決勝点

相手チームのベンチの雰囲気があるおかしい。そのことに気づいたのは多分俺だけだろう。たまたま、４回、5回と三者凡退をしているのだが、実は所々でヒット性の当たりが出ている。たまたま運悪くアウトになっているのだが、守備をしているフレンズの連中は、指示とは違うところにボールが飛んで行く度にバタバタと慌ててなんとかアウトを取ってきたようだった。
 俺から言わすとこの年代でデータ野球は意味ない。子供だよ。一回一回スィングも変わってくる。そんなに変化が激しいものにデータを当てはめることが間違いだ。まあ、俺を敬遠にすることは間違いではないようだ。この回も先頭打者の俺は敬遠されていた。
 その時もフレンズ側ベンチで何かもめていたようだった。それは彼らの攻撃に起こっていた。俺の揺れて落ちる超山なりのボールに全く手が出ない。といっても、ナックルの連投は体力的に厳しい。だから、時々見せ球で使用すると全て変化していると思ったようだった。それでもパソコン操作をしている奴からは

「なんで打てないんだ！！」

心無い言葉がとびかっている。そして、出塁した俺が盗塁を決めるが2番3番は凡退してしまった。こうしてツーアウト三塁の場面で4番ガッキー、しかし、ここまで彼は三三振とぱっとしない。

第一球目、超山なりのボールを空振り、二球目も同じ球を空振りした。すると打席を外してなにやらブツブツと呟いたかと思うと、そして、第三球目、超山なりのボール、

キン！！

ガッキーのバッティングを見て驚いた。落ちてくる前に大根切りで打ち返したのだ。しかも、ボールは左中間を転々と転がっていた。当然、俺はホームイン！！ガッキーはと言うと三塁を回っていた

「まわれーー！！」

ボールは外野が取り押さえ内野へ送られていた。三塁を蹴ったとかには、中継が、ハックホームをしていた。

サザーーー！！

際どいタイミング、その時だった。ミットからポールが溢れていた。

「セーフ！！」

わーーー！！

俺たちのベンチは盛り上がって

「トゥース！！」

そんな掛け声が飛び交った。こうして最終回７回表、相手ベンチ異変がパソコンを触っている少年を別な少年が殴りかかっていた

「いい加減にしろ、お前の予測は全然当たってない用済みだ、かえれ！！」

仲間割れを起こした彼らは、俺の投球に手も足もだすことすらできずに、三者凡退して、ゲームはあっけなく終わったのだった。