最弱になりすました最強

ちぃびぃ

復讐者

「おい、おい。俺も参加させてくれよォ」

突然神扇かおうぎの目の前に現れた男はそう言った。

「お前はだれだ?」

だれか分からない神扇は聞く。それに対して男は不機嫌そうに呟いた。

「チッ。……覚えてすらねぇのかよ」

「どこかで会ったっけ?」

その問いに答えたのは千莉ちりだった。

「そいつはマギクよ!」

「マギク?」

いまいちぴんとこない神扇。

「ほら、最初に決闘した……」

「ああ、あの卑怯な手を使ってきた奴か!」

神扇が思い出すと

「卑怯な手を使ったのはお前だろう!!」

マギクが突然きれた。

「あの人数を一人で倒せるわけない!……お前がなにか卑怯な手を使ったんだろうッ!」

((そっちが卑怯なことしたんだろ……))

神扇と千莉の思いが重なった瞬間だった。

「やっぱ、てめぇは許さねぇ!」

マギクはそう言うと懐から黒い勾玉を取り出した。

「それはなんだ、なにをするつもりだ」

神扇が問うがマギクの耳には届いていなかった。

「……これさえあれば俺は、俺は!誰にも負けない!!」

黒い勾玉が光った。

「くっ……」

神扇は腕で目を隠す。
光が収まると目の前には黒い巨人がいた。

「な、あいつはどこだ!!」

『目の前にいるじゃないか』

黒い巨人から声が聞こえる。

「まさか……」

『そう。マギクだよ』

黒い巨人ーマギクは先程の人間だったときとは違い肌が黒くなっていた。まるでオニキスのようだ。それに身長が4、5mになっていた。声も少しくぐもって聞こえる。
なによりマギクの身体中から黒いオーラが出ていた。

『凄いぞ。力が溢れてくる……。これならあのとき負けた屈辱を返せるッ!!』

マギクが目にも留まらぬ速さで近づいてくる。

(は、はやい……!)

神扇でもやっと目でおいつけるほどの速さだった。
マギクが右、左と殴ってきたり、たまに蹴りも入れてくるがどれも全て避けられる。

『な、なぜあたらない……ッ!』

マギクが焦っていると脇腹を斬られた。

「それは簡単だよ」

神扇は拳を見切ると避けてから斬るという動作をしながら言った。

「君の動きは素人だ。なら肩の動き、筋肉への力の入れ方を見ればどこにくるのか分かる。ただ速く、強くなればいいって訳じゃない」

今度は背中を斬る。

(厄介だな)

神扇は斬りながらも倒せないマギクに舌を巻いていた。なぜなら深く斬れないのだ。筋肉が膨張しすぎて刃が通らない。そして治癒能力も高いのか傷の治りが早い。先程斬った傷がもう完治している。

(あれ・・を使うしか……)

『……一人で仕留めようとしたが仕方ない』

マギクがそう言うと後ろから蹴られた。
 
「っ!」

前に前転してなんとか避けた。

「今のは……」

そう言って蹴られたほうを見ると怪物が立っていた。

(やばいな……)

この怪物は相当な手練だ。今の僕なら・・・・・やられてしまう。

『このままいくぞ【囚われの最強者】!!』

前と後ろから襲ってくる。それを身体能力と刀を使い絶妙に捌きながら聞く。

「囚われの最強者ってなんだ?」

『てめぇ、あいつを知らねぇのか』

「ああ」

『あいつはなこの学園の一位だ』

「一位か……」

(だから強いわけだ)

「その一位になにをしたんだ」

『それは俺が負けたら言ってやるぜ』

マギクの速度が速くなった。その動きに対処していると怪物に殴られた。

「ぐはっ!」

かなりの距離を吹き飛ばされる。ドガァンッ!と壁にぶち当たった。
背中から崩れる神扇。

(つ、強すぎる……)

神扇は思わずそんな感想を抱いた。

(交代するか?)

アマノトが聞いてくる。

(……そ、うだな、今の僕には・・・・・荷が重い)

(そうか、んじゃ交代といくか)

(ああ。……それとアマノト)

(なんだ)

あれ・・を使っていいぞ)

(!、まじかよ……)

(まじだ)

(OK、分かった……久々に楽しめるな!)

(加減はしろよ?戦闘狂)

(分かってるって)

神扇とアマノトが入れ替わる。目が少し吊り上がり鋭くなった。

「ここからは俺の時間だ」



作者からのあとがき
なんか書いてるほうも楽しくなってきました!この先はどうなるんでしょうね。楽しみです。
下書きで書いたこととはかなり違う展開なんですよねー。手直し?大変です(笑)
また次も戦闘シーン続くのでよろしくお願いします。


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