみたいになった。

 タイヤなんて飾りですよね、わかります。脚? 脚の話はしてない。

「え、え?! お姉さんなにしてるの?」

 目の前で金属がバラバラになって再構築されていく様を目の当たりにして鼻クソのボンボンは大層驚いているが、そんな事はしらん。
 俺はただただ、空飛ぶ鼻クソの撮影をしたいだけだ。
 車庫からジオン○を出して準備万端。

「よし鼻クソ、これ頭につけろ」

「鼻クソ?!」

 鼻クソの頭に本日購入したカメラをとりつけ、俺の相方である4kハンディ君で録画開始。

「よーし、鼻クソ、とりあえずまたがれ」

「いや、この際、鼻クソはいいけど……」

 しぶしぶと○オングに跨ると、撮影しながらに操作手順を教えていく。

「まず画面の横にスティックキーがあるだろ? それを差し込め」

「これですね」

 鍵を差し込み、SDカードを差し込んだ時のように、カチャっと入り込むと液晶画面が青白く光る。
 これがエンジン起動状態と同義だ。
 画面にはYou have control.と表示される。

「この状態でユーハブと答えると、自動運転に切り替わる。だが、行き先を設定していないので運転されない。まずはアイハブと答えろ」

「えと、アイハブ」

 これでマニュアル操作に切り替わる。

「いいか。まず、お前の股の間にあるレバーがあるだろ? それは反重力コアの高度制御だ。重たいがゆっくり引いてみろ」

 言われた通りに鼻クソがレバーを引くと、ゆっくりと浮上し、俺の目線と鼻クソの目線の高さが同じになる。

「あとはバイクと同じだ。ブレーキを握りながら、ゆっくりとアクセルを開けてみろ」

 鼻クソはとても慎重な性格のようで、バイク初心者あるあるのバク転ウィリーを起こさずにノロノロと亀のように進む。

「よし、完璧だ。じゃあ、電線より高く飛んで、空をグルッと回ってこい」

「えっ……」

「あ゛?」

「い、逝ってまいります」

 何故か涙目で敬礼されたが、お国の為に逝ってこいとは言ってない。
 こんなもんは慣れである。
 一度乗り方を覚えてしまえば、後は簡単だ。
 反重力の特殊な力場が発生するから落ちないしな。

「私は一体何をみているんでしょうか……」

 今回の動画は俺の姿は映さない。
 女に変身している説を濃厚にして、捜査を和歌山に集中させる為に、声だけは動画にいれておくのだ。
 鼻クソに捜査の手が伸びるかもしれないが、違う特徴を言うようにキツく言い聞かせておこう。

「いぃぃやっふぉおおおおい!!」

 もう慣れてかっ飛ばしている。
 さっきまでプルプル震えてたのはなんだったのだろうか。

「お姉さん! これ、さいっこうっすよ! さいエンドこうっす!」

「そうか。なら良かった。じゃあカメラ返せ。んで、街まで飛んで警察に追われてこい。もし捕まったら、俺の事は……そうだな。背が小さくて金髪の可愛い女の子だったと証言しろ」

「え、え? いや、捕まりたくないんですけど」

「心配いらん。逃げ切ればいいだけだ。後3台用意してやるから友達と暴走族ごっこでもしてろ」

 有無も言わせない。
 鼻クソは半泣きになりながら市街地の空で爆走し、大量のパトカーに白バイ、果てはヘリコプターまで出動する大騒ぎを起こしてくれたので、俺はその間に新幹線で東京を目指す。

 あばよ、鼻くそ。よく頑張った。

 新幹線っていいよなぁ。人間の叡智の一つだと思う。
 いつか空飛ぶ新幹線とかも作ってやろうかな? きっと楽しいはず。

 西日本は暫く警戒が厳しくなるだろうから、東京で身を潜めよう。
 目指すはお台場だ。
 やはりガンダ○をこの目に焼き付けておかなければ死ぬに死ねん。

 っと思っていたが、新幹線にガタンゴトンと揺られ、タクシーに飛び込んでお台場に到着したのはいいが、ガンダ○の姿は何処にもなかった。

 俺がネットで見た情報は古かったらしい。

 心の底からリアルガンダ○を楽しみにしていたのに、普通に泣きそうである。

「大丈夫ですか?」

 まさしくorzの状態で落ち込んでいると、眼鏡をかけたアラレちゃんのような女の子が、いや、まさしくエロくデフォルメしたアラレコスプレのメスが優しく声をかけてくれた。
 その背中に触れるか触れないぐらいのピトッとしたソフトタッチが萌える。

「ええ、大丈夫です。ガンダ○が見たかっただけなんで」

「そうか。撤去されちゃいましたもんね。今はユニコーンガンダ○でしたっけ」

「え、そうなんですか?」

「あれ? みませんでした?」

 どうやら俺は何を勘違いしたのか、そのままビックサイ○の方にガンダ○を探してテクテクと歩いて来てしまっていたらしい。
 フジテレ◯経由でバーミヤ○のとこからテクテクと言えばわかりやすいだろうか。

「じゃあ、私が連れてってあげます!」

 このアラレちゃんは案内を買って出てくれた。
 こんな優しいアラレちゃん見た事ない。

「今日はレイヤーの撮影会だったんですよー」

「あ、コミケとかですか?」

「いえいえ、普通の撮影会です。交流を深めよーみたいな。みんな露出高めですけどね」

 あぁ、通りで。
 このアラレちゃん、普通に全体的にアラレちゃんだけど、何故かオーバーオールの中身チューブトップなんですよね。
 脇腹とかエロいなぁって思いながらも、真面目そうな雰囲気もあるのでジロジロみないようにはしてたんだけども、エロコス博覧会みたいな事をしていたのだろうか。
 それなら是非見学させていただきたい。

「お姉さんはガンダ○が好きなんですか?」

「まぁ、普通ですね。一応アニメは鉄血までは全て目を通してますし、若い頃は百式の改造で小さな賞をいただいたこともあります。若い時分は大金持ちになったらオーストラリ○に穴を開けたいと割と本気で思ったりしていました」

「あ、結構ガチですね」

「いえ、その方が世界地図が美しく感じてしまうだけなんですけどね」

 公園の中をしばらく歩き続けていると、ようやっとこの世界に存在しえない至高の存在が俺の視界に捉えられる。

「やれるな……ユニコー○!」

「はぁ、はぁ、はやいですよぉ」

 俺の全力疾走を追いかけてきたアラレちゃんは膝に手をつきながらに肩で息をしている。
 こんな体力のないアラレちゃんも初めてみるな。

「お姉さん、すごく嬉しそうですねっ。良かった」

「うん。まぁ、何故か俺はダブルオ○の方が好きなんだけどね」

 しかし等身大ガンダ○を見れたのはいいものである。
 アラレちゃんに写真を撮ってもらって、グルリと一周動画を撮ってから、キャッキャウフフとはしゃいでいるとあっと言う間に時間が過ぎてしまった。

 ライトアップされると、格好良さ倍増である。

 更にそこからライトアップ撮影会と、キャッキャウフフとはしゃいでいると、さすがにお互い疲れ果てたなと、ファミレスで反省会をすることになる。

「アラレちゃん、良かったの? こんな遅くまで付き合ってくれて」

「いえいえ、お姉さんの喜ぶ顔が見れて良かったです」

 ここで名前を聞きたいけど、アラレちゃんに成りすましてるのに名前を聞くのは無礼か、ここは今更ながらに自己紹介だけはしておこう。

「じゃあ改めまして今日はありがとう。俺はレイヴン・シモーネ。日本語でのカラスが気に入ってるからカラスちゃんって呼んでもらっていいよ」

「あ、はい! 私は渡 霰わたり あられです! 」

 こいつ……。

 いや、逆にここまで来ると面白い、本当かわいらしくてよって感じ。

 俺は真っ黒な格好であちこち渡り歩くから渡鴉ワタリガラスの意味を込めてレイヴン、そしてネモと性別を逆転って感じでモネにして、下が無くなって物足りない的な下ネタを合わせてシモーネにした。
 そしたらこの子ったら渡さんでアラレさんってとってつけたような名前にしやがって。

 いや、勘ぐるのはよくないな。
 ジジイの一件があったから普通に神がその辺にいるってのはわかったけど、アレは霊験灼かな琵琶湖であり、神そこに座しておらずとも神気溢れる土地だった。奈良もエグかったしな。
 けど、ここは埋め立て地だし、神の気配ナッシングフォー・ユーである。
 たまたま偽名くさいだけで、アラレちゃんが嘘ついてるってことは……ないよね?

「じゃあカラスちゃんっ! カラスちゃんは観光で来たんですか?」

「そう。日本一周の旅ってところだね」

「へぇ、楽しそうだなぁ。そうだ、宿はとってるんですか?」

「いんや、まだ決めてないよ。これから適当に探す」

「じゃあウチにきてください! 狭いけどお布団ありますよ!」

 中華ファミレスで駄弁りまくった後は、アラレちゃんのお家にお邪魔させてもらう事になった。
 罠やも知れんが甘んじて受けよう。
 タクシーに長らく揺られながらに辿り着いたのは新小岩のアパート? ワンルームマンションです。

 いやはや、中々マニアックな所に住んでいらっしゃるのですねアラレちゃん。

「おいおい、これすごいな」

「え? どうしたんですか?」

「いや、なんでもない」

 ガチャンと扉を開けた先には、別世界が広がっていた。
 透視で見てまさかとは思ってたけど、この目で見るとまじですごい。
 いや、普通に広めのワンルームなんだけど、想像していたピンクピンクぬいぐるみふっこふこな女の子のお部屋ではないのはいい。
 それを差し引いても、この部屋はすごい。

 壁一面薄めのショーケースになっており、見た事のない美男子美少女キャラのフィギュアや、知らない車、知らないロボなどがタイトル別に所狭しと並んでいるのだ。
 俺ほどのアニオタでも知らないアニメやロボなどこの世に存在するのだろうか? 自作……にしても、ここまで精巧なフィギュアが自作できるのか?
 俺はネットで十円とかで個人販売しているラノベですら網羅しているんだぞ! 知らぬはずがない!! しかし知らない……なぜだ? ここは異世界か?

「えへへ、それ全部マイキャラなんです。私ラノベ作家で、フィギュア造りとかも好きだから、作品を書いたら造ったりしてて……作家としては鳴かず飛ばずなんですけどね」

「え、でもアラレちゃん若いよね? これ少なくとも50作品以上あるってことにならない?」

「小学生の頃から書いてますから。この子達は私のせいで世に出れなかった子達なんです。これ以上檻に閉じ込めないように頑張ろうって戒めもこめて飾ってると言うか……えへへ」

「へぇ。ラノベとかも結構っていうか病的に読んでるからアラレちゃんの作品知ってたりするかもなぁ」

「本当ですかぁ? 代表作はi'll be thereってお話で、最近のなら「えええ!?【 幾何学模様のタイムパラドックス】ですよね?! え?! アラレちゃんが亘 美紅丸あたり みくまる?!俺、普っっ通に大ファンなんですけど!!」」

「ふぇ? うそぉ。全然売れてないのに」

 おっと、なにこれ奇跡か? 
 確かに売れてない作家さんだけど、とにかく世界観の描き方が綺麗で有名になった作家さんだよ、この人。
 元々は出版社の投稿大会で【i'll be there】ってヒューマノイドが徐々に感情を持って行って、紆余曲折あってからのサイバーパンク世界でのややこしいバトルの後に、機械が機械として生きるか、新たな人種として生きるかの決断を博士とシンギュラリティAIの双方から迫られて、i'll be there、今行きますと答えて終わる。

 結果主人公のアイリスは何方を選んだかわからないっていうお洒落な終わり方で、小学生が書いたとは思えないなんて話題になったんだよ。
 当時をリアルタイムでは知らないよ? だけど、俺クラス神界でその辺の事情通になっちゃうぐらいにはネット小僧だったからね。
【i'll be there】を読んで、この作者の他の作品を探しても見つからなかったんだけど、しばらくすると小説投稿サイトでまたもや話題になって、再び書籍化。

 それが【幾何学模様のタイムパラドックス】って作品で、内容としてはベタベタなパラレルワールド系だけど、主人公の女の子のお父さんが天才発明家で、タイムリープマシンを開発して死んじゃって、お父さんに会いたい一心で過去に行ったり、同級生に着替えを見られた恥ずかしさで無かった事にしたりと、割とふざけた理由でタイムリープを繰り返したせいで生まれた時間軸の矛盾とパラレルワールドを原点回帰させる為に、同じ日同じ時間に戻りながらルートを確立して、全ての世界での一つの事象として、好きな男の子を攻略して、同じ日同じ時間にキスをしようと頑張る恋愛ゲーム的なお話なんだけど、主人公がゲスくて逞しいのが面白い作品だ。
 特にローキックでこかして無理やりキスをする話で不覚にも笑ったのは記憶に新しい。

「【小説家になりたい】で投稿してた時、よくヤタガラスって名前で感想送ってたりしてたんだけどわからないかな?」

「えっー!! ヤタさんなんですか? 999歳男性の!? うそ、そんな事ってあります?!」

「うわー、夢みたいだ。アラレちゃんはもしや神なんじゃって勘ぐってたけど、ある意味50以上も世界を創造してたんだから、そりゃ神だよね」

 それから盛り上がってコンビニでビール買って、朝までキカパラ談義に花を咲かせた。
 俺としては本当に有意義で最高の時間となったのは言うまでもない。


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コメント

  • ノベルバユーザー229059

    尊敬してる人に会えるの嬉しいよね

    あった事ないけど

    1
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