錬成七剣神(セブンスソード)
捜索4
「俺だけじゃなく、他の皆も真剣に探していると思うが」
「ううん、君は特別なの。聖治君が魔堂魔来名を探すことに、意味があるんだよ」
「え?」
香織さんは聖治ではなく、どこか遠くを見つめるような目で道の先を見ていた。もしくは、ここにはいない誰かを思って。
「早く、君と魔来名が出会って欲しいな……」
そう言う香織さんは静かに笑っていた。待ち望む未来が楽しみで、それでいて嬉しそうな。それは自分の幸せを願う顔というより、誰かの幸せを願っているような表情に見えた。
「……香織さん」
その顔が気になって、聖治は聞いてみた。
「その魔堂魔来名って、どんな人です? もしかして、俺と何か関係があるとか?」
最初は香織さんの知り合いだと思い躊躇ったが、自分にも関係があるなら躊躇ってもいられない。聖治は魔堂魔来名という男に興味を持って香織さんに聞いてみた。
すると香織さんは聖治に向き直り、ニコっと笑った。
「『会ったら、きっと分かるよ』」
「…………」
(そんな風に言われたら、追及出来ないな……)
そして聖治たちは昼食を挟みながら魔堂魔来名探しに奔走したが、結局見つけることは出来なかった。
そのまま時間は過ぎて一九時になったため水門駅にまで戻ることにした。
空は薄暗く、外灯の光が等間隔を置いて淡く灯っている。しかし地上の景観は昼とはあまり変わりなく人気は多い。
その中に見知った四人がいた。
「よう聖治、そっちはどうだった? て、聞くまでもなさそうだな」
「ああ。そう言うあたり俺も聞く必要はないみたいだな」
「まったく。本当に真剣に探したんだろうなあ~? もし遊んでいたなら殺してやる」
「大丈夫だ、問題ない。きっとな」
聖治は星都と馴染みつつある挨拶を終え他の皆にも目をやる。
他の三人もすでに到着しており、それ以外の人はいない。どうやら安神姉妹も魔堂魔来名は見つけられなかったようだ。
「それで、これからどうするんですか?」
日向が近寄り今後のことを聞いてくる。丸っこい瞳が聖治を見上げていた。
「そうだな。とりあえずもう遅い、今日の探索はこれでお終いにしよう。ここにいると決まった情報もないし、場所を変えるのも手だが」
「なあ聖治。そもそもなんだがよ、その魔堂魔来名、仲間になってくれると思うか?」
「どういうことだ?」
そこへ星都が聞いてきた。星都は言いにくそうに表情を歪めるが、それでも強気に話した。
「魔堂魔来名は元々団長となるべく作られた男だ。そんな男が不戦の話に乗るか? 奴はいわば優勝候補みたいなもんだろ?
もし勝ち残るなら魔来名が一番確率としては高いはずだ。
なのに、わざわざ俺たちの話に乗る、奴のメリットがない。もしかしたら、断るかもしれないぜ……?」
「……なるほど……」
星都は最後のセリフだけ語調を弱め、聖治も表情を苦くした。
確かに、魔堂魔来名という男が団長として作られたなら性能は高いはず。そんな男がセブンスソードを辞退する理由は薄い。
星都が言ったように断る可能性の方が高いはずだ。
「ううん、彼なら大丈夫」
しかし、聖治たちの不安をかき消すように香織さんが言った。その自信のある話し方はなにか確証があるようだ。
「なぜ、そう思うんです?」
「それは……」
聖治が尋ねると香織さんは言い淀む。考え込むように顔を顰め、その様子は言いにくいのではなく言葉を選んでいるみたいだ。
なんだか逡巡しているようだが、意を決めたのか聖治を見つめてきた。
「その、実はね――」
「なあ、おい」
だが、ついに香織さんが口を開いたと同時に星都が口を挟んできた。せっかくの香織さんの言葉が遮られてしまう。
「なあ星都、今は香織さんが話しているから――」
「そりゃそうだがよ! 見ろよ、おかしいぜ? 駅前だってのに……」
星都は話しながら緊張を露わにし、辺りを見渡し始めた。それで聖治もつられて周りを見るが、そこで異変に気付いた。
「誰も、いないぜ……?」
「まさか……」
「ううん、君は特別なの。聖治君が魔堂魔来名を探すことに、意味があるんだよ」
「え?」
香織さんは聖治ではなく、どこか遠くを見つめるような目で道の先を見ていた。もしくは、ここにはいない誰かを思って。
「早く、君と魔来名が出会って欲しいな……」
そう言う香織さんは静かに笑っていた。待ち望む未来が楽しみで、それでいて嬉しそうな。それは自分の幸せを願う顔というより、誰かの幸せを願っているような表情に見えた。
「……香織さん」
その顔が気になって、聖治は聞いてみた。
「その魔堂魔来名って、どんな人です? もしかして、俺と何か関係があるとか?」
最初は香織さんの知り合いだと思い躊躇ったが、自分にも関係があるなら躊躇ってもいられない。聖治は魔堂魔来名という男に興味を持って香織さんに聞いてみた。
すると香織さんは聖治に向き直り、ニコっと笑った。
「『会ったら、きっと分かるよ』」
「…………」
(そんな風に言われたら、追及出来ないな……)
そして聖治たちは昼食を挟みながら魔堂魔来名探しに奔走したが、結局見つけることは出来なかった。
そのまま時間は過ぎて一九時になったため水門駅にまで戻ることにした。
空は薄暗く、外灯の光が等間隔を置いて淡く灯っている。しかし地上の景観は昼とはあまり変わりなく人気は多い。
その中に見知った四人がいた。
「よう聖治、そっちはどうだった? て、聞くまでもなさそうだな」
「ああ。そう言うあたり俺も聞く必要はないみたいだな」
「まったく。本当に真剣に探したんだろうなあ~? もし遊んでいたなら殺してやる」
「大丈夫だ、問題ない。きっとな」
聖治は星都と馴染みつつある挨拶を終え他の皆にも目をやる。
他の三人もすでに到着しており、それ以外の人はいない。どうやら安神姉妹も魔堂魔来名は見つけられなかったようだ。
「それで、これからどうするんですか?」
日向が近寄り今後のことを聞いてくる。丸っこい瞳が聖治を見上げていた。
「そうだな。とりあえずもう遅い、今日の探索はこれでお終いにしよう。ここにいると決まった情報もないし、場所を変えるのも手だが」
「なあ聖治。そもそもなんだがよ、その魔堂魔来名、仲間になってくれると思うか?」
「どういうことだ?」
そこへ星都が聞いてきた。星都は言いにくそうに表情を歪めるが、それでも強気に話した。
「魔堂魔来名は元々団長となるべく作られた男だ。そんな男が不戦の話に乗るか? 奴はいわば優勝候補みたいなもんだろ?
もし勝ち残るなら魔来名が一番確率としては高いはずだ。
なのに、わざわざ俺たちの話に乗る、奴のメリットがない。もしかしたら、断るかもしれないぜ……?」
「……なるほど……」
星都は最後のセリフだけ語調を弱め、聖治も表情を苦くした。
確かに、魔堂魔来名という男が団長として作られたなら性能は高いはず。そんな男がセブンスソードを辞退する理由は薄い。
星都が言ったように断る可能性の方が高いはずだ。
「ううん、彼なら大丈夫」
しかし、聖治たちの不安をかき消すように香織さんが言った。その自信のある話し方はなにか確証があるようだ。
「なぜ、そう思うんです?」
「それは……」
聖治が尋ねると香織さんは言い淀む。考え込むように顔を顰め、その様子は言いにくいのではなく言葉を選んでいるみたいだ。
なんだか逡巡しているようだが、意を決めたのか聖治を見つめてきた。
「その、実はね――」
「なあ、おい」
だが、ついに香織さんが口を開いたと同時に星都が口を挟んできた。せっかくの香織さんの言葉が遮られてしまう。
「なあ星都、今は香織さんが話しているから――」
「そりゃそうだがよ! 見ろよ、おかしいぜ? 駅前だってのに……」
星都は話しながら緊張を露わにし、辺りを見渡し始めた。それで聖治もつられて周りを見るが、そこで異変に気付いた。
「誰も、いないぜ……?」
「まさか……」
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