詩花 始まりと終わりの交わり

葵冬弥

詩花 始まりと終わりの交わり

光に打ち消されていく夜空


光を浴びて輝きをます朝焼け空


太陽の光に輝きを奪われる月


燦々と輝きを増していく太陽


夜明け時


境目時


月を背にして立つ君


太陽を背にして立つ私


浅い眠りから覚めて


寝ぼけ眼の私に君は話し出す


身振り手振りを加えて


時に笑いながら


時に悲しそうにしながら


起きてる間の出来事


他愛のないこと


それを私は何となく知っていて


何となく覚えていて


まるで夢で見ていたような気がする


君は次々に語る


私も語る


夢で見たことを語る


眠りにつくまえのことを話す


でも


手を伸ばして触れようとはしない


相容れないことをお互い分かってるから


触れることすら叶わなくて


叶うことは


見て話すだけ


太陽の光に瞳を細めながらも


君はちゃんと私を見ていて


影に隠れそうな君を私も見る


君の事を知ってるはずなのに何も知らなくて


君の事を何も分からない


でも


こうして語り合う


それが決まり事のように


だけど


それは決まりだからではなく


語り合いたいから


心が温かくなるから


この気持ちがわからなくて


気持ちがどこにあるのかわからなくて


悩ましくて苛立たしい


でも


君とのせっかくの会話だから


今はその思考を中断する


もうすぐ君との時間が終わりを告げる


境目が境目でなくなる


夜を朝が消し去っていく


君はだんだん光に溶けていく


溶けながらも必死に声を君は話す


だんだん私には聞こえにくくなりながら


消える間際に君は大きく息を吸い込む


少し頬を染めながら


真剣な眼差しをして


そして吸った空気を全部吐き出すような瞬間に


君は溶けきってしまった


なんだかわからないけど


心が跳ねるのを感じた


鼓動が早くなるのを感じる


この気持ちが知りたいな


この温かい気持ちが何なのか知りたいよ


また君と会うときまで


考えてみよう


分かると良いな


そしたら


君に伝えられると良いな


大きく息を吸って


澄んだ空気を感じた


太陽に手を伸ばして


温かさを感じた


またここから始めよう


今日という1日を


***********************


光に溶けそうな夕焼け雲


闇に紛れた夜空の雲


淡く輝く夕焼け空


濃紺に沈む空


黄昏時


境目時


夕陽を背に立つ君


月を背に立つ僕


相容れることはなくて


手で触れることすら叶わなくて


ひたすら話す


お互いの事を


今日の出来事を


一生懸命絞り出して


少しの沈黙も作らないように


何ともない会話


行き着く先の無い世間話


お互いの気持ちはそこに無くて


どこかにあって


どこにも無くて


見当たらなくて


スカスカの歯車は動き出さない


時が流れるに連れて


君はだんだん薄れていく


声もだんだん聞き取れなくなる


君は最後に唇を噛み締めて


涙を流す


嗚咽はもう聞こえなくて


消える間際に大声で


君は何かを叫んだ


だけどそれは聞こえなくて


僕の耳には届かない


僕の心には響かない


でも


何かが芽生え始めてて


それが何かはまだ分からない


どこかあたたかい気持ち


それを知っているようで


思い出せなくてもどかしい


この気持ちを今から考えよう


夜はこれから始まるのだから


***********************


始まりと終わり


始まりは終わりへ


終わりは次の始まりへ


また


始まりから終わりへ


終わることなき


流れ行く歯車


交わりそうで交わることはなく


届きそうで届くことはない


私は君に会いたいのに


僕は君に会いたいのに


決して交わらない


決して伝えられない


決して届かない


心のこもった言葉


気持ちをこめた想い


全部全部


溜めて溜めて


消えていくだけ


ほんの少しの残り香だけを残して


終わりはリセット


始まりはリスタート


繰り返すだけ


巡り回るだけ


少しの歪みも


少しのズレもなく


続いていく


そこには感情なんてなく


そこには同情なんてなく


運命は回るから


感情も同情も何も気にしなく


何も無かったことにしてしまうから



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