パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神

その38 腕輪とオマケ

 
 まばゆい光が収まると再び静寂が辺りを包む。


 特におかしなことも無い……?




 「ルーナちゃん、体は何ともないか?」


 レイドさんが私の腕を掴み、聞いてくるが……。


 「あ、あの、はい……大丈夫です……けど、その、じっと見られると……」


 「あ!? す、すまない……」


 「いえ……」


 何となく気まずい雰囲気の中で、フレーレが助け船を出してくれた。


 「腕輪は外れないんですか? すごく眩しかったですけど、それだけで終わるとは……」


 そうだ、パカって開いてつけられたんだから逆もできるんじゃないかしら!






 「ん……んん……! ダメだ、ベルダーがどうやってパカっと割ったのか分からないけど全然ダメだわ!?」


 どこを触っても繋ぎ目のような場所が無く、開くことが無理そうだった。


 別に窮屈という訳でもないし、体の一部みたいになっているから違和感は無いんだけど、女神の力を封じた腕輪とか装備させられても困る……。


 「とりあえず外に出ましょうか、あの男はあっちの魔方陣で逃げましたし、我々は元の魔方陣で帰った方がいいかもしれません」


 ライノスさんがもう大丈夫だろうと帰還を促してくる。腕輪の事は気になるけど……と思っていた所で、シルバとシロップがベルダーの逃げ去った魔方陣近くできゅんきゅんしていた。


 「どうしたの? ……あ!?」


 台座に隠れて分からなかったが、シルバとシロップの前にあの狐さんが倒れていた。
 体は元の半分くらいだけど、生きてるのかな?


 私が抱きかかえると、フレーレに怒られた。


 「あ!? さっきの狐!? 危ない目にあったばかりなのにルーナは迂闊すぎますよぅ……」


 言われてみれば確かに……でも何か気になるのよね。


 <ん……んん……ハッ!>


 目を覚ます狐さん。チェイシャだっけ?


 「目が覚めたのね、ちょうど良かった! この腕輪、取ってくれないかしら……?」


 <お主はさっきの……そうかわらわは負けたのじゃな。神殺しの短剣を使うとは忌々しい男じゃったわ……もう少しで消滅しておったぞ……で、腕輪か? ……あ!? ”節制の腕輪”!? お主つけちゃったの!?>


 チェイシャが目を見開いて私の腕輪を見て驚く。私が着けたんじゃないもん……。


 「さっきのベルダーって男に無理矢理……」


 「ルーナ、言い方……」


 チェイシャは少し考える素振りを見せたが、構わず話を続ける。


 <……すでに女神の力は解放されてしまっておるから、わらわにはもう手出しが出来ん。その内、何かしら能力が出てくるじゃろうな。しかし何故……>


 目を瞑ってうーんと唸る狐が可愛い。


 「きゅん!」「きゅーん!」


 チェイシャをずっと抱っこしているのはずるいと私の足に体当たりしたり、噛みついてくるおチビ。


 「はいはい、あなた達も可愛いって!」


 おチビを撫でていると、チェイシャがひらめいた! と、私の頭に乗っかり宣言する。


 <わらわも同行させてもらおうかの! もう力が解放された今、わらわがここに残る理由もないし、久々に外の世界を見たいわい。娘、よろしく頼むぞ!>




 「「「「は?」」」」


 「わふ!?」「きゅん?」「きゅきゅーん?」


 私を含めて全員の声がハモった! 


 えええー!? ついてきちゃうのー!?


















 <(腕輪そのものに女神の力が封印されていたはずじゃから、腕についているということは力は解放されておる……それで正気を保っていられるとはおかしなヤツじゃ……普通はアルモニアの操り人形にされるのがオチなんじゃがのう……それにアルモニアを復活させるなら手元に集めればよいだけのはず。ベルダーと言う男、何を考えている? どちらにせよ様子見じゃな……しかし、トホホ……体が小さくなり過ぎたわい……死ななかっただけマシと考えるか……主殿もどこに居るのやら……)>










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 「何だい、また増えたのかい? 仕方ないお嬢さんだね。まあいいよ、トイレと勝手に外に出ないことは当然として、食堂には近づけないでおくれよ?」


 宿に戻った私を待っていたのはおかみさんの小言だった。狼三匹に狐が増えれば怒られもするだろう。
 平謝りで頭を下げるしかなかった。


 そそくさと部屋へ戻るのは私とレイドさんとフレーレだった。




 あのライノスさんとアイビスの二人とは生き残れたことを喜びレストランで美味しい物をいっぱい食べたのだが、食事を終えるとアイビスはベルダーからもらった金貨でお父様を見返すんだと、夜にも関わらず乗合馬車を使い街を出て行った。


 ライノスさんも「いい経験をさせてもらった」と言い残し、去って行った。聞くところによると故郷へ帰るそうだ。やけにあっさり別れたけど、仮で一緒に居ただけなのでこんなものかもしれない。


 チェイシャや女神の力の厄介ごとに巻き込まれまいとして逃げたのではないと思いたい……!






 「さて、これからどうするかな」


 「あのダンジョンの謎は女神の力を封印していた、ということで一応調査は終わりになるんじゃないんですか?」


 「そうなんだけどね。こいつをどうしたものかと……」


 <わらわをこいつ呼ばわりとは無礼な! 強欲の魔神たるこのわらわを! あ、こらやめんか!?>


 「きゅんきゅん♪」


 「きゅーん♪」


 おチビ達より少し大きいくらいなので、二匹にじゃれ付かれるとコロコロと転がってしまう。
 いい遊び相手ができたようで何よりだ。


 「どちらにせよギルドへ報告は必要か……明日、朝イチで行くとしよう」


 「わたしは金貨100枚も貰ったのでアルファの町に一度戻ってもいいかなと思いますけど、一ヶ月の予定でしたからもう少し稼ぎたいかも……。チェイシャちゃん、あのダンジョンってまだ機能しているの?」


 <ついに『ちゃん』付け……もうええわい……わらわが居なくても機能は衰えんから稼ぐにはええかもしれん。わらわも急ぐ必要もないしの。しかし『れすとらん』とやらの飯は美味かったな……むにゃむにゃ……>


 「あ、寝るんだ……本当に魔神なのかしら……?」


 「こうなると可愛いだけなんですけどね」


 一番事情を知っていそうなチェイシャが眠ってしまったので、お開きとなり私達もお風呂に入って就寝となった。チェイシャがベッドで寝るのが不服だと、レジナ達も乗っかってきて私のベッドはぎゅうぎゅうだったよ……。


 フレーレは戻りたいって言うけど、アルファの町はまだ戻りたくないないかな……。

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