リーンカーネーション 小学生に戻ったおれ

seabolt

練習風景

2時から始めた練習も終わりに近づいて頃の2時40分に彼女達はやってきた。ここは小学校のグラウンド、各地区の子供会がここで練習する。その為、練習時間は、1時間毎に割り当てられていて、たまたま、俺達の練習時間の後に天野さん達の地区が練習時間となっていた。だから、俺達の後に練習する彼女たちがこの時間に来てもおかしくない。けど天野さんと山田さんは、俺を見つけると直ぐに俺の方へ駆け寄ってきた。

「佐藤君」

「もう・・終わり?」

「うん・・そうだけど・・」

大体のチーム練習は終わっていて、今は、3年生たちを中心に守備練習をしていたのだった。そこに用事がない俺は道具の片づけをしているところだった。そこへ山田さんが

「それ終わったらバッティングフォームを見てほしいんだけど」

すると絹やんが俺を呼んだ

「渉(わたる)!!終りの挨拶だ」

「わかったー!!すぐ行く」

俺は、3人に待ってもらうようにお願いをした。

「ちょっと待ってて、直ぐに済ませるから」

俺がキャプテンとして初めての終わりの挨拶をした。そんな光景を3人は見ていたのだった。

***

俺が戻ってくると天野さんと山田さん、立川さんの三人以外に、箭内さん、森さん、太田さんがやって来ていた。彼女達三人は俺たちと同じ時間に同じグランドの反対側で練習をしていて、彼女たちが来ているの見て、やってきたのだという。

「フレンズの皆さんがどうしてここへ?」

箭内さんの一言に山田さんが

「佐藤君にちょっと用事があって」

「用事ってなに?」

箭内さん、森さん、太田さんが俺をじっと睨んでいる。これは言わないといけないな

「ちょっとバッティングを見てほしいって頼まれたんだ」

するといつも奥手のはずの太田さんが

「だったら私も佐藤君に教えてほしいな。バッティング」

「私も‥」

「私も・・・」

実は、ここにいるメンバー全員が太田さんが俺のことを好きだということを知っていて、彼女との友情の前に俺へのアタックは控え目にしているというのが本音で、まさか、ここで彼女からすっとそんな言葉が出てくるとは思ってもみなかったようで太田さんを以外の五人は驚きの表情を浮かべていた。

「いいよ。みんな見てあげるよ」

俺の一言に、少しがっくりとしている天野さんと山田さん。してやったりの太田さん、箭内さん、森さん、全員を並べて、バッティングを見ることになった。





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