ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

3-7 ノルドの村


 3-7 ノルドの村

 ノルドの村。

 ドレムと別れ、ネメッサの街から馬車で数十時間。比較的エルクセム王都に近く、海に面しているノルド村は新鮮な海産物が名物だと言う。

 磯の香りと潮風が吹くノルドの村は、冒険者ギルドに宿泊施設、酒場、そして漁に出るための船が立ち並ぶ船着場があり、小さい村だがそこそこ賑わっていた。

「まるで秋シーズンの海水浴場だな」

 僕の隣でミナトが呟いた。ミナトは時折変なことを口に出す。育ちが違うのだろうか、エルフの里に行くと僕が言い出した時も妙にテンションが上がっていたし。

「エマ、ノルドの村に着いたはいいが、これからどうするのだ? 冒険者ギルドで船の手配をするのだ?」

 キョロキョロと辺りを見回したアシュレイが妹のエマに尋ねていた。

「いいえ、違うわお姉ちゃん。船は手に入れるわ」
「借りるとかじゃなくて買うのか? どうして?」
「そりゃ別の大陸に行くんだもの。変態の用事はあらかじめ日数が決まっていないし、何日掛かるか分からない。そんなガバガバで不明瞭な計画に手を貸してくれる物好きなんていないわ。それに、エルフの住む大陸は未開拓の土地よ。そもそも誰も行こうとしないわ」

 未開拓の土地。その言葉を聞いて僕はワクワクする。何だか旅人みたいだ。

「でも船を一隻借りるにせよ買うにせよ相当な金が掛かるぞ。別の大陸に行くならば尚更だ」
「あ、金だけなんとかなるかもしれない」

 僕はポケットの中身を漁る。こんな時のために盗んでおいたんだよ。

「ウェルト、手に持っているそれはなんだ?」
「高そうな燭台」

 以前、エルクセム王城の中から盗んできたやつだ。城に使われているだけあって金ピカに輝いている。売れば結構なお金になりそうだ。

「ふーん。変態、見せてみなさい」

 僕はエマに燭台を手渡す。いそいそと虫眼鏡らしきものを取り出してエマは燭台を見つめると、鑑定結果を言い渡した。

「中々の逸品ね。これひとつでも売れば結構な額になるわよ。.......ところで、一体何処で手に入れたのかしら?」
「そりゃ王城からに決まって.......あでっ!」

 いきなりアシュレイが僕の頭を強く叩いた。

「火事場泥棒かお前は! それに王城のモノ盗んだら足が着いて売れなくなるだろう!」
「怒るとこそこなんかい」

 ミナトが呆れた口調で言った。

「大丈夫よお姉ちゃん。足が着こうがなかろうが意味がないもの」
「? どうゆうことだ?」
「後で分かるわ」

 不思議そうな顔をするアシュレイを置いてエマは僕達向けて指示を飛ばす。

「今から役割分担をするわ。変態とお姉ちゃんは冒険者ギルドに行って海に赴く依頼を受けてきなさい。内容はなんでもいいけど、出来るだけ期間が長いものね。私とエキューデはこのブツを適当な所で吹っかけた後さばいてくるわ」
「なーんか嫌な予感するんだけど」
「なあなあ、俺はどうすんだ?」
「童貞はちびっ子達の子守りとお使いをしてきなさい」
「お前もちびっ子だろ.......痛ッ! こいつ、俺の足を踏みやがった!」

 涙目でぴょんぴょんとミナトは兎のように飛び跳ね、踏まれた足を痛そうに撫でている。

「お使いの内容は全員の二週間分の飲料水と浮き輪を買ってきてちょうだい。浮き輪は安いのでいいわよ。最後に、ちびっ子達から目を離したらだめよ」
「ったく。分かったよ。行くぞ、ちびっ子二人組」
「リフィアはもう大人なの! お兄ちゃんと大人の階段を登ったの!」

 ミナトは顔を苦しげに歪めて、泣きそうで掠れた声で言った。

「.......何も言い返せねぇ」

 ごめん、ミナト。あとやめてくれリフィア。気まづくなるから。

 ほら、アシュレイが白い目で、エマが蔑んだ目で僕を見下してるから。

 

◆◇◆



 冒険者ギルド。

 一時解散した後、僕とアシュレイはノルド村の冒険者ギルドの中へと来ていた。何故だろうか、ノルドの村はネメッサの街より小さいのに、冒険者ギルドはとても立派だった。

 ピカピカに磨かれたテーブル、傷一つない床、洒落た置物の数々、ギルマスが違うとこうも差が出るのだろうか。

「いつもお疲れ様です。本日はどのようなご要件でしょうか?」

 ノルド村冒険者ギルドの受付嬢が話しかけてきた。なんでかな、ネメッサの街の僕をロリコン呼ばわりする受付嬢より有能な感じがする。

 僕はアシュレイのも含めてギルドカードをカウンターに提出し、要件を伝えた。

「海に出向くクエストを受けたいんだけど、今はどんな物があるか見てみたいんだ」
「ほうほう、お二人ともDランクの冒険者、かなりの腕利きですね。海を介してのクエストを受けたいなんて物好きは珍しいです 
。それなら丁度いいのがありますよ、近辺の漁師からの依頼です」

 そう言って受付嬢は一枚の依頼書を取り出してきた。

「どれどれ.......漁の護衛依頼。安全に漁を行う為に海に住まう水棲モンスターから船と私を守って欲しい。期間は三日間で報酬は300ゴールド。中々羽振りがいい依頼だ」
「現在はこれだけですね。受注を行いますか?」

 エマからは出来るだけ期間の長いクエストがいいと言っていたが、これしかないのならば仕方がない。

「お願いします」  
「はい、受注完了です。依頼者なら冒険者ギルドを出てすぐの港の近く住んでいますよ。家が依頼者の住んでいる一軒しかないのですぐ分かるはずです」

 すんなりと話が進んでしまった。別れてから数分も経っていないのに。まだ時間が余ってるな。

「どうする、ウェルト?」
「ちょっと他の冒険者と話をしようぜ。暇潰しも兼ねて情報収集だ」

 僕はきょろきょろとギルド内を見回して、ある二人組に目を付けた。

「なあ、ちょっといいか?」
「お、見たことがないあんちゃんと姉ちゃんだな。俺達に何かようかい?」

 話しかけたのは気の良さそうな男二人組。僕に答えてくれたのは拳闘士モンク、隣にもう一人いたのは弓使いだ。

「少しだけ話を聞きたいんだ。僕達も冒険者をやってるんだけど、この街に来てからすぐでさ」
「はっはっはっ。なんだ、そんなことか。いいぜ、俺と相棒なら話に乗ってやるよ」

 弓使いが豪快に笑いながら快く承諾してくれた。

 なんだか新鮮だ。ネメッサの街では僕はロリコン扱いされて、他の冒険者は誰とも僕と話してくれなかったから。

 少し気の良くなった僕は手を挙げて、すぐ側を歩いていたギルドのウエイターに声を掛けた。

「あ、ウエイターさん。僕達四人に適当な飲み物持ってきてくれ」
「あんちゃん気前がいいな、気に入ったぜ!」
「ウェルトにしてはどういう風の吹き回しだ。燭台取られたお前には金がもうないだろ」
「.......アシュレイの奢りで」
「はぁ.......」

 アシュレイが項垂れる。拳闘士と弓使いも苦笑いを浮かべていた。

「で、さ。さっき漁の護衛依頼を受けてきたんだ。こう、海でのクエストってどんな感じなの?」

 二人は顔を見合わせて、あまり良くない顔で互いに頷いた。

「まあ人気ないよな」
「だな」

 その言葉を聞いたアシュレイは、少し納得がいかない表情を出して、不思議そうに二人に聞く。

「どうしてだ? 結構羽振りが良かったんだが」
「確かに金払いはいい。だが、俺達が仕事する場所が海の上となっちゃ話が別だ。足場が不安定な所で海の魔物と戦うんだぜ? 当然、慣れない場所でのクエストは死のリスクも跳ね上がる。冒険者ってのは命あっての物種だからな。そりゃ人気ないわけよ」

 なるほど、普段とは違う環境だからなのか。それで人気がないと。受付嬢も僕達の話を聞いて物好きで珍しいと言っていたし。

「あと最近では海賊も出ると聞くしな」
「海賊?」

 聞きなれない単語を聞いて、僕は思わず素の反応をしてしまった。

「山賊の海バージョンみたいなものよ。他の船を襲っては金目のブツを奪って、女子どもを攫っては奴隷商に売り払う連中さ」
「そうそう。あいつらかなりやり手の連中らしい。これから海に出るなら気を付けな、あんちゃん達。特に隣の別嬪さん。何されるか分からねえぜ」

 アシュレイが照れてる。いや、それよりも海賊か。僕自身、山賊は既に何人かは殺ったが、海賊となるとどうなるのかが分からない。

 海の上での旅路では、何もかもが未知数だ。

「海賊、か。なるほどね」

 頭の隅にでも入れておこうと頷いた僕に、名前を呼ばれる声がした。

「おーい、ウェルトとアシュレイさん。準備が出来たらしいぜー!」

 振り向けばミナトが外から手を振っていた。どうやらミナトの買い物とエマの用事は済んだようだ。

「お仲間かい?」
「あ、うん。呼ばれちゃったみたいだ。話ありがとう、僕達はもう行くよ」
「へへっ。気を付けてな!」

 僕は気の良い二人に手を振りながら冒険者ギルドを後にして、エマ達の元へと向かって行った。



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