パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神

その132 提案


 「方針?」

 エクソリアさんとフォルサさん。掃除をそっちのけで何やら話していたけど、何か分かった事があるみたいで全員を食堂に集めていた。

 揃ったところでパパへ問いかけていた。

 「そう、方針。ディクライン君はこの後どうするつもりだったの?」

 フォルサさんが

 「君って……まあいい、俺達はラスト一つまで封印を解いてそれからルーナを助ける方法を見つけるつもりだった。それこそ秘薬でも不死鳥の血でも使ってな。ただ、一度命を奪うというプロセスを省ければとはずっと思っていたが」

 『なるほど。実際やってみない事には分からないけど、姉共々殺してから蘇生はアリなのかもしれない。魂は一ヶ月程度はいわゆる【あの世】で待機することになる。転生なり、別の生き物に変えるにはそれなりに手続きが必要だからね。で、姉は女神だ。もちろん魂にはなるけど、あの世に一度戻るだけで力が回復すれば元に戻る可能性が高いが、引き剥がす事は可能だ』

 う、うーん。現実味が無いけど私ってギリギリのところを生きてる感じがするわね……。
 とりあえず、私を殺した後に魂は二人ともあの世へ。そしてその後、私を生き返らせれば一人分の魂だけになる、ということらしい。

 「まあ、これも仮説でしかないけどね。ルーナの魂だけあの世へ行って、アルモニアが体に残っちゃう事も考えられる……」

 「……他にも考えたんじゃないのか?」

 ベルダーがエクソリアさんに話しかけると、猫ちゃんを抱えて頷いた。

 『そうだね。こっちの案もギリギリだけど、ベルダー、君とこの猫を分離したのは覚えているよね?』

 「もちろんだ。正直助かった」

 『それと同じ事をルーナにも出来るんじゃないかと思ってね?』

 するとセイラさんがうんうんと頷きながらポンと手を打つ。

 「水晶を取り出すんじゃなくて、アルモニアそのものを分離させちゃうってわけね? それなら確かにルーナさんが死ぬ事はないし、蘇生させるアイテムを探す手間は省けるわ」

 「問題は成功するかどうか、だよな?」

 「方法は?」

 『まずは姉を完全に目覚めさせる。そのため、君達には残り三つのアイテムを取ってきて欲しい』

 え!? 目覚めさせちゃうの? それだと私の体が乗っ取られないかなぁ……。
 しかし、フォルサさんには考えがあるようで私を見ながら説明を始める。

 「普通の人ならそれは選択肢にないんだけど、幸いルーナは魔王の恩恵がある。しかも魔力は強大。となると、修行すれば抑えることができるんじゃないかと思うのよ」

 するとお父さんがようやく出番が来たとばかりに話し始める。腕にはシロップを抱いているが、あまりに追いかけてくるので諦めて一匹だけ構う事にしたらしい。シロップはお父さんの左腕がお気に入りのようで、抱っこされながらペロペロと舐めていた。

 「一応、俺が目覚めたのはその事も含まれている。俺のスキルと魔法は使えるようにしたいからな……ディクラインのせいで補助魔法しか使えないみたいだし。ディラインのせいで」

 「いいじゃねぇか!? お前凄腕の魔法使いにしてみろ、即誘拐されていいように利用されるぞ! 感謝して欲しいね!」

 「ウチの娘はそんなにアホじゃないわい!」

 「今はウチの娘ですー!」

 「「ぐぬぬ……」」


 「はいはい、そこまで」

 「「ぐあ!?」」

 睨みあっていたパパとお父さんの頭をごっつんこさせて黙らせるママ。今まで発言が無かったけど、ここで確認をしたいと言ってきた。

 「おさらいね。まずは女神のアイテムを集める。次に、復活させる。そして最後にルーナから引き剥がす。このプランで行くのね?」

 『ああ、その後のことは姉を蘇らせてから考えるとしようか。ボクは人間を……世界を壊すのは保留するけど、姉がどうしたいのかは分からない。ボク達は中々死なないからね、それこそベルダーの持つダガーみたいなものでない限りは。だから君達が全員居なくなった後で滅ぼす事も可能だって事さ、じわじわ遊びながら壊すつもりだったし』

 「わん?」

 シルバを抱っこしながら物騒な事を言うエクソリアさん。同じ危険物を食した同志だからだろうか、撫でる手つきは妙に優しい……。

 それはさておき、女神達にとっては自分達が作り出したモノを壊すだけなんだし、気づかないうちに滅ばされてもそれは仕方が無いと思う……ん? ちょっと待って、でもベルダーの持つ武器では死ぬ? そういえばパパ達もアルモニアさんを『殺す』って言ってたよね?

 それって変じゃないかしら……女神がわざわざそんなもの自分を害す武器を作り出す必要は無かったんじゃ……。
 
 何かに気づきそうになるも、フォルサさんの話の続きでそれは頭から消えた。

 「一つずつ回るのは時間が勿体無いから、パーティを3つに分けて一気に取りにいくわ。ただ、今回はルーナがお留守番で、ヴァイゼさんと修行をしてもらうわ。エクソリアもここで待機ね」

 「ならチェーリカはレイドさんと行きたいです!」

 「おう、元のパーティでいけるじゃねぇか」

 チェーリカとソキウスが両手を挙げてアピールするが、どうもオーダーは決まっているらしい。

 「色々な人が居るし、バランスとかを考えて決めておいたわ! じゃーん!」

 自分でじゃーんって言う人を初めて見た!? ちなみにオーダーはこんな感じである。


 砂漠の国:サンドクラッド
 レイド・カルエラート・アイディール・チェイシャ

 水と森の国:アクアステップ
 ディクライン・ソキウス・フォルサ・チェーリカ・ジャンナ・ファウダー

 東方の国:ソウキ
 ベルダー・フレーレ・セイラ・バステト


 「ええ!? レイドさんと一緒じゃない!?」

 「サンドクラッドは寒暖が激しいから、旅に慣れた者がいいんだ。君は目覚めたばかりだから比較的安全なアクアステップを頼むよ」

 ぶーぶー言うチェーリカをフォルサさんがたしなめていた。

 あ、東の国にも封印があるんだ。ソウキは島国じゃなかったっけ?

 「あ、ベルダーは故郷に帰るんだ? 味噌とお醤油買ってきてくれると嬉しいんだけど」

 「じゃあわたしが買ってきますよ。他にも何かあればおみやげにしますね!」

 <私はバステトだにゃ。よろしく頼むにゃ!>

 「フレーレです、よろしくお願いしますねバステトさん!」

 <やっとバステトをないがしろにしない子にめぐり合えたにゃ!>

 背中に子猫を貼り付けながらバステトが涙を流していた。一体何があったというのか……。

 「……気が重いな……」

 「ベルダー君はニンジャ。ということはあの国に精通しているだろう?」

 「……まあな(すぐ戻れば顔を合わすこともないか)」

 ベルダーのところはフレーレとセイラさんだ。あの二人なら無茶はしないかな?
 レイドさんは大人の女性二人との旅、そしてチェイシャだった。

 「俺はカルエラートさんとアイディールさんと一緒ですね。よろしくお願いします」

 <またお主とか……>

 「いいじゃないか、知った顔だし」

 <ルーナが居ないところだとポンコツになるからのう……>

 「え、何それ後で詳しく!」

 それ私も気になる!!!

 「私はディクラインと、リハビリを兼ねたソキウスとチェーリカと一緒ね。ソキウスはディクラインに。チェーリカは私と少し訓練をしながら旅をしよう」

 「……フォルサさん、チェーリカを悪い方へ連れて行かないでくださいよ?」

 「……フレーレさん、それはどういう……?」

 チェーリカが不安げにフォルサさんを見ている横で、ソキウスが興奮していた。

 「レイドと同じ勇者なんだな、俺と模擬戦しようぜ!」

 「向こうについて時間があればな。まあ、エクソリアが協力してくれるなら封印はすぐ帰れると思うけど」

 『一応、これを渡しておくよ。ボクの力を込めた宝石だ。これを見せればすぐに仲間になってくれると思う。そのためにチェイシャ達も連れて行ってもらうんだけどね。封印の場所もわかるだろうし』

 <ぴー。アクアステップ……か>

 <ま、気楽に行こうよジャンナ>

 「それじゃ、明日から早速行動開始よ」

 フォルサさんが最後にまとめて、全員が頷く。

 「……私も行きたかったなあ……」

 「全てが終わってから旅行でもすればいいさ。まずは、アルモニアを退けられる力をつけよう」

 お父さんが肩を叩きながら私に言ってくれた。

 「そうね、私も頑張ろう! ……明日から!」

 「ルーナ……」

 そして翌日、それぞれのパーティが各国へと向かう時が来た。

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