リーンカーネーション 小学生に戻ったおれ

seabolt

朝練

「そこ!!バットは横に振って!!」

バシッと竹刀がある男子のお尻を叩いた。

「イテ!!俺は縦に振る方が慣れているのに」

そう呟いてバットを構え直しているのは、新垣唯(あらがきゆい)通称ガッキーと呼ばれている彼は、沖縄の出身で顔は濃い。特に眉毛がはっきりとしている。元々、剣道をしていてソフトボールはシックスティーンナイナーズに入って初めてやるという人物。実は俺たちと同じ5年生で今年転校して来たのだとか、そんな彼は運動神経はよく肩も強い。今ではセンターを守らせているのだが、なにせ、バッティングはイマイチだ。パワーは十分だからまともに当たるとホームランになる。しかし、当たればの話なんだが。
 この日の朝練は、俺が敬遠された時の攻撃の練習だった。そうこの間の試合、全打席敬遠された俺、その後、見事に押さえられて負けている。だから、俺が塁に出た後、5番からどう打つかと言う練習だった。その時、俺はピンときてコーチに助言した。

「俺を1番にして、4番をガッキーにしたら?」

「は?佐藤何を考えているんだ。一番は矢部ときまっているんだぞ」

「でも、俺が4番だと敬遠をされる」

「それは、一番でも敬遠される可能性は高いわよ。けど、一番だったら得点できるかのせいも出てくれわね」

コーチは、しばらく考えている。

「そうねえ〜」

こうして、1番俺、2番外山、3番矢部っち、4番ガッキー、5番絹やんとそこまできまったのだった。つまり、1番の俺が出塁をして、2番で送りバント、運が良ければ、3番矢部っち又は、4番ガッキーで1点を取るという作戦だ。そんなにうまいこと行くのかと思っていたんだけど、案外、俺は、塁に出ると盗塁をした後、送りバントで3塁まで進塁できるのだった。この練習を行った俺達は、今度の土曜日に行われる1回戦を待つことにした。

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