パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神

その156 対策

 

 夜通し歩き続け、レイド達は何とかサンドクラッドの町へ到着した。途中仮眠を挟んだが、一日と少しの時間で戻る事ができたのだ。

 「まだ攻めてきてはいないようだ、一度俺達は宿で休んでから登城して進言するつもりだ。ミトはどうする?」

 「私はおじいの所へ戻っていきさつを話してくる。ひいおじいの事、言っておかないと。何か分かったら教える」

 「ありがとうスナジロウ、またね」

 アイディールが町の中でスナジロウから降りると、嬉しそうにメ"ェェェと鳴き、ミトに連れられて町外れへと歩いていった。

 「酷い汗だ、早く宿へ」

 「あはは、ちょっと休めば大丈夫だから」

 アイディールの体調がすぐれない為、即座に宿を取って休む事にしたレイド達。昼間から食事も取らず、三人は泥のように眠った。



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 その頃ミトは……
 

 「おじい、ただいま」

 「おお。ミト、どうじゃった?」

 「うん、それがね……」

 ミトはダンジョンで起こった事をモルトへ話す。

 家を出ていったシャール、そしてラクダのスナタロウを見つけたこと、何故か若返っていた事、そして女神の封印の事を言うとモルトは顎に手をあてて眉をひそめていた。

 「……ふむ、親父がなあ……」

 「王女も本物だった。ひいおじいは王女を攫って、城を攻めるつもり。女神の封印を守る大きいのも連れて行ったから町が危ない」

 「ま、そうだろうな……それに町の連中にも報復とは馬鹿なことを……」

 恨み言を言って生きていた男が王女を手にして事を起こさないはずは無い、と思っていた。

 「おじいはどうする? 私はレイドさん達のお手伝いをしたい。ひいおじいが人を殺すのも嫌だし、王女を助けないと」

 「俺はこの歳だ、何もできん……が、やりようはある。信じてくれるかは半々だが……ミト、手伝うのはいいがお前も休んでおけよ」

 「?」

 ミトが首をかしげていると、モルトは席を立って外に出ていってしまった。ミトはよく分からないと思いながら、砂を落としに水場へと向かった。



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 <ハウラの町・冒険者ギルド>


 キィ……


 「しゃーい……」
  
 「相変わらず、怠惰な顔をしておるのう」

 「ほ! モルトさん!? 俺ぁこれが平常運転でさあ。それよりもあんたがここに来ているのが驚きだ……何があったんですかい?」

 ギルドの受付がモルトへ尋ねると、モルトは小声で受付へと話す。

 「(ギルドマスターと話がしたい)」

 「(マジですかい!? あんた殺されますよ!?)」

 「(この町の危機だ、俺の命だけなら安いもんだ……で?)」

 「(へいへい、おっしゃるとおりにしますよ、っと……少し待ってくれ)」

 受付の男が奥へ引っ込むと、モルトは適当なイスに腰掛けて呼ばれるのを待つ。何となく辺りを見ると冒険者達が食事や酒を楽しみながら談笑している様子などが見える。

 「(確かに他国の人間は多いが……それによってもたらせれるものも多い。完全に排除しないつもりだろうが、寄り付かなくなったら徐々に滅びるのは目に見えている)」

 今の王は小心者ではあるが、国を悪い方向にする事もなく穏やかである。娘が一人居るが、その娘の影響が大きいようだ。

 モルトがそんな事を考えていると、受付が戻ってきて奥の部屋へ通してくれた。

 「さて、一仕事と行くか……入るぞ」

 モルトが部屋に入ると同時に元気のいい高齢の女性の声が聞こえてきた。

 「あんたがここに来るとは珍しいねぇ! あたしに謝る気になったのかい」

 「ぬかせ。俺は無実だ」

 すると高齢の女性がいつの間にかモルトの首筋にナイフを突きつけていた。

 「……証拠が無いから仕方ないけどね……ミトは元気かい?」

 首筋にナイフを当てられても涼しい顔で答える。
 
 「ああ……って一週間前に会ったばかりだろう……が!」

 フッ! と、腕を捻って投げ飛ばそうとするが、自分から飛んでダメージを逃がす。

 「まだ腕は鈍っちゃいないようだね。仕方ないから可愛い孫娘はしばらく預けとくよ。で、どうしたんだい?」

 「酷い挨拶だ……なあ、ニア親父が生きていたと言ったら信じるか?」

  ニアが先に、次にモルトがソファに座り話し始めると二アが怪訝な顔で、タバコに火をつけながらモルトに聞き返す。

 「……難しい所だねぇ……その口ぶりだとどうやら生きていたみたいだ。元旦那の事だ、信じるよ」

 「ならあの時の俺の浮気も無実だって信じてくれよ!? 会う度にナイフを突きつけられちゃたまらん……枯れたじいさん相手にするやつなんざいねぇっての……まあいい、ミトが外からきた冒険者と行動を共にしてな……」

 モルトはミトから聞いた話をニアにすると、煙をふう、っと吐きながら答える。

 「ミトが言うなら嘘では無さそうだね。となると、こっちも迎撃態勢は整えておかないといけないか。そういうことでいいね?」

 「話が早くて助かる」

 「一度そのミトと一緒だった冒険者とも話をしておきたいね。連れてこれるかい?」

 「ミト経由で連れて来よう。明日でいいか?」

 「急いだ方がいいけどこっちも準備があるから、それでいいよ」

 分かったとモルトは席を立ち、ギルドマスターの部屋を出て行く。それを目で追いながらニアは無言でタバコをふかしていた。

 「忙しくなるねぇ……身内の事は身内でカタをつけないとね……モルト、あんたもそのつもりなんだろ?」

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