詩花 黒い傘と赤い傘

葵冬弥

詩花 黒い傘と赤い傘

黒い傘を広げた


昼下がりの雨模様


霧雨が嘲笑うように


顔にかかる


風に乗った


雨粒がふりかかる


傘の花を閉じようか悩む


曇り空


どんより空


ボーッと空を見上げてたら


いつの間にか目線の下で


赤い傘がピョコピョコ踊る


赤い傘がクルクル回る


傘の雨水をかけてくる


なにしてくれてるのかな


気づいた時には


シースルーシャツ


びちょびちょのシャツ


赤い傘をどけて


君はおどけた笑みを向ける


無邪気を装い


悪びれもせず


空の雲間から光が射し込み


君を照らす


それを跳ね返すかのような


満面の笑み


赤い花を閉じて


雨止んだよ


小首を傾げて上目遣い


傘を閉じようと


君の前で


勢いよく腕を引く


ちょっとした仕返し


だけど


君は一歩先を歩き出してる


口から漏れるのは


曇り空を作れそうな


濃いため息


君に追い付こうと


軽く走って


後ろから


抱き締めた


ざまあみろと


1人ほくそ笑むと


顎に衝撃を受けて


雲が切り裂かれていく空を見上げた

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