俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!

慈桜

第9話 金策するならピンポンだよね。



 飛び入りでビジネスホテルに泊まり、酔った勢いのまま爆睡。
 起きて速攻状態異常無効オンにして、水シャワーで体を冷やしまくる。
 クーラーもつけずに爆睡していたようで汗だくである。

 早速先日アップした兎我野町レッドブル動画の再生数をチェック。

「うひょー! 増えてるけど、思ったより伸びてない!」

 再生回数:826回。はい、どん。

 よくできたCGですねってコメントいただきました、ありがとうございました。

 結構決死の覚悟での投下だったけど、最近話題になってるから、CGとかに強い外人が頑張りましたって感じに処理されたのかもしれない。
 てか、それが普通の反応だよな。

 少し拍子抜けだったけど、再生数は確実に伸びてきてるから、頑張っていきたいと思う。

 そして大至急金策をしなければならない。
 もう残りは五千円しかないので、どうにか生活費、否! 戦闘資金を貯めこまなければならない。
 ここでマッコを倒さずに帰るのは、俺としては敗北を認めたと同義。
 なんとかやっつけてやらねば次に進めない。

 てな訳で、今回も金策はアンチエイジングとシェイプアップです。
 世の中はライザッ○に何十万円も支払って、鬼部活並みのトレーニングを強要されたい人達が多いみたいだし、速攻痩せれまっせってなれば、それなりに金出してくれるだろうと思う。

 けど、施術を行うまでのアポイントメントと、施術の了承を得るクロージングまで考えると結構大変なんだよな。
 扱う商材が商材なだけに、新手の詐欺だと思われてしまうのは間違いないわけだし。

 それでも諦めないのが俺のしつこさです。
 手っ取り早く、病院とかいって重病の人を完治させたりしてぼったくるのもアリかもしれないけど、それをすると警察直行コースが免れないんで、街から離れて住宅街にきたでやんす。

 今からするのは普通の営業マン的な業務内容です。
 ただひたすらピンポンして、喋りたおすだけ。

 ピンポーンして。

『はい。どちら様ですか?』

 インターフォン越しに声が聞こえたら、カメラに向かって小さく会釈。

「突然申し訳ありません。私は観光で日本にきているネモと申します! 実はこの近辺の八巻酒造さんの見学に行きたいのですが、道に迷ってしまいまして、ご迷惑であるのは重々承知しているのですが、呼び鈴を押してしまった次第なんです……」

『あら、大変ですね。少々お待ちくださいね』

 おぉ、外に出させる事に成功した。
 昔すぐやめちゃったけど、リフォームの訪問を一ヶ月やった時は中々会えなかったけど、やっぱイケメンだと話が早いな。外人顔万歳だわ。

「お待たせしました。八巻酒造さん、近くなんやけど、ちょっとわかりづらいんよねぇ」

 育ちが良さそうなババアが出てきました。さて、どうやって財布の紐を引きちぎってやるべきか。
 カレンダーを切ったメモ帳に簡単な地図を描いてくれながらに丁寧に説明してくれるが、話半分にしか聞いてません。
 だってスマホで調べてから来てるし、ナビで行けるしね。行くつもりもないけど。

「朝早くに本当にごめんなさい。ご親切にありがとうございます」

「えらい日本語上手に話しはるなぁ。お国は何処やの?」

「うーん、それが難しいんですよね。国籍ならフランスなんですが、父の仕事の関係で小さい頃から世界各国を飛び回っていて、日本には小さい頃に3年ほど住んでいたので、その時に言葉を覚えたんです。それで大人になってから勉強し直したので、比較的話せるんです」

 勿論全部嘘やけどな! でもフランス人で世界各国飛び回ってるとか聞いたら、無条件にいいところの坊ちゃんって感じがするでしょ?

「それならフランス語で話した方がいい? 」

「すごく流暢なフランス語ですね。驚きました」

「私も若い頃に留学していたの。日本風に言えば昔取った杵柄って言うのかしらね。しばらく使ってなかったけど、おばあちゃんになっても忘れないもんね」

「すごい。しかも綺麗ですね。もしかしたら僕より上手かもしれない」

「謙遜しすぎるのは嫌味に聞こえちゃうわよ。八巻酒造の場所わかる? もしよかったら案内してあげようか?」

 あぶねぇ!! このババアいきなりフランス語で話しはじめやがった。
 やっぱ京都はお嬢様が多いのかな? おばあちゃんがこんなスペック見せつけてくるとか予想だにしてなかったし。
 神じゃなかったら詐欺師って2秒でばれてたな。
 いや、実際若返らせれるんだから詐欺師ではないんだけどね。

 てかめんどいな、このババアってばフランス語使いたくてたまらんモードに入ってる感じがする。
 ちょっと性急だけど、本題にはいっちゃお。

「奥さん。実はね、僕は神様から不思議な力を授けられちゃってるビックリ人間なんです」

「あら、最近はやりのジョーク? どんな力が使えるの?」

「いや、本当にふざけた話に聞こえるかもしれませんが、人の怪我を治したり、若返らせたりすることができるんです。でも、こんな力を公の場で使ったら大事件になりそうだから、旅をしながら親切にしてくれた人に、多少の謝礼を貰って施術をしたりしてるんですけど、試してみませんか? 一年若返らせるのに1万円でやらせて貰ってるんですけど」

 うわぁ、顔面ひきつってるぅ……。
 そりゃドン引きになるのも仕方ないよな。こんなの誰が言っても怪しいし怖い。

「そんなんは、間に合うてます」

「じゃあ、これでも信用できませんか?」

 もうめんどいから、とりあえず40歳若返らせてみると、みるみる内に63歳のおばちゃんが、キリッとしたオリエンタルビューティになる。
 ババアも流石に自分の違和感に気がついたのか、家の中に飛びこんで発狂しては速攻で舞い戻ってくる。

「あなたは神様なの?」

「まぁ、そんな感じです」

「まぁ、どうしましょう。これ、元に戻せるの?」

「勿論戻せますよ」

 ババアはおろおろうろうろと彷徨いながらに、どうしたものかとなんらかの思案を巡らしている。
 聞けば旦那さんも定年退職しており、現在年金生活の真っ只中らしく、若返りたいけど、若返りをすると不正受給になってしまうのではないかと悩んでいるらしい。
 確かにそれはよろしくないですねと、とりあえずババアの年齢を元に戻してみると、ババアは更に頭を抱えはじめる。

 年金か……こんな問題があるなら30代から40代ぐらいが狙い目かな。
 やっぱエイジングよりシェイプアップの方が金になりそうだなぁ。

「ネモさん、ちょっとお上りになって」

「あ、はい、ではお邪魔します」

 なんか軒先ではアレだからと家に招かれて、お菓子とコーヒーを出して貰えました。
 隣の部屋では旦那さんと奥さんの家族会議が開かれています。

『のんびり年金暮らしでいいじゃないか。今更また一から仕事なんてしたくないよ』

『でも、長生きできるに越したことはないじゃない』

『それは自然の摂理に反するだろう。年寄りはさっさと死んだ方が子供達も安心できるはずだよ』

『でも……こんなチャンス二度とないわ』

 すごく生々しい。
 実際に俺も長生きしてると、不思議と死に対する恐怖感は薄れた感覚はあった。
 死と無縁な存在になってしまった後も、友人知人が延命を拒否して天に召されたりして、それが酷く心をえぐられる時代時代の節目でもあった。

 若返って長生きして、面白おかしく人生楽しめばいいって簡単に思うけど、実際そうじゃないんだよな。
 人は自分の死に方にも拘りを持ってたりもするから厄介である。

「お待たせしました」

「はい。じゃあ、双方40歳ですね。旦那さんが26年、奥さんが23年なので、49万円になります」

 流石にこんな大金だとATMコースだろうとおもったけど、普通にタンス預金できっちり用意してくれたので、速攻で二人を40歳にしてあげた。

 結果としてはちょっと若く見える老夫婦ラインをギリギリに攻める作戦らしい。
 年金の受給も視野に入れてるみたいなので、国に悪いことをしてしまった気もするけど、西成のゴブリンの利益でなんとか目を瞑って貰おう。

「ところで旦那さん、奥さん。他にも若返りたいって人とかいたら紹介してもらえません? 目立ちたくないんですけど、稼ぎたくもあるんです」

「それなら息子達に聞いてみよう」

「じゃあ私は隣の奥さんに聞いてみますね」

 これが原因でめちゃくちゃ忙しくなるなんて、この時は思ってもなかった。

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コメント

  • ノベルバユーザー229059

    部活から帰ってきたら10話まであるんやけど作者頑張りすぎじゃね?w

    1
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