リーンカーネーション 小学生に戻ったおれ

seabolt

タッチゲーム

あの日を境にして、タッチゲームへ俺を巻き込むことはなくなった。というよりタッチゲームが禁止されたことによって、今までみたいに公然で行われることはなくなったかのように見えた。しかし、タッチゲームはまだ続いていた。正確には、気の弱い女の子が狙われ、餌食となって誰にも言えないでいると言う卑劣な犯行が続いていたのだった。特に背も低くすぐに泣いてしまう佐野さんは格好の標的となっていた。そんなある日のことだった。俺は、放課後、小宮山さんに呼ばれていた。この間の件と今も続くタッチゲームの件でだ。俺が小見山さんに呼ばれるということは、ぼこぼこにされると勘違いしている連中が未だにいるようで、俺の後をついて来ていた。そんな奴らの姿を見ながらも

「どうしたらいいの?佐野さんがかわいそうよ」

小宮山さんのもっともらしい意見に頷いていると。壁の横からどかどかっと3人の女子が飛び出してきた。

「小宮山さん!!佐藤君に?何を」

「え?」

勢いよく飛び出してきたのは、天野さん山田さん太田さんの3人だったが、俺が小宮山さんに締められると勘違いして、思わず出てきてしまったようだった。しかし、俺が小宮山さんと仲良さそうに話しているのを見て驚いている。俺がこれまでの話をすると3人も納得をした。

「確かに・・」

「でも、この間はごめんね。本当にあの中田が怖かったの」

「いいよ・・終わったことだし」

「ありがとう。よかったらお尻触っていいから」

そんな言葉を聞いた。小宮山さんも対抗してきた。

「私もお尻くらいならいいわよ」

そんな彼女の言葉に驚いていたんだけど、みんな同じ仲間だとわかって、急に仲良くなった。そして、今回の目的は一つとなった。そう未だに続いているタッチゲームを辞めさせることだった。
こうして、俺達5人で、彼女を救う手段を考えることになった。いつも彼女が襲われるのは、一人でいる時に発生している。だいたい、彼女のお尻を触るのは村上だ。そこまでははっきりと分かっている。彼女たちが恐れている中田と原田はこのゲームからは既に手を引いている。それは、親を呼び出されることは何としても避けないといけないからだ。ということは、今回の事件は村上とその連れ達の暴走だと考えられた。すると天野さんが

「ひょっとして、佐野さんのことが好きなんじゃないの?」

「うーーん?」

「で?どうやって、佐野さんを守るかだけど・・・」

「佐野さんが襲われた時に捕まえるのは?」

「タッチゲームだから、その時点で犯人が解らない。それにここにいる4人だと何人かは逃げて行ってします可能性もあるわ」

天野さんの意見だった。すると山田さんが

「やっぱ・・・囮が一番手っ取り早いわね」

「そうね。佐野さんはやられても、口を割らないし、襲われた瞬間を捕まえても犯人はわからないままだから、囮作戦が一番ね」

俺を取り残して話がトントン拍子で進んでいく

「そうねぇ・・・誰か身代わりが・・・」

そう言って顎に手を抑え考えている小宮山さんの視線が俺で止まった。嫌な予感が

「ねぇねぇ・・・佐藤君を身代わりにするのはどう?」

「え?」

天野さんと山田さんが俺をじっと見る

「確かに、身長もほぼ同じだし」

「あの・・・俺、男なんだけど」

天野さんは俺の意見すら聞いていないようだった。

「佐藤君って妹さんがいたわよね。身長がほぼ同じの?」

「それって?」

「「「うん」」」」

三人が頷いた。

「女装・・?」

「そうよ」

「無理だよ!!だいたい髪の毛はどうするの」

すると天野さんが簡単に

「うちの親戚が美容室やっているから大丈夫」

こうして、俺はおとり捜査をすることになった。

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