パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!

八神

その2 契約破棄完了

昨夜、勇者パーティから追放された私はいつもお世話になっているバイト先のおかみさんの所へ行き、一晩部屋を間借りさせてもらった。
お金の無い冒険者を格安で泊めさせてくれる部屋があり、たまたま空いていたのは僥倖だった。


「そんなことならお安いご用さ、ルーナちゃんにはいつも手伝ってもらっているからね!」


おかみさんは笑顔で即決。旦那さんであるマスターは寡黙だが、こくんと頷いてくれたのだった。
真面目に働いていて良かった・・・!


そして今、私はギルドへ出向いています。
勿論、契約終了を冒険者ギルドへ報告しなければならないからです。


パーティを組んでいる人は危険も少ないのですが、田舎から出てきたばかり、友達がいない等の理由でやむなくソロ活動をしている人のためにギルドは救済措置を作ったんです!


それが「一時加入システム」で、名簿に名前と年齢、特技を書いておくと、他のパーティで必要とされる人材であれば、声がかかると言うものなのです。


契約期間は最短で1ヶ月。後は3カ月から6カ月があり、パーティとしてやっていけると判断された場合は、そのまま本契約となり晴れてキチンとしたメンバーになる、というボッチにはとてもありがたいシステムだったりしますよねー。私はボッチじゃないですよー(棒)・・・うう・・見栄を張りました・・。


こほん。ちなみに報酬は山分けが義務付けられていて、素材などを売ったらその場で均等に手渡されるので不正も起こりにくく、雇う側も欲しいスキルを持った人を名簿から手軽に探せるのでこのシステムは大いに喜ばれているんです。


まあ不備があるとすれば勇者パーティみたいにモラルが欠けているのは入るまで見抜けないとか、あまり稼げないパーティに入れられる事があるくらいですかね・・・。あ、仲介料も取られますよ?


今回の私みたいに「雇われた側の」不備がある場合と「雇った側」の不備があり、それが正当な理由だった場合は契約破棄は許されているので、どうしても合わない場合は申告により離脱ができます。
おっと、色々考えている内にギルドへ到着しましたか。ではでは早速・・・・。


「こんにちわー」


「はい、いらっしゃいませ! って、ルーナちゃんか。どうしたんだい、こんな時間に?」
カウンターに居た眼鏡のお兄さん、イルズさんが私を見て不思議そうに言ってきます。
それもそうでしょう。普通冒険者は朝から依頼をこなしてお金を稼ぐものなんですから。


「いやー・・はは・・勇者パーティをクビになりましてー・・・・契約破棄の手続きを、と・・」


周りには聞こえないようにひそひそとイルズさんへ事のあらましの説明と契約書を差し出し、手続きに入る。
難しい顔をしていたが、受理してくれたようだ。


「はい、これで契約は終了っと。ふーん、なるほどなあ・・・そりゃルーナちゃん災難だったねぇ・・・。勇者パーティは男性優先で案内することにするよ。情報ありがとう。またお呼びがかかったら連絡するよ、どこで寝泊りするんだい?」


「酒場のおかみさんのところでバイトしながら少し考えます・・・勇者パーティと顔を合わせたくないので、町を出るのもいいかなと思ってます」


「ああ、”山の宴”だね。そうかい、ルーナちゃんの補助魔法は一級品だから・・ウチとしても居て欲しいけど。しかし勇者パーティめ、どこを見て役立たずだなんて・・」


イルズさんがぶつぶつと愚痴を言い始めたので、お礼を言ってギルドを後にしました。


一応、高ランクの魔物退治していたからお金はあるし、ホントに別の町へ行ってみようかな?
おかみさんに何て言おう・・・急にバイト辞めたら困るよねぇ・・・。

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