書道室で聞いてしまったことを僕は嘘だと信じていたいがどうやらそうでもないらしい。

ノベルバユーザー235268

6.これは全力で

あれからも変わらず毎日変わらず学校と部活の日々だ。さほど変化はない。何故さほど、と言ったのかというと笹原の機嫌が治ったのが原因だろう。

「ゲームイベントじゃん!」

その一言と共に期限はみるみる急上昇。最近はゲームばかりやってるのが目に付く。検定近いぞ…。

「神奈〜。今暇?」
「どこをどうやったら君には暇に見えるのかゆっくり、ゆーっくり説明頂いても?」
「携帯ポチポチしてるから暇かなって。」
「ふーん、で?用件は?」
 「減価償却の計算、教えてもらえないでしょーか…。」
「無理、ゲーム中。紅月先輩暇そうじゃん。」

ちょっと待って、生贄は俺かよ!?2年生じゃねーのか!?そこは普通東雲やろ!?もちろん俺の心はパニック。そりゃね、そりゃね!いつも2年推しの君がなぜに僕に振るのかな?ん?

「あれ、ホントだ。じゃあ、紅月先輩教えてください。減価償却。」
「あ、私も聞きたい。」
「俺も。」

あ、私も私もとの声がどんどん上がる。あれ…これ理解してないね…?固定資産。

「俺、神奈に教えて欲しいんだけど。」

す、菅原!?ゲーム中にそれ言うのはよくないと思うけど…?

「やだ、ゲーム中なんだけど。」
「誰が今すぐって言いましたか?」
「…あー。なるほどね…。んー、じゃあいいよ。教える。」
「は!?え!?なんで!?心愛にも教えてよっ!」
「やだね。今すぐお断り。」
「今日ワークやるんでしょ!?なら光星も困るでしょ!?」
「俺、わかんないの直接法だけだからあんまり問題な…。」
「分かった、僕が一気に教えよう。」

そうだ、それがいい。俺が一気に教えればいいじゃん。

「じゃあ、俺パスで。神奈。」
「ん、いいよ。いつものとこでいいよね?」
「助かる。」
「んーん、いいよ。」

あの二人にはどうやら共通の場所があるらしい。幼馴染ってのはこういう時に便利だよな、って少しだけ思う。いや、いないわけじゃないけど疎遠になってるだけだ。高校が違いましてや3年生。みんなそんなもんだろう。

「東雲。今日計測の時間借りていいよね?」
「いいけど…そうなると計測スガくんとささちゃんだけになるよね…?」
「そゆことになりますね。」

ゲームやりながらこっちの会話に参加。相変わらず笹原は器用だ。

「なら、見直しやる?」
「見直し…。んー…光星、どうしたい?」
「なんならそん時に俺がわかんないの全部教えてよ。」
「構わないけど…。」
「ん、なら紅月先輩に教えて欲しい人は1年1組に、そうじゃない人は1年2組に移動してください!」
「「「はい!」」」

そう言えば笹原、菅原、須恵島、小谷以外にまともに関わった1年生いない。ってことで名前が全くわからない。まぁ、どうにかなるだろう。…須恵島いるし。

「菅原と笹原いがいで2組行くやつ、いる?」
「…いや、いないっすね。」
「まじかよ。」

笹原の言葉に俺は思う。今年は不安要素がどんどん出来ていくなっと。

検定まであと3週間、これは全力で教えなくては。

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