ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

4-5 勇者の必要性



 4-5 勇者の必要性


「エマー! エマー! エマー! あれ居ないのかな? エマエマエマエマーー!!!」
「ドンドンうっさいわね! ノックは二回までって習わなかったのかしら!?」

 勇者殺しの話を聞き終えた後。僕は朝日が登った時間にエマの家へと訪れていた。

 大きめにガンガンと玄関扉を打ち付けてしばらく待つと、目を擦りながら寝巻き姿のエマが扉を開けて出てきてくれた。

「いたいた。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「なによ変態。あのちびっ子を誘拐する方法なんて私に聞いても答えられないわよ」
「リフィアの誘拐ぐらい盗賊術使えば余裕だから別にいらんわ。それよりもっと大事な事なんだよ」
「変態が何をやらかすがもっと心配になったわ。それより聞きたい事って何かしら?」
「かなり話しにくい内容だから部屋の中でいい?」
「しょうがないわね。お茶は出さないわよ」

 僕は招かれるまま家の中に入っていく。まだエマの言葉には棘が含まれまくっているが、こうして家の中に入れてくれるのはある程度は心を許してくれてきたんだろう。

 通された部屋はエマの個室。いつもの通り本棚だらけで紙が散らかっているところだ。

「それで、お姉ちゃんの看病から私を引き剥がして聞き出したいことって何よ」
「色々あるけどまずはこれだ」

 僕は冒険者のギルドカードを取り出した。

「ニゲルを倒してLvが上がって新しい技能を獲得してさ、そのうちの殆どは使い方や効果が試してすぐに分かったんだけど一つだけ使い方も効果も分からないものがあるんだ」 
「ちょっと待ちなさい」
「んだよ」
「その前に変態、あんたのステータスはどうなってるの?」
「お? 見たい? 僕のステータスが気になるんだ? うーん、どうしよっかなー」

 そんなことを言って余裕かましていたら簡単にエマに取られてしまった。このちびっ子、意外と動きが素早い。

 ―ステータスを表示します―

 名前    ウェルト
 種族     普人族
 職業     盗賊
 サブクラス    暗殺者
 Lv61
 HP631/631
 MP732/732
 筋力201
 魔力312
 耐久396
 精神587
 俊敏1123
 
 所持スキル
 
 盗賊術Lv16
『解錠』『窃盗』『暗視』『罠感知』『罠解除』『気配感知』『地図作成』
『穴掘り』『虚偽の理』
『剥ぎ取り』new!『透視』new!
『隠密』new!『音無』new!
『経験値取得量up』new!
『盗み見』new!『ラーニング』new!

 暗殺術Lv7
『集中』→『真集中』new!
『暗器』『居合抜き』『気配遮断』
『心形刃紋』『致死の一撃クリティカルブレイク』new!
『レギオンズレイヴン』new!

 体術 Lv7
『箭疾歩』 →『霍閃歩かくせんぽ』new!
『背負い投げ』→『極・背負投げ』new!
『旋風脚』→『陣風円蹴』new!
『裂孔気弾』『技術衝打』『気掌拳』

 短剣術Lv9
『閃光斬』→『輝煌閃斬』new!
『快刀乱麻』→『巧妙流し斬り』new!
『ブレードブロック』→『要塞刃』new!
『霞駆け』『レゾナンスエッジ』
『インフィニティスラスト』
『奪命剣』new!
『ロゴスレイシア』new!
『シャドウアーツ』new!

 風遁術Lv5(★MASTER)
『歪断風』→『歪疾風』new! 
『黒竜巻』→『殺風激』new!
『空激破』→『大空一文字』new!
比叡颪ひえいおろし』new!
西風の音符ゼピュロス・ノーツ』new!


 ■■■?
『■■■?』『■■■?』『■■■■?』

 複合技能
『燐光疾傷』→『風巻龍疾風』new!
『逆巻く辻太刀風』
 
 ロリコンLv-
 未踏の先駆者Lv-
 超過暴走Lv-
 限界突破Lv-
 臨界超越Lv- 
 魔力操作Lv-
 魔力視Lv-
 不屈の闘志Lv-
 精神力お化けLv-
 ■■?Lv-
 
 所持称号
 ■■■?
 人間卒業
 固有属性持ち
 大物殺しジャイアントキリング
 極意の使い手
 風の伝道師
 ■■■■■■?



「変態。あんたのこのステータスは誰にも見せちゃだめよ。というか化け物ね」
「それってどれくらい凄い?」
「粗相がなければSランク冒険者に余裕でなれるわよ」
「まじで?」
「素行不良がありすぎて無理そうだけどね」
「えぇ.......」

 改めて見ると凄まじいことになってる。というか僕にはもうよく分からないので放置してた。

 特に体術のスキル以外の伸びが凄まじい。新技能を獲得しているか進化を果たしている。これまで使っていなかった技能も進化しているので使い勝手が上がっていることだろう。

 逆に体術だけあまり成長してないのが気になる。まあ最初に奥義の分類に入る気掌拳を覚醒を使わずとも自力で習得できた代償なのかもしれないが。

「で、最後の文字化けは覚醒のスキルだとして、使い方が分からないのは文字化けしてる■■■?の技能かしら」
「違うんだ。その三つは僕の固有属性でなんとなく使えるし使い方も分かる。全く分からないのが盗賊術のラーニングって技能なんだ」

 そう、新しい技能は一通り試していた。ギルマスが都合よくサンドバッグを野に放ってくれたお陰で大体の使用感は掴めていた。
 しかしラーニングだけは全く分からない。あのアルマジロ野郎に向けて数十回は使ったが何も発動しない。時間帯や対象を変えて使ってみてもダメだったのでエマを頼るしかなかった。

「ラーニング。盗賊術の奥義ね。確かに初見では何も分からないでしょうね」
「その口ぶり。エマは知ってるんだな?」

 やはりエマに聞くのが正解だったみたいだ。僕はギルドカードを返してもらい、ラーニングの効果を教えて貰った。

「ええ。ラーニングは盗賊術の技能の中でも最上位で強いわね。なんせ他人の技能を問答無用で習得できるのだもの」
「は.......はぁ!?」
「当事者のあんたがなんで一番驚いているのよ」

 他人の技能を習得する。僕でも分かる。これって反則もいいところじゃないか。

 本来、技能は魔物と命懸けで戦ったり何年も修行したりして覚えるものだ。僕が言うと説得力が皆無だが、技能ひとつ覚えるだけでもかなり苦労する。

 それがラーニングを使えば見ただけだ習得出来てしまう。他人の血の滲むような努力を数秒で自分のものにできる。相手からしたら理不尽の極みでしかないだろう。

「ラーニングの技能は変わっていてね。まずラーニングを覚えた変態はこれから一度さえ未習得の技能を見れば完全に再現することができるわ。そして何度でも」
「強すぎるだろそれ」
「そしてもうひとつ。過去に変態が直接受けた技能は少なからずあるでしょ?」
「あるね。船の上でアシュレイのヒートチャリオットとか」
「それも使えるようになるわよ」
「ヒェッ……」

 つまりだ。

 ニゲルの闇魔法極意、虚無たる窳は直接受けたことがないから使えない。だけどユリウスの六花氷輪斬やアシュレイのヒートチャリオットは使えると。
 これまで僕がこの身に受けてきた技能は多い。言うなればただでさえ多い手札が更に増えるってことだ。早速後で試してみることにしよう

「まあ僕のステータスの話はこれでいいや」
「次もあるの? 頭が痛いわね」

 僕も頭が痛い。何せ本題なのだから。

「エマは御伽噺の勇者にどれくらい詳しい?」
「勇者? 勇者、ねぇ。いきなり変なとこついてきたわね。勇者に関してはそこそこ文献は読み漁って考察はしてるけど、情報があまりないし一般人より少し詳しい程度だわ」
「そっか」
「まあとりあえず言ってみなさい。もしかしたら私でも答えられるかもしれないわ」  

 賢者のスキルは勇者殺しについては他言無用でお願いしますとか言ってはいないが.......完全に部外者のエマに教えてもいいのだろうか。

 ええい、どうせバレはしないだろう。エマはこう見えても口は固い方だと信じてるし、きっと問題は無いはずだ。

「もしさ、もしもだよ? 勇者が現れたって言われたらエマはどう考える?」
「勇者の復活は次の魔王の出現の前触れ。禍夜の次に当たる第八代目魔王が現れたと考えるわね」
「じゃあ、もしその勇者を殺したらどうなる?」

 僕がエマに聞きたかったこと。それは勇者を殺したらどうなるかだ。

 正直、勇者を殺すのには抵抗はあまりなかった。

 元々人間という生き物は結構殺している。大半は山賊なのだが、昔から殺し慣れているせいで同族を殺すという忌避感は薄れていた。

 なので暴走した勇者なんて人間であろうが凶暴な魔物と大差はない。むしろ僕の認識からしたら知能を持っているせいでより厄介になったと考えているぐらいだ。

 が、僕は恐れているのは勇者を殺したらどのような影響が出るのか。仮にも神の使いとやら御伽噺の存在と伝えられている勇者。そう簡単に殺していいものか分からない。

 それが一番最初に思い浮かんだ不安だった。

「.......随分と変なことを聞くわね。勇者を殺せる人間がいるのかはさておき、殺したとなるとかなり不味いことになるのは間違いないわね」
「やっぱりそうか」
「禍夜の前例があるの。覚醒者では手に負えない魔王は勇者が現れて倒してくれる。その魔王を倒してくれる勇者を殺してしまうとどうなるかは分かるわよね?」
「.......そうだな」

 御伽噺の通りだとすると魔王を放置していれば世界に悪影響が出る。勇者が死ぬと魔王を倒すことが難しくなる。最悪の場合、世界に終末が齎される。

 かなり不味いな、これ。勇者を殺すのはやめにして、魔王を勝手に倒してくれるまで放っておくのが正解な気がしてきたぞ。

「まあでも安心なさい。そもそも勇者を殺せる可能性があるのは魔王と覚醒者だけよ。魔王はともかく、覚醒者が勇者を殺す可能性は限りなくゼロだもの」
「強すぎて無理ってこと?」
「いいえ。だって勇者を殺せるぐらい強い覚醒者なら勇者がいなくても魔王倒せるじゃない。そもそもそんな覚醒者がいたら勇者なんて現れないわ」 
「それもそうか」

 確かにそうかもしれない。賢者のスキルが勇者を殺して欲しいと平気で口に出来るのは「勇者は別に殺しても問題なしと判断した」からなんだ。

 第八代目魔王がどれだけ強いのかは分からないが、勇者がいなくて倒せない! なんてことは起こらないのだろう。

「あら、こんな答えでも変態は納得したの?」
「納得じゃないけど安心したかな」

 僕はエマに笑いかけて立ち上がった。

 時間を確認したらもうすぐだった。賢者のスキルは今日の昼までに答えを出して欲しいと頼まれているから。

「今日はありがと。それとこれ」
「変態にしては気が利くじゃない。早速お姉ちゃんにあげてこなくっちゃ」

 僕は果実の詰め物を渡しエマの背中を見送った。

 一目散にアシュレイの部屋に向かうエマの姿は見ていて微笑ましい。その献身的な態度を僕にも取ってくれればもっと可愛く思えるだろうに。

 それはないと断言は出来てしまうのだが。

「さてと」

 僕は覚醒者だ。その覚醒者に負ける程度の勇者なら別に死んでも構わないのが分かった。

 勇者を殺すのには心配はあったけど、魔王を倒せる人間が存在するなら別に勇者なんて要らないんだ。

 不安はあったけで大丈夫そうだ。





 これなら、遠慮なくぶっ殺せる。


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