パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神

その133 旅立


 バタバタだが、今日から各地へとみんなが旅立つ。

 準備期間を午前中にとり、準備が出来たパーティから出発していくという流れだ。
 転移陣はセイラさん達が寝ていた部屋とは別の部屋に集めていて、そこから転移してそれぞれの国へと飛ぶ。

 「……じゃあ、行って来るよ」

 「うん、気をつけてねレイドさん! バタバタしていてあまり話せなかったけど……助けてくれてありがとうございます!」

 最初に出発するのはレイドさん達のパーティで、結局お礼を言えたのはこの時になってしまったのだ。
 私が手を握ってぶんぶん振ると、レイドさんが焦っていた。


 「あ、ああ。な、何かおみやげを買って来るから! それじゃ行きましょう!」

 「あ! そんなに慌てなくても……」

 <まあ色々あるのじゃ>

 「チェイシャも気をつけてね! 何、色々って?」

 <その内分かる……分かるかのう……? とりあえず封印に辿り着くにはわらわも必要じゃろうし、頑張ってくるとしよう>

 チェイシャと話していると、ママが肩を叩いて話しかけてきた。

 「すぐ戻るから、待っててね。ルーナを死なせたりしないんだから!」

 「うむ。それではまたな」

 シュイン!

 「行ったか。それにしてもアイディールはどうしてそこまでルーナを……?」

 「わ!? お父さん、急に来るからびっくりするじゃない」

 いつの間にやらお父さんがレジナ達を引きつれて転移部屋まで来ていた。

 「すまんすまん。しかし、実の娘の事なのにみんなにまかせっきりというのが心苦しいなあ」

 「そうね……私も自分の事だから行きたかったけど」

 お父さんと話していると、次のパーティが部屋へと入ってくる。今度はフレーレ達だった。
 仏頂面のベルダーとは対照的に、歳が近いフレーレとセイラさんは華やかだ。

 「あ、ルーナ! 行ってきますね! レジナ達、ルーナを頼みましたよ?」

 「わふ!」「わん!」「きゅきゅーん!!」

 一匹ずつ頭を撫でられて、レジナ達はご機嫌のようで何より。

 「ごめんね、落ち着いたばかりでまた旅だなんて……セイラさんも目覚めたばかりだし」

 「いいんですよ。世界の危機でもありますし、結果それで助ける事になるなら!」

 それを聞いて横に居たセイラさんが笑いながら口を開く。

 「ふふ、わたしは目覚めたばっかりだけど、これはこれで楽しいわ。いつかルーナとも旅をしたいわね、お兄ちゃんと一緒に」

 「……行くぞ、まったくどうして俺が女二人と……」

 <ぶつぶつとうるさいにゃ、男なら俺が守ってやるくらい言うにゃ>

 「にゃーん!」

 ベルダーがぶつぶつと何かを言いながら転移陣へと歩いていき、それに二人も着いていく。バステトもそっちへ向かうが、よくみるとあの子猫も一緒についてきていた。

 「あ、猫ちゃんも行くんだ? あ、ベルダーと合体していたもんね」

 <それは知らにゃいけど……この子、ずっと着いてくるから仕方ないのにゃ……まあ目を離してどっかで死なれるよりはいいのにゃ>

 バステトが子猫を抱いて転移陣へと飛び込み、ベルダーが起動させる。
 転移するのと同時にフレーレが手を振っていたので私も振り替えしていると、フっと姿が見えなくなった。

 「ふう……最近フレーレとも一緒に行動していないから、ちょっと寂しいなあ」

 「わふわふ!」

 「なあに? 自分達が居るから平気だって?」

 「わんわん♪」

 「きゅーんきゅん!」

 「はは、随分と好かれているなあルーナは」

 「この子達とも結構長い付き合いよねー」

 シルバとシロップを抱っこして肩に乗せるとぐでっと二匹が伸びた。シルバは少し重くなったかな? やっぱり体が大きくなったような気がする。

 そうしてレジナ達と遊びながらしばらく待っていたけど、パパたちが来ない……。

 人数が多いから手間取っているのかな? 

 「ちょっとパパ達が遅いわね、様子を見に行きましょうか?」




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 「レイドさんもう行っちゃったじゃない!? 挨拶しそびれた……あんたのせいよ!」

 「いいじゃねぇか、もう会えないってわけじゃないんだし……」

 部屋に居ないので食堂に行くと、どうもソキウスが寝坊したらしくチェーリカがカンカンに怒っていた。パパとフォルサさんは気にした風もなくお茶を飲んでいた。

 <ジャンナもあんなんだったなあ……>

 <ぴー! そ、そんなこと無いわよ!?>

 何だか疲れているファウダーに、ツッコミを入れるジャンナ。ソキウスは朝食を食べながらチェーリカのお小言を聞いてうんざり顔だった。

 「いいのあれ?」

 「ま、幼馴染だそうだし、拗れる事はないだろ? 久しぶりに起きたんだ、リハビリ代わりにやらせとけって」

 「私達と行動を始めたらそんな元気はなくなるでしょうしね♪」

 おっと、フォルサさんが嬉しそうだ……これはチェーリカが無事に帰ってこれるか怪しい……。顔を合わせてまだ短いけど、神裂を片手で押さえた戦闘力は侮れない。あとダジャレがいつ飛び出すかも……。

 「ねえチェーリカは大人の女性よね?」

 「そ、そうよ! あなたに負けないくらいのね!」

 「でもそんなにぷりぷりしてたらレイドさん、どう思うかしらー? 呆れられるかもよ?」

 私はわざと意地悪に言ってみる。するとチェーリカは顔を真っ赤にして下を向いた。レイドさんをダシにしたのは悪かったけど、ソキウスもちょっと言われすぎるのも可哀想だからね。

 「(悪いなねーちゃん、助かったぜ! 何かおみやげ買って来るからな!)」

 「わんわん!」

 「お、何だ? お前も欲しいのか? しかたねぇなあ、買ってきてやるよ」

 ソキウスが私に耳打ちをして、シルバとじゃれあっていた。そこでパパがお茶を飲み終えて席を立った。

 「おし、お前ら行くぞ! アクアステップはあんまり危険が無い地域だから、体を慣らすにも丁度いい」

 そういって三人を連れて歩いていく。

 <それじゃあ封印を解いて来るよ>

 <ぴ。そっちは主が居るから心配していないけど、一応気をつけてよね?>

 「うん、ありがとう。そっちも気をつけてね」

 <……こっちはフォルサが居るから、よほどの事がない限り何かが起こり様が無いわ……それに勇者も居るしね>

 そういえばフレーレと行動を一緒にしてたって言ってたっけ? フォルサさん、一体……。

 そんなこんなで全員外へと行ってしまい、城の中が急にガランとなる。昨日あれだけ掃除でバタバタしていたのに寂しいものだと感じた。

 そこにあくびをしながらエクソリアさんがやってくる。昨日も遅くまで起きていたみたいだけど……。

 『全員行ったのかい?』

 「あ、エクソリアさん。はい、もう私達しか居ませんよ」

 「女神と元魔王と女神を内包した魔王の娘だけ……人間率が低いのもめずらしいなはっはっは!」

 「ガウ!」「わんわん!!」「きゅきゅん」

 自分達をわすれるなと言わんばかりに、お父さんにかぶりつくレジナ達、エクソリアさんは目を細めて口をへの字にしていた。

 『まったく騒がしいね? とりあえずルーナは君が訓練をするんだろう?』

 「ああ、今日から早速はじめようと思う」

 『午後からは少しボクにも貸してくれ、今のうちに試しておきたい事があるんだ』

 「?」

 「俺も同席ならいいぞ」

 『はあ、親バカというやつかい? ま、構わないよ。少し驚くかもしれないけど……』

 そして私はお父さんとの訓練を始めることになった。

 補助魔法以外の魔法とスキルを得るために……。

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