異世界転移〜イージーモードには棘がある〜
十六話
俺がここ、ナールブで保護されてかれこれ10ヶ月が過ぎようとしている。
ちなみに、一年は二十ヶ月、一ヶ月は三週間、一週間は10日でsる。
地球的に言えば、夏が過ぎた頃合いか、最近は徐々に気温が下がっているような気もする。
「ハヤト、おはよ」
部屋を出た所でレイラが声を掛けてくる。
いま、彼女は俺の右隣の部屋に住んでいる。
示し合わせたとか、俺がレイラをストーキングしているのではない。
ここはギルド宿舎。
同期に入った俺たちが隣の部屋になるのは当たり前と言える。
ちなみに左隣はケビン、更に隣がビルの部屋だ。
時たま、ビルの声が左隣から聞こえてくる。
そんな時はそっと耳を閉じる。
俺は気遣いの出来る人間だ。
間違っても壁をドンドン叩いたりしない。
「おう、おはようレイラ」
特に会話もなく、ギルド支部に向かう。
森での訓練の後、セレナさんは溜まりに溜まっていた依頼をこなすべく、あっちこっち飛び回っている。
かくして、俺たちは二人でよく行動するようになったのだが、セレナさんはあまり二人で狩りには行かず、鍛錬しているよう言われた。
まぁ、レイラを初め俺もその指示には従えない。
だって、お金が欲しいんだよ。
余裕のあるセレナさんとは違うんのだ。
先日の銀板の感触を思い出し、ポケットを弄るが、残っているのは幾つかの銅板のみであった。
ギルドに着く。
さっそく依頼掲示板に向かい、適当な依頼がないか探す。
俺たち二人なら今の所、レベル4の依頼はこなせる。
頑張れば、もう一つ上、一個パーティーは必要とされるレベル5も対処出来ると思うが、安全第一とそこはレイラと相談して決めている。
現在、セレナさんがやっている依頼はレベル6、2個パーティーは必要とされるものだ。
一個パーティーが大体5人位なのでセレナさん一人で十人力である。
「ハヤト、これでいこう」
レイラが掲示板の上部を指差す。
「これか?」
レイラの指は目的の紙には届いておらず、引っ剥がしてやる。
そこにはオウミールの討伐依頼が書いてあった。
「もも肉を持ち帰ればいいのか」
「そうそう、残りは好きにしていいんだよ!」
おそらく、それが目的だろう。
ちゃんと残しておいてギルドで換金せねば。
「分かった。これにしよう」
実はオウミール討伐は俺も気にいっている。
直線的な突進が多いため、弾を当てやすい。
本来ならタンク役が二人は必要になるが、遠距離から攻撃できる俺達なら楽勝の相手だ。
レイラはすでに調味料の確認をしている。
…先に装備をやれよ。
俺はその様子に苦笑し、再度、装備点検をした。
「は~美味しかった」
「確かにちょっとしたピクニックみたいだったな」
結局、すぐさま規定量のもも肉を確保した俺たちは綺麗に解体した部分を換金ように残し、後は丸焼きにして頬張った。
途中、ハイエナみたいな魔物が近寄って来たが、レイラの憤怒の様相に即去っていった。
「明日もこの依頼があるといいな」
レイラがお腹を擦りながら歩いている。
「俺は魚も食べたい」
レイラといると肉ばっかりだからな。
日の本の血が流れる者としては魚も食したい。
頭も良くなるよ!
そんな緩やかな空気はギルド支部に入ると消えた。
職員たちが何やら慌ただしい。
「何かあったんですか?」
近くにいた方に話しかける。
「あぁ、依頼がきたんだ。君はハヤト君だよね。カルバさんが探していたよ」
「分かりました。すぐ向かいます」
どこからともなく緊張が湧く。
一応、カルバさんとはちょくちょく話してはいるが、こういった感じで呼び出されるのは初めてだ。
もしかしたら、ジュリンでの魔族のことかもしれない。
この騒動とも関係があるのだろうか。
そんな事を思いながらもギルド最上部にある支部長室をノックする。
隣にはレイラもいる。
心強い。
「ハヤトです。カルバさんいらっしゃいますか?」
返事はすぐに来た。
「ハヤトかっ、入ってくれ」
扉を開け、中に入る。
カルバさんは厳つい様相で紙面とにらめっこしている。
俺たちはソファーに座っているよう言われ、腰を下ろす。
しばらくしてカルバさんは手を止め、正面のソファーにどかっと腰を下ろす。
手持ち無沙汰だった俺はすぐに尋ねた。
「あの、用件っていうのは?」
「あぁ、あのなダンジョン攻略が依頼された。ここの支部に、だ。失敗はしたくない。だからお前も参加させようと思っている。いいか?」
「構いません。微力を尽くします」
「そうか、いや助かるよ」
「でも何故そんな事聞くんです?俺もギルドの一員なんだから召集を掛ければいいじゃないですか?」
「…実はな、ダンジョン攻略に新人は連れてかないんだ。結構厄介でな。下手したら壊滅することさえある。だが、その武器は強力だ。もちろん後方支援に回ってもらうが切り札の一つとして持っておきたい」
俺は中二心をくすぐられた。
もう二つ返事でオーケーした。
後悔はしていない、していないったらしていない。
作戦開始は来週の頭。
気が高ぶるなか。
「ハヤトっ、助かるよ」
俺は支部長室で書類を処理していた。
「いや、計算はできるので」
カルバさんも脳筋らしい。
書類に四苦八苦している所に援助を求められきっちりコキ使われている。
隣にはレイラもいる。
「セレナから二人とも頭がいいって聞いてな!」
カルバさんはすっかり整理された書類にポンポン判子を打っていく。
ちゃんと確認しないで大丈夫だろうか。
今なら俺、不正し放題だな。
やらないけど。
「俺は計算とか出来ないからな!ははっ!」
ははっ!じゃないと思うんだが。
今更ながら心配になってきた。
まぁ、ギルド支部長に求められるのはリーダーシップだからな。
そう納得し、小2でもできる計算を片付ける。
レイラも俺と同じくらい効率がいい。
すこぶる調子よく終わった仕事にカルバさんは大喜びし、俺達に小遣いを授けて訓練場へと向かっていった。
「…肉でも食い行くか?」
「行く」
心なし疲れた様子のレイラを伴い、部屋を出る。
下ではまだ喧騒が続いていた。
ちなみに、一年は二十ヶ月、一ヶ月は三週間、一週間は10日でsる。
地球的に言えば、夏が過ぎた頃合いか、最近は徐々に気温が下がっているような気もする。
「ハヤト、おはよ」
部屋を出た所でレイラが声を掛けてくる。
いま、彼女は俺の右隣の部屋に住んでいる。
示し合わせたとか、俺がレイラをストーキングしているのではない。
ここはギルド宿舎。
同期に入った俺たちが隣の部屋になるのは当たり前と言える。
ちなみに左隣はケビン、更に隣がビルの部屋だ。
時たま、ビルの声が左隣から聞こえてくる。
そんな時はそっと耳を閉じる。
俺は気遣いの出来る人間だ。
間違っても壁をドンドン叩いたりしない。
「おう、おはようレイラ」
特に会話もなく、ギルド支部に向かう。
森での訓練の後、セレナさんは溜まりに溜まっていた依頼をこなすべく、あっちこっち飛び回っている。
かくして、俺たちは二人でよく行動するようになったのだが、セレナさんはあまり二人で狩りには行かず、鍛錬しているよう言われた。
まぁ、レイラを初め俺もその指示には従えない。
だって、お金が欲しいんだよ。
余裕のあるセレナさんとは違うんのだ。
先日の銀板の感触を思い出し、ポケットを弄るが、残っているのは幾つかの銅板のみであった。
ギルドに着く。
さっそく依頼掲示板に向かい、適当な依頼がないか探す。
俺たち二人なら今の所、レベル4の依頼はこなせる。
頑張れば、もう一つ上、一個パーティーは必要とされるレベル5も対処出来ると思うが、安全第一とそこはレイラと相談して決めている。
現在、セレナさんがやっている依頼はレベル6、2個パーティーは必要とされるものだ。
一個パーティーが大体5人位なのでセレナさん一人で十人力である。
「ハヤト、これでいこう」
レイラが掲示板の上部を指差す。
「これか?」
レイラの指は目的の紙には届いておらず、引っ剥がしてやる。
そこにはオウミールの討伐依頼が書いてあった。
「もも肉を持ち帰ればいいのか」
「そうそう、残りは好きにしていいんだよ!」
おそらく、それが目的だろう。
ちゃんと残しておいてギルドで換金せねば。
「分かった。これにしよう」
実はオウミール討伐は俺も気にいっている。
直線的な突進が多いため、弾を当てやすい。
本来ならタンク役が二人は必要になるが、遠距離から攻撃できる俺達なら楽勝の相手だ。
レイラはすでに調味料の確認をしている。
…先に装備をやれよ。
俺はその様子に苦笑し、再度、装備点検をした。
「は~美味しかった」
「確かにちょっとしたピクニックみたいだったな」
結局、すぐさま規定量のもも肉を確保した俺たちは綺麗に解体した部分を換金ように残し、後は丸焼きにして頬張った。
途中、ハイエナみたいな魔物が近寄って来たが、レイラの憤怒の様相に即去っていった。
「明日もこの依頼があるといいな」
レイラがお腹を擦りながら歩いている。
「俺は魚も食べたい」
レイラといると肉ばっかりだからな。
日の本の血が流れる者としては魚も食したい。
頭も良くなるよ!
そんな緩やかな空気はギルド支部に入ると消えた。
職員たちが何やら慌ただしい。
「何かあったんですか?」
近くにいた方に話しかける。
「あぁ、依頼がきたんだ。君はハヤト君だよね。カルバさんが探していたよ」
「分かりました。すぐ向かいます」
どこからともなく緊張が湧く。
一応、カルバさんとはちょくちょく話してはいるが、こういった感じで呼び出されるのは初めてだ。
もしかしたら、ジュリンでの魔族のことかもしれない。
この騒動とも関係があるのだろうか。
そんな事を思いながらもギルド最上部にある支部長室をノックする。
隣にはレイラもいる。
心強い。
「ハヤトです。カルバさんいらっしゃいますか?」
返事はすぐに来た。
「ハヤトかっ、入ってくれ」
扉を開け、中に入る。
カルバさんは厳つい様相で紙面とにらめっこしている。
俺たちはソファーに座っているよう言われ、腰を下ろす。
しばらくしてカルバさんは手を止め、正面のソファーにどかっと腰を下ろす。
手持ち無沙汰だった俺はすぐに尋ねた。
「あの、用件っていうのは?」
「あぁ、あのなダンジョン攻略が依頼された。ここの支部に、だ。失敗はしたくない。だからお前も参加させようと思っている。いいか?」
「構いません。微力を尽くします」
「そうか、いや助かるよ」
「でも何故そんな事聞くんです?俺もギルドの一員なんだから召集を掛ければいいじゃないですか?」
「…実はな、ダンジョン攻略に新人は連れてかないんだ。結構厄介でな。下手したら壊滅することさえある。だが、その武器は強力だ。もちろん後方支援に回ってもらうが切り札の一つとして持っておきたい」
俺は中二心をくすぐられた。
もう二つ返事でオーケーした。
後悔はしていない、していないったらしていない。
作戦開始は来週の頭。
気が高ぶるなか。
「ハヤトっ、助かるよ」
俺は支部長室で書類を処理していた。
「いや、計算はできるので」
カルバさんも脳筋らしい。
書類に四苦八苦している所に援助を求められきっちりコキ使われている。
隣にはレイラもいる。
「セレナから二人とも頭がいいって聞いてな!」
カルバさんはすっかり整理された書類にポンポン判子を打っていく。
ちゃんと確認しないで大丈夫だろうか。
今なら俺、不正し放題だな。
やらないけど。
「俺は計算とか出来ないからな!ははっ!」
ははっ!じゃないと思うんだが。
今更ながら心配になってきた。
まぁ、ギルド支部長に求められるのはリーダーシップだからな。
そう納得し、小2でもできる計算を片付ける。
レイラも俺と同じくらい効率がいい。
すこぶる調子よく終わった仕事にカルバさんは大喜びし、俺達に小遣いを授けて訓練場へと向かっていった。
「…肉でも食い行くか?」
「行く」
心なし疲れた様子のレイラを伴い、部屋を出る。
下ではまだ喧騒が続いていた。
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