詩花 負の果実

葵冬弥

詩花 負の果実

チクリ


チクリと


種をまく前に


指で穿つように


一つ一つ丁寧に


一つ一つ確実に


穴をあけていく


その穴にやっぱり同じように


種をまく


いつか綺麗な花が咲いて


実をつける


にくし実


うら実


ねた実


その実が熟して


美しく


香しく


感じる時に摘むか


禍々しく


腐臭漂う時に摘むか


それで変わることは何も無い


あなたはその実を手にしてしまったのだから


その


憎しみも


恨みも


妬みも


全部あなたのもの


全部あなたの身になったもの


だから


そのおもいを晴らすのはあなた

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