錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

明かされる真実

 それから、聖治はビジネスホテルのフロント前にある椅子に座り込んでいた。

 両手を合わせ、手の平の間にある闇を静かに見つめている。

 安神やすかみ姉妹は部屋を借りるための手続きを行っており、香織かおりさんは手洗い場に行っておりここにはいなかった。

 あれから、聖治たちはその場を動けずにいた。だが、時間の経過と共にこれからのことを考え出し、その結果、とりあえず今日は泊まろうと手近なビジネスホテルを訪れていた。

 金銭的なことはそれぞれがクレジットカードを持っているので多少のことなら都合が付いた。

 聖治も親から一人暮らしのためにともらった覚えのあるカードがある。

 おそらくは魔卿まきょう騎士団が用意したものだろう。これがあればとりあえずの衣食住は凌げそうだ。

 だが、どれだけ金銭の都合がついても、失った命は戻ってこない。

「あの、聖治さん……」

 近寄ってきたのは日向ひなただった。聖治の前に立ち心配そうに顔を覗き込んでくる。白い髪も悲しそうに垂れていた。

「大丈夫ですか? あの、聖治さんの部屋が取れましたけど……」

 聖治は顔を上げると日向ひなたはクリスタル状のナンバーがついた鍵を持っていた。聖治は受け取ると立ち上がる。そして日向ひなたの横を通り過ぎていく。

「あの」

「……一人にしてくれ」

「でも!」

 聖治は歩いていくが日向ひなたは大声で呼び止める。それで聖治の足も止まった。

「心配なんです! 聖治さんのこと。気持ちは分かります。でも!」

「悪いけど」

 日向ひなたの心配の声が聞こえる。優しい少女がかけてくれる言葉だが、けれど今の聖治にそれを受け取る余裕はなかった。

「今は、一人にしてくれ」

 それだけを言い残し、聖治は一人エレベーターへと乗り込んだ。

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コメント

  • 奏せいや

    >Qualへ
    ご指摘ありがとうございます。早速修正作業に入っていきます。また他作品でのコメントもありがとうござます! とてもうれしく元気をもらいました。これからも面白いと言ってもらえるような作品作りを頑張っていきます。コメントありがとうございました。

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  • Qual

    エスカレーター?エレベーターじゃなく?あとカッコによるルビのせいで読みづらいです。内容は面白いのでそこ直して頂ければ幸いです(*^^*)

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